10.《ネタバレ》 チャンイーモウの他の作品は好きだ。ラストはいつも暖かい気持ちになる。しかし、この作品は違う。黒いストーリだが赤い提灯をうまく取り入れることでバランスをとってる。後半、赤い提灯に封をされてから、一気に話は佳境に入る。三女が黒い服を着た者に塔に運ばれるシーンは印象的。色使いが巧み。 【ホットチョコレート】さん [DVD(字幕)] 8点(2018-04-16 00:06:48) |
9.普通シンメトリーの構図ってのは、ここぞというところでバンと置くと効くので、あんまり使いすぎちゃいけないものなんだけど、この作品はそれがテーマだからね。シンメトリーの安定した重苦しさ、人を発狂させるほどの、整然とした堅苦しさ。シンメトリーの息苦しさをここまで徹底して追求した映画も珍しい。あとは音の響き。作者によって選択された音しか響かない。それも幽界に響くような雰囲気で、嫉妬によって残響を与えられ心にエコーを掛けられているというか、灯篭を消す竹吹きのブボッという音も腹に響く。遠くから聞こえる第三夫人の歌声、若主人の笛。きっちりした画面に選ばれた音のみがキラッキラッと閃く感じが実にスリリング。昔の中国映画だったら、もっと目覚めたヒロインが反抗する設定になったんだろうが、もうそうはならない、プロレタリアートの部屋にまでレッドランタンは侵入してしまっているのだ。画面に現われているのは「八方ふさがり」の嫉妬渦巻く世界なのだけど、ネチネチという感じはあまりなく、荒涼の風が「八方吹き抜け」ていたのではないか。白・黒・赤の物狂いの世界が魅力的。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 8点(2012-10-13 09:56:42) |
8.《ネタバレ》 現在の彼の作風は妙な「あざとさ」ばかりが目について正直好きではないのだが少なくとも「秋菊の物語」「活きる」くらいまでは抑えた表現もありの、まさに「緩急を使いわける映像」にとても関心させられた記憶がある。そんな彼のキャリアの頂点は今のところこの一本。古い屋敷にうつる紅い提灯の怪しげな美しさや閉鎖的な空間の中で女性達が繰り広げる狂わしい程の怨念(20代の自分にとってあの紅い色=子宮から流れ出る経血を感じてました。お恥ずかしい)、最後主人公に起こった悲劇等内容的にも見応えある話だがこれは「見せない(もしくはポイントのみ見せる)」彼の演出の巧さを堪能すべきと思う。あえて説明しない=観客の想像力にまかせる事で強い印象に残る演出もあるのだ(こんな事言いたくは無いが、余計な説明の多い変に長い映画のなんと多い事か)。主人公が迎える悲劇的な最後に至るまでの展開が性急すぎるかなとは思うが機会があればぜひ。てか監督イーモウと女優コン・リーの黄金コンビ、DVD発売の機会が無いというのは如何なもんでしょうか。 【Nbu2】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-04-25 23:13:18) |
7.赤!赤!赤!正しく紅という文字が映画のタイトルにあるように本当に赤い色の持っている魅力、色にはそれぞれ不思議な魅力があるけれど、この映画だとその赤が本当にゾクゾクとするぐらいの恐ろしさ、そして、エロスを感じられずにはいられないわけです。何と言ってもあの赤提灯の不気味なことと言ったら下手なホラーやサスペンスものを見るよりも恐ろしいほどのこの赤提灯!部屋の外と中にそれぞれ吊るされている赤い提灯もただ吊るしているだけならちっとも恐くはない。しかし、赤い所に青い映像を持ってくるだけで、これほどまでに恐ろしさが強調されるわけでして、部屋に飾られている不気味な顔をしたまるでメキシコのプロレスにでも出てくるようなマスクマンのようなあの飾りといい、とにかく恐い。麻雀をしている後ろであの顔が写される時の何とも不気味な事。流石、この監督、色を強調し、色で全てを語らせ、人間の心理状態まで見せてしまう。凄いとしか言えません。そんな映像を捉えるカメラもこれまたロングショットを巧みに使って見せることでより色の持っている不思議な魅力と人間の心情というものを浮かび上がらせるテクニック、とにかく色がこれほどまでに見事に人間の心理状態を言葉による説明などではなくて、映像だけで伝えて見せる。今の日本映画に見習う点が山ほどあるような気がします。そんな映像の中で繰り広げられる女と女の嫉妬、プライドが生み出す壮絶なまでの戦い、見ていて本当に恐かった。コン・リーの抑えた演技が女としての戦い、やるせなさみたいなものが伝わってきて、中国映画のレベルの高さを見せ付けられたようなそんな気も致します。 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2007-10-06 15:53:01) |
