3.《ネタバレ》 崔洋一、すごいな~
こんなに凄い監督とは思わなかった。
『月はどっちに出ている』を観て、凄い監督だと感激したけど、本作でその凄さを再認識した。
途中、しつこく挿入される濡れ場が唯一の邪魔だが、それ以外はほんといい味が出ている。
とっても映画的で、1980年代日本映画ならではの味わいが出ていると思う。
主演の内田裕也はかなりの熱演。
作品自体もパワーあふれる力作に仕上がっているので、手抜きが一切感じられない。
作り手の作品に対する意気込みが観ていて伝わってくるのだ。
崔洋一はまだ2本しか観ていないが、これからもじゃんじゃん観ていきたい。
(追記)
それと、本作はテイスト的に長谷川和彦の『太陽を盗んだ男』に似ている気がする。
映像的感覚、破滅的顛末、時代背景など、いろんな部分で似た匂いを感じた。
『太陽を盗んだ男』はとても評価の高い作品だが、本作『十階のモスキート』もそれと同じくらい力のこもった作品で、もっと評価されてもいい気がする。
もちろん崔洋一の代表作である前出の『月はどっちに出ている』はこれら2作品を上回る素晴らしい魅力に満ちた傑作であるが。