57.《ネタバレ》 「不幸になるのは弱いせいだ。強さこそが正義なのだ」。 過去のトラウマから抜け出せなかったデイブと、不安と恐怖からジミーに助けを求めたその妻は弱者の象徴だ。 ジミーは愛する者の死に立ち会えなかった・愛する者を殺された怒りを自らの力を持って相手に制裁を加えるという形で解決する。ジミーの妻はそれを正しいと肯定し、町を支配しろと言う。強者の論理だ。 メインキャスト3人の関係は幼い頃から変わらない。 リーダーのジミー、追従者のショーン、貧乏くじを引くデイブ。 デイブが連れ去られるきっかけのイタズラも、強盗も、そしてデイブ殺しもジミーは自分の落ち度からは目をそらし、タフに生きていこうとする。 1度目の殺しの理由は単なる「裏切りへの報復」だった。自分の娘が殺されても尚、その怒りと苦しみは到底送金等で贖えるものではないと気付くこともない。 だから2度目の殺人も平気で犯す。 ラストのパレードのシーンで、哀れに日陰から息子を呼び続けるデイブの妻と、光の中、不遜な顔でそれを見下ろすジミーの妻、そして傍観者ショーンの何も知らない幸せそうな妻の姿が象徴的だ。 正義よりも、倫理よりも、強さがそれに勝るのだ、と。 この映画は「それをどう思うか」と観客につきつけているように思えてならない。 公開がアメリカ同時多発テロの2年後なのは偶然なのだろうか。 しかしこれもこの映画の見方の一つに過ぎず、この作品をそう一面的に切り取ることは出来ないだろうと思う。 【猫の足跡】さん [地上波(字幕)] 8点(2014-07-14 18:31:05) (良:1票) |
56.社会の不条理をこれでもかと見せ付けられるクリント・イーストウッド監督渾身の力作…、とだれかが書いてたけど、ほんとにその通りだと思った。圧倒的な空気感です。音楽がほとんどないのに、得体のしれない通奏低音が鳴り続けているような不思議な感覚です。人間の不条理や狂気の連鎖、憎しみの伝播?そういうものが最初の性犯罪から始まって、人の社会はこれを断ち切ることができないのだ。そしていつも取り返しがつかないところにまで進んでしまう。要するに救いがないのだ。そう考えると、不満が残ったこの映画の終わり方もすこし受け入れられるような気がしてくる。みんな病んでいる。いちばんまともに見える刑事さえ、妻の無言電話にどう対したらいいのかわからない。そして真犯人は人々の予想もつかぬところに見つかる。予想もつかない悪意や憎しみが人間の社会には潜んでいるのだ。この物語の終わり方をどうすればよいのか、イーストウッドにもわからなかったのだと思う。唯一示された救いは、最後に刑事が自分から先に心を開き、妻が電話の向かうでやっと口をきいた…ということくらいか。 【柚】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2014-06-22 21:14:03) |
55.社会の不条理をこれでもかと見せ付けられるクリント・イーストウッド監督渾身の力作。役者陣の演技も素晴らしく大変見応えがあります。ただ名優揃い踏みの中ケビン・ベーコンだけ存在感が薄かったような。 【キリン】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-01-27 00:15:49) |
54.《ネタバレ》 これがこの世の不条理です、さぁいかがですか?皆さん。 と、一切の偽善や綺麗事を排し私たちに提示してみせた本作。 一人だけ正直に住所を告げたために、一生逃れられない程の心の傷を負うデイブは、ラストでは助かりたい一心でついた嘘が悲劇を招く。 夫を信じることができず最悪の決断を下し、結局は自分と息子を不幸に追いやったデイブの妻と、彼女を嘲笑するかのように見つめるジミーの妻、どちらも同じように愚かだが、二人の運命は決定的に違ってしまった。 そして、これをどう受け取るかはあなたの自由ですよ、と私たち観客に思考を委ねた曖昧な終わらせ方になっている。 もちろんスッキリしないけれど、だからこそいつまでも考え、頭に残すことができる、味わい深い作品ではないかと思う。 (本作を政治映画と捉える方も多く、なるほどなぁと、感心したりしている) 一見地味な作品だけれど、美術は細部にわたって完璧であり、シンプルだけれど大変美しく非常に重厚な映像にも感動した。 【poppo】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-09-10 15:04:59) |
53.重厚で暗い映画ですが、見ごたえがありました。 【のははすひ】さん [DVD(吹替)] 8点(2010-12-20 22:40:40) |
【BOW】さん [DVD(吹替)] 8点(2010-10-26 04:37:15) |
51.《ネタバレ》 見ごたえのある重厚な人間ドラマだ。俳優たちの演技がいずれも秀逸で、引き込まれる。クライマックスの、いわれなき復讐殺人と、真犯人の露見が同時並行する画面には鬼気迫るものがある。終始画面が暗いが… 【エンボ】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-10-17 14:23:12) |