6.あの呪いの人形はぞ~~っ。冷徹な美しき画面はホラー映画の雰囲気を纏ってますね。そしてこの映画を支配するのは「四」。四人の姉妹、四季=春夏秋冬、麻雀=東西南北、死者の数・・・。春夏秋冬で無限の円環時間を、東西南北で全方位空間を表し、邸宅に入りこんだカメラが二度とそこから抜け出さないことで、その邸宅こそが彼女たちの時間空間の全てであることを語り、その四人姉妹が無限の時間空間そのものであると分かる時、見る者は悠久の哀しみに迫られるのです。ロングショットでしか写りこまない主は“四”の中心で、ただ哀しさを浮き立たせる存在です。エンドロールで、四女がひたすら同じ場所を虚ろにさまよう姿に、夢幻で無限な時空に浮遊する“紅”という悲哀が見えるのです。 【彦馬】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-11-29 12:19:39) (良:2票) |
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5.紅く哀しい女たちの夢と美しすぎる天然雪。 見せずにわからせるテクニック。もう陶酔です。 大奥ファンなら誰が勝つかはわかってる。 それでも池坊雅之氏似の男前が現れたところで 「やっぱり」と喜ばせてくれる演出に すっかりやられてシアワセです。 夫人たちから使用人に至るまでキャスティングの妙、 コワイ女声合唱にもビビリますよ。 世の旦那様方、よろしかったら奥様に借りてさし上げて下さいませ。 【かーすけ】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2005-07-16 15:01:54) |
4.男の身勝手・権力・女の嫉妬・したたかさ・策略・色欲・掟・裏切り・時代・・・ 何かもう、色々な言葉が頭に浮かびます。 この言葉の中にあの赤い堤燈の美しさが只々物悲しい。 最後の最後まで悲しかった。 |
3.《ネタバレ》 全体的に色の少ない映像が多くよりいっそう提灯の赤い灯火が美しく映える。その映像が4姉妹全員があたかも赤い灯火だけを喜びに生きているというイメージを引き立たせ心にやきつきました。第2婦人の笑顔の奥に隠れた嫉みや怒りは本当に恐ろしかった・・・。第4婦人の最後は本当に悲しいですね。その後どのような扱いをされたかがとても気になります。最後まで飽きることなく集中して鑑賞できた良い作品でした。 |
2.強い女の役が好きそうなコン・リーが地のままでやっているような演技がとてもいい。チャン・イーモウ監督の映像美にかける執念がこの映画からも伝わってきて、とにかく映像が美しい。コン・リーの主人公もライバルの第三夫人も美しい。この上、正妻と第二夫人もきれいだったらこの映画は中国モードのファッション・ショーになってしまうでしょう。主人公が大学中退だということはストーリーの時代がかなり現代に近いということで、もう少したてば毛沢東が中華人民共和国建国を高らかに歌いながらこういった前近代的な妾制度を廃止し、主人公たちを解放することになるのだけれど、もちろんそんな明るい結末ではないからこそこの映画は世界中で上映されるような芸術度を達成しているのです。閉鎖された環境の中で衣食住等物質的には何一つ不自由なく、正にモルモットのように飼われている女たちがどう考え、どう行動するかを冷徹な目で見つめている、美しくかつ残酷な作品です。日本語の題名は「紅楼夢」とまぎらわしいですね。 【かわまり】さん 8点(2004-01-23 12:40:20) (良:1票) |
1.全ての瞬間、1秒1秒、どこを切り取っても美しい 【紅蓮天国】さん 8点(2003-10-12 23:20:32) |