処女の泉のシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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処女の泉

[ショジョノイズミ]
The Virgin Spring
(Jungfrukällan)
1960年スウェーデン上映時間:89分
平均点:6.74 / 10(Review 23人) (点数分布表示)
公開開始日(1961-03-18)
ドラマホラーモノクロ映画犯罪もの
新規登録(2003-11-26)【たましろ】さん
タイトル情報更新(2017-04-20)【S&S】さん
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監督イングマール・ベルイマン
キャストマックス・フォン・シドー(男優)テーレ
グンネル・リンドブロム(女優)インゲリ
アラン・エドワール(男優)
音楽エリク・ノルドグレン
撮影スヴェン・ニクヴィスト
製作イングマール・ベルイマン(ノンクレジット)
アラン・エーケルンド(ノンクレジット)
配給昭映
美術P・A・ラングレン
衣装マリク・ボス-ルンド
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9.《ネタバレ》 静かに復讐への準備を整え そして怒りを解き放つ瞬間のカタルシス。
そして父親の怒りは一瞬の迷いを見せながらも勢いに任せて少年にさえ怒りを向けた。そして命途絶えさせたが後悔さえしない。
一方、母親の怒りは夫に全てを任せながらも年端の行かないその少年だけは傷つけるのを勘弁してあげてと願い、その後の安否を気遣い そして結果涙した。そこに女性としての性を見た。
そんな悲しき修羅場見せつけられてしまったわけですが、私個人としては、あの少年を生かすか殺すか あの場面において大きな関心を得ました。そして結果命奪ってしまった事は悲しい事ですが、犯罪者の弟としてあそこで情けをもらい例え生き延びたとしても兄二人を失い、それはきっと辛い生き地獄となるのであろうことから、少年にとってはあれでよかったのじゃないかと思えた。しかし、どっちにしろ悲しき少女は報われないわけですが。
3737さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2017-12-14 22:07:52)
8.マックス・フォン・シドーって晩年のスペクターのブロフェルド役くらいしか知らなかったけど、若い頃はこんないい感じの俳優だったのか。
この監督、他作を観ても、人生の苦難や死への恐怖に対してキリスト教的価値観でそれらをどう克服できるか・・を模索している風。
「神は何もしてくれない。どうしたらいいのか。」というのは昔遠藤周作の小説でも読んだような。あちらでは普遍的なテーマなんですかね。
欧米の歴史とは世界規模での侵略と虐殺の歴史。居ないとは解っていても「自分達の罪を許してくれる存在」を何か心の中に設定せざるを得ないのかもしれない。
良かったのは、おそらく小物にも神経を配ったであろう当時の生活様式の再現。
黒澤映画で海外の観衆が日本の中世時代(戦国~江戸時代)への想いを馳せるのと同様、ヴァイキング様式が抜けきらない北欧の中世時代に想像力が掻き立てられます。
番茶さん [DVD(字幕)] 8点(2016-07-23 07:21:04)
7.《ネタバレ》 火に息を吹きかけて天窓を開けるオープニング。
火が強まり陽が差し込むことで画面の中がふわっと明るくなる。
オープニングをこの微妙な光加減で描いてみせたところに、画面作りに対する繊細さがうかがい知れ、そして一つの物語がここから始まるのだという象徴的なこのファーストショットに、自分の中に存在する何かが呼び起されたような気持になりました。
教会への道中、山羊使いの男たちに呼び止められ、食事を分け与えてから自身に危機が迫っている事に感づくまでの、じわりじわりと恐怖が少しずつ滲み出てくるような描写が実に良いです。完璧。
更に、少女を身ぐるみ剥いだその3人組がやって来たのがその子の家となれば、そこに生まれるサスペンス感たるや、もはや尋常ではない。
いつ、どのタイミングで少女の服が出てくるのかを想像すると、食卓を囲む何気ないシーンが緊迫感を帯び、ただならぬ雰囲気で満ち溢れてきます。
夜中に目を覚ました少女の母親が彼らの所に行ってみると、男は少女の服を差し出し高く買い取れと言う。この時の母親の不気味なまでの静けさはどうだろう。怒りに震えることすらもない異常なまでの静けさに身の毛が弥立つ思いがしました。
そして、父が身を清めるシーンのおぞましさ。その対極的ともいえる一本の木の詩的なショットを挟むセンスといい、もはや全てのショットが皆強烈なインパクトを放ち、目を釘付けにされてしまいます。
最後、少女の亡骸を起こした所から水が湧き出でる。
泉の出現という奇跡で終わりを迎えるこの物語は、神話とか聖書の中の一節を描いたようなとても不思議な映画でした。
もっつぁれらさん [映画館(字幕)] 8点(2014-01-19 01:10:48)(良:1票)