50.《ネタバレ》 ミステリーの筋書きとしては陳腐ですし、ケヴィン・ベーコンは子供の頃の事件に遭遇した3人のうちの1人である必要性が希薄だと思いますが…それでもイーストウッドが監督を務めれば、かくも重厚な出来になってしまうのですから驚きです。 出色なのは、とってつけたようでもある最後のパレードのシーンで(物語的には不快な残酷さを宿しており過酷ですが)、サングラスをかけて視線を遮り闇におちていくショーン・ペン、ただ見つめるだけのベーコン、もう不在のティム・ロビンス、夫を信じ切れず弱さを露呈するマーシャ・ゲイ・ハーデン(うろたえないでくれと心底願いたくなる!)、そして何より恐ろしいのは顔を背けることなく堂々とお天道様に照らされて表通りを見るローラ・リニー。華やかなパレードの中で巻き起こる人間の暗部のドラマが簡潔に描かれています。 ところで…どうでもいいことですが、なぜデイブは嫌な少年期を過ごしたボストンを大人になっても離れなかったのか?その答えは子供の頃からずっと被り続けている帽子にあります。彼は熱狂的なボストン・レッドソックスのファンだったんです。せめてバンビーノの呪いが解けたところを見られたら良かったのに…本当に憐れ。 【ミスター・グレイ】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-09-22 18:20:10) (良:1票) |
49.《ネタバレ》 2時間半の長い時間も気にならず観れました 映画として考えれば 途中で飽きちゃう映画も多いので(それでも頑張って観ますが(苦笑)) まずは自分にあってるんだろうな イーストウッド監督の本作、この人の独特の感性が表れてる内容であったかなと。このなんとも言えない、暗く・複雑で、人間の本音、生きる上での光と影、そしてこの後味の悪さは…なんかこの人が関わった映画に多い気がしますがどうなんだろ? 出演の皆様の熱演は素晴らしく重厚な雰囲気と相まって見応えはアリマシタ 【Kaname】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-05-29 08:43:15) |
48.《ネタバレ》 何か観たことあるぞ、この感じ…と思ったら、「ゴーン・ベイビー・ゴーン」と同じ原作者なのか。どちらの映画にも胸糞悪い少年暴行の表現があり、さらにどちらも「選択」或いは「仮定(もしもあのときああだったら…)」がキーになった作品である。特に「選択」はこの映画の大きなテーマであると私は感じた。本作では見事にキャラクターたちが選択を誤り、結果、とても後味の悪いラストを迎える。ティム・ロビンス演じるデイヴの報われない人生を思うと、あまりに哀しい。三分の一のハズレを引いた彼と、助かった二人。振り分けられたのは単なる運としか言いようがない。その無慈悲さにはぞっとする。それが現実なんだと、分かっているから尚更だ。ちなみにデイヴがいつも人の車に乗りこみ、不幸な目に遭うというのは意図的なんだろうか。徹底的に救われない話だが、人間や人生というものの一つの真理を描いている傑作だ。作品全体を通して翳った画面と設定された年齢の割に老けた俳優二人(無論ケヴィン・ベーコン以外の二人)が見事にストーリーの陰惨さを増幅させている点も高評価である。 【よーちー】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-04-04 21:01:37) (良:1票) |
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47.作品カテゴリーとしてはミステリーかサスペンスに入るのだろうけど、本質はホラー映画。犯した過ちが大きすぎる。 主役3人が迫真の演技でよかった。 また見たい。 【Yu】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-12-13 15:25:59) |
46.《ネタバレ》 難しい映画は苦手!っていう人でも大丈夫。ストーリーの進行に優しさがあるので、この映画なら、おいてけぼりにされません。だからといって中身の薄い映画ではありません。ジメジメした展開だけど、これからどう進展していくのかミステリアスな部分が多く、引き込まれていきます。派手さはほとんど無く地味だけど、ショーン・ペンとケヴィン・ベーコンが最高に良い味を出しています。クリント・イーストウッド監督が作る、本作のような雰囲気の作風はとても好みです。 【VNTS】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-08-11 19:33:54) (良:1票) |
45.音楽もイーストウッドとは・・・凄い。 物語と相反するようなとても美しいテーマ曲だが、悲しみ、やりきれなさを一層引き立てるまさにこの映画にピッタリな曲。素晴らしい。 重厚なサスペンスで、キャストの演技も本当に素晴らしい(特にケヴィン・ベーコンにやられました)。 観た後考えさせられる終わり方で、明確な答えは提示されないけれども、個人的にはベストな終わり方だと思う。 【おーる】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-07-31 17:25:31) |
44.《ネタバレ》 ああっ・・どうしたらいいんだよ!このやりきれない気持ち・・ 観終わった後の素直な私の心の言葉。そして『ショーン・ペンがティム・ロビンスを先走って殺めてしまい然るべき罰も受けないまま普通の生活を続けるのか?ふざけんな』と怒りに思いましたが、すぐに『いや・・待てよ。そうとも言い切れない・・うーん』『あっでもショーン・ペンはもしかして・・うーん』とか様々な解釈が浮かんで来て頭の中をうごめいています。そしてもう一回観てしまうのです・・。こういう観るたびに考えてしまう映画はあまりにも内容が重くても結局、好きなのです。全く厄介な映画です。 【まりん】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-02-22 19:00:55) |
43.《ネタバレ》 憂鬱な雰囲気に打ちのめされそうになりますね。 見てるこっちはどうすりゃ良いのさ?っていう置いてけぼり感がたまらないです。 生活に潜む大昔に遭遇した犯罪行為が今の人間の生活を壊していくのが恐ろしい。 いったい誰を憎めばいいのか分からない。 少年に対する性犯罪がこういう人たちを作るって言うのはあまりに現実的。 【黒猫クック】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2008-10-09 21:23:48) (良:1票) |
42.とにかく重厚なサスペンスですが、かなり秀逸にできています。長めの映画にも関わらず、無駄なシーンが一切なく、目を離したくなることはありません。それぞれの役者に重みと影があり、ストーリーを際立てています。暗いです。 【すべから】さん [DVD(字幕)] 8点(2008-10-09 14:39:26) |
41.《ネタバレ》 かなり重いが、絶対観ろ!って誰しもが言うから嫌々観た。3人のカメレオンぶりに面食らった。 【成田とうこ】さん [DVD(字幕)] 8点(2008-06-08 16:52:40) |
40.《ネタバレ》 あの日、あの時・・・・と言うのは誰でも考える。この映画はハッピーエンドには程遠いし、全体的にトーンが暗くカメラワークも地味。ところが、内容は反比例するように良い。「あの時・・・」をキーワードに、人に人生が大きく変わっていく。なんだか久々に社会派のいい映画を観たと言う感じ。固めている俳優陣が最高の演技を魅せている。一つの事件を境に離れた幼馴染の三人が、ある殺人事件をきっかけにまた顔を合わせる。一人は被害者の父として、一人は容疑者として、一人は刑事として。三人の間にある、何もかも飲み込んでしまう深くて暗い河。やがてこの事件はさらに深い闇に三人を引きずって行く。ティム・ロビンスってカメレオンみたいな役者だと感じた。あんなにごっつい大男なのに、なんてしょぼく見えるんだろうと。対して、ショーン・ペンの瞳に宿る狂気というか、すごくきれいな目をしているのに、あの怖さ。対照的。この二人の賞は納得済み。しかし、私が今回イチオシと思うのがケヴィン・ベーコン。ロビンスとペンの対照的な印象に対して更にぐっと抑えた演技が光る。妻に逃げられた男。あとの二人が夫婦として深く絡んでくるが、刑事の彼は1人暗い部屋でタバコを加え、写真に見入る。ラスト、ほんの少しの行き違いで凄惨な事件は流れる河に沈む。その時にとった、それぞれ男の妻達の行動の対比も見て欲しい。個人的には、ラストにベーコンがペンに対して見せる仕草、あれに打たれて死にたい・・(爆)。 【ロボット】さん [映画館(字幕)] 8点(2008-01-22 11:05:31) |
39.《ネタバレ》 重い、後味悪い、と、どこを見ても書いてある。確かにそのとおり。だが、わたしにはそれ以上に、画面を支配している静かな緊張感が印象に残った。ダレ場がなく、全編かっちりとまとまっている。 もちろん、ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケヴィン・ベーコンと、演技者としての評価が定まった主役級の俳優を3人もすえ、ワキも芸達者ぞろいときては、だらだらした映画にはなりようがない。また、派手なカメラワークがなく、ミドルショットが多用されていること、外は明るく、家の中は薄暗いという、自然な感じの照明が、その印象を強めているのかもしれない。 種明かしは、ティム・ロビンスとケヴィン・ベーコンが解説しているボーナス映像の中にあった。彼らの解説があまりにおもしろかったので、つい同じ映画を2度も続けてみてしまったのだが、その中で繰り返し語られているのは、イーストウッド映画では、撮影はテイク1で終わり。テイク2までいけば、ぜいたくだ、ということなのだ。もちろん、俳優、スタッフの技量、また監督の彼らへの信頼感がなければ、できないことである。映画本来の力にあふれた映画が、そのような舞台演劇的とも言える手法で作られているというのは、実に興味深い話だ。 で、ストーリーのほうなのだが、主人公3人のそれぞれの夫婦関係の対比がおもしろかった。映画から教訓を読み取るのはばかばかしいが、怪しい見知らぬおじさんにはウソをついてもかまわないが、長年連れ添った妻には、やっぱりウソつくのはまずいでしょ、という話。 ティム・ロビンスの妻は、自分の夫を信じられず、自分自身の心の重荷に耐えかねて、よりによって一番しゃべってはならない相手に、その疑いをしゃべってしまう。ひどい女房だ、ではなく、それ以前の結婚生活の中で、夫が撒き散らした小さなウソが、彼女をむしばんでいたのだろう。そして、どうでもいいことでも、とりあえずウソをついてしまう習性が、子供のころ、ふたりの友達はウソをついて難を逃れたのに、自分だけ正直に話して、性的虐待という最悪の結果を招いてしまった経験によるのだから、確かに救われない話だ。 【yhlee】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-08-19 23:25:45) |
38.ショーン・ペンはもとより、ティム・ロビンスの演技力には今更ながら驚いた。オスカー受賞も納得。 【あるまーぬ】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-08-01 03:36:13) |