6.《ネタバレ》 自分にとってのベルイマン体験は「ファニーとアレクサンドル」からでした。そこから「第7の封印」ほか何作か観たのですが、何かしっくりこない。何だろう、この感覚。でも本作を観て、この監督の根本の問題意識が分かりました。人間は、「悪魔」にどこまでつけ入られてしまうのだろう?この作品は、女性を暴行する貧しい男たちの存在に、監督の怯えが素直に描かれた作品です。この事件にはもう一人キーパーソンがいます。父なし子を身ごもった薄幸の女性、インゲリです。彼女と交渉した男性が描かれてないのがこの作品の不完全なところです。言ってみれば、映画とは2時間くらいの世界の中でいかに落とし前をつけるのか?そういう芸術なのだと思います。見事な落とし前のついたとき、自分は良い映画だったと感動します。その意味でインゲリをここまで傷つけた男性に、どのような落とし前がつくのかまで、明確に描くべきでした。彼の人間不信はどこから来るのか?このような問題設定は暢気なのでしょうか?貧困を知らないから言うのでしょうか?インゲリのような絶望感にさいなまれてないからこう感じるのでしょうか?それとも監督がこのような事実を目の当たりにしたからでしょうか?それとも彼自身、自分を信じられないから、こんな作品ができたのでしょうか?答えは彼のその後の作品にあると思います。「ファニーとアレクサンドル」・・俗人が人生の問題にぶつかった時、それとなく解決に乗り出します。彼は俗人に希望を見出そうとしているような感じがします。彼の俗人への愛こそ、俗人である自分への愛ではないか?と思うのです。そこに至るまでに自分の俗人ぶりに驚愕している事実があったのかもしれない。それがこの本作の彼の怯えの答えではないか?しかし彼がここまでの事をしたと言っているのではありません。最後にこの作品を観て、落とし前をつけるための武装は必要なのではないか?などという問題意識も自分の中に芽生えました。本作で復讐を行ったお父さんは、教会を建てることで神に赦しをこうのですが、人間は、愛する者が殺められた時、落とし前をつけられなくて、それが人間か?とまで思いました。
トントさん [ビデオ(字幕)] 8点(2013-03-26 08:52:29)
5.《ネタバレ》 少年が加わっていることで陰影が濃くなる。娘と対になるイケニエ役か。事件のあと雪が降り始め、罪の意識にさいなまれておどおどし、その晩地獄の恐怖に包まれ、やがて娘の母にすがるも投げ殺されてしまう。娘の死も惨めだったが、彼の死もあまりにも惨め、このむごたらしい何ら肯定的な光のない事件を、神は沈黙して見過ごし、その後で泉を湧き上がらせるわけだ(全編を通して火と水が対置されている)。おそらくこのズレに話のポイントがあるのだろう。復讐に至る場の緊張はすさまじい。娘の服を犯人どもに見せられた母の反応、叫び出したいのをじっと抑えたハラの演技が凄く、歌舞伎を思わせた(「先代萩」の政岡に通じるような)。知らされた父も、清めの湯を沸かすための樺の樹を捻り倒すロングのシーンで心情を見せる。朝を告げる鳥のさえずりが凶々しく、さらに家畜の鳴き声も加わる時間経過の描写。おもえば『羅生門』と似たような森の中の事件を扱い、仏教国とキリスト教国の違いが話に出ていた。というか温帯の濃密な照葉樹林と、寒帯の針葉樹林の違いか。顔の上で枝の影と血の流れが重なったりする効果。この監督にしては珍しくストレートな作りで、最初にスクリーンで観たときはちょっと物足りなく思ったが、のちにテレビで観たときは復讐シーンでのめり込まされ、これはこれでやはりベルイマンの映画なのだった。
なんのかんのさん [地上波(字幕)] 8点(2010-05-11 12:04:15)
4.《ネタバレ》 私には神の信仰など深いテーマについてはよく解りません。しかし、この映画はそういう難しいことを抜きにしても人間の持っているわがままな部分、惨酷さ、何の罪もない人がただただ己の欲望、身勝手さによって強姦された挙句に殺されるという惨酷さ、そんな惨酷な部分を描くこの何とも許せない話の中にあって、娘に代わって、また神様に代わって自分の娘を殺した男達を刑に処すというその気持ちは父親としての、また人間の持っている悲しさ、それは殺されたカーリンのことを嫌っていたもう一人の女、インゲリの同姓に対しての嫉妬、眼の前で三人の男に殺される場面をただ目撃することしか出来なかった彼女も一人の人間として苦しんでいる様子が観ていてもよく解る。人間とは如何に惨酷で弱い生きものか?という問いに応えているような本当に見ていても寒気のするような内容ではあるものの、画面全体の美しさ、白と黒とのコントラストの色使いの凄さ、カーリンが教会へと向う場面で馬に乗って行く場面のあの美しい映像美、途中で出会う男達に強姦される場面もその後の殺人シーンにしても殺された後に舞う雪も何かもが本当に美しい映像美として心に残るぐらい本当にどのシーンも美しい。男達への復讐を自らの手でやりとげた父親の見せる涙にこそ人間の持っている悲しい部分が現れてもいるそんな気がしてならない。ラスト、殺されたカーリンの死体を目にして神様は何て罪なんだというようなことを祈る人達、流れ出る水の美しさにはため息が零れる。どうしようもないぐらい観ていてもやりきれない気持ちにはなるので何度も繰り返し観たいとは思いませんが、これだけ人間の矛盾した気持ち、惨酷さ、欲望などを美しく描いた映画は他には観た記憶がない。とにかく一度、観たら忘れられないぐらいの美しさが惨酷な世界と相成って描かれていていつまでも心に残りそうです。
青観さん [ビデオ(字幕)] 8点(2008-04-20 12:07:55)(良:1票)
3.《ネタバレ》 こんなにも美しく、そして残酷な映画は観たことがない。
世界広しと言えど、こんな映像はベルイマンにしか撮れない。
それくらい鮮烈な映像だ。

少女の強姦シーン。
これほどまで残酷で鮮烈な強姦描写は観たことがない。
観ていて悪寒がはしった。
動悸がした。
心がざわざわとする程の強烈なシーン。

この強姦シーンを、ここまで際立たせた要因は、少女の美しさに尽きる。
冒頭で、少女が神がかり的な美しさを見せる。
これ以上ない美しさ。
心乱されるほどの、強烈すぎる美しさだ。
この、少女を美しく撮った冒頭部分があったからこそ、後の強姦シーンの痛ましさが際立った。

89分と短い尺ながら、体力を非常に奪われた。
なんていう美しさ、なんという不快な作品だろうか。
この不快感には、どんなスプラッター映画も、どんなホラー映画も、足元にも及ばない。
神秘的な美しさと並存する不快感。
私はイングマール・ベルイマンという監督に畏怖する。

ベルイマンにしか取れない独創性の極めて高いモノクロ映像。
美しい少女と、その少女を極めて神秘的に美しく撮った手腕。
ベルイマンという人が、いかに凄いかを確信できる作品だ。

終わらせ方やラストシーンに疑問は残るものの、並外れた作品であることに疑いの余地はない。

この不快感を基に点数をつけるとすれば、0点のインパクト。
美しさを基に点数をつけるとすれば、10点のインパクト。
あまりに両極端で、点数をつけるのが非常に難しい作品である。

いつかは再見したい作品だが、再見する勇気が湧いてこない。
最後に湧いた「処女の泉」は、私にとってなんの慰めにもならなかったのだ。
にじばぶさん [ビデオ(字幕)] 8点(2008-02-17 21:04:37)(良:1票)
2.いやぁ、さすがは名作ですね。もの凄く素朴でシンプルな作りなんですけど、彼女を殺めるシーンにしろ、父親が復讐するシーンにしろ、一つ一つのショットがとても印象的で記憶に残る。こういう骨太の作品を見ますと、最近のやたらとショットは多いのに情報量の少ない作品群とは対極にあるなという感じがします。神よ、あなたは見ていたはず他。なぜ沈黙なさるのか。こういうところは日本の遠藤周作のテーマに似てます。だけど最後まで沈黙するのではなく、本作はちゃんと泉が湧き出てくる。それにしてもあの少年が実に不憫。少年の存在こそが、このシンプルな作品に重みを持たせている。
あろえりーなさん [CS・衛星(字幕)] 8点(2004-09-11 02:27:26)(良:2票)
1.《ネタバレ》 羅生門の影響を受けている作品ですな。何が正しいことなのか?正義とは何か?を考えさせてくれる映画です
たましろさん 8点(2003-11-26 20:16:37)(良:1票)
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【点数情報】

Review人数 23人
平均点数 6.74点
000.00%
100.00%
200.00%
328.70%
414.35%
528.70%
628.70%
7626.09%
8939.13%
914.35%
1000.00%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 7.50点 Review4人
2 ストーリー評価 7.50点 Review4人
3 鑑賞後の後味 7.50点 Review4人
4 音楽評価 6.33点 Review3人
5 感泣評価 7.50点 Review4人
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【アカデミー賞 情報】

1960年 33回
衣装デザイン賞(白黒)マリク・ボス-ルンド候補(ノミネート) 
外国語映画賞 受賞 

【ゴールデングローブ賞 情報】

1960年 18回
外国語映画賞 受賞 

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