18.《ネタバレ》 ~The Killing Fields~クメール・ルージュによる大量虐殺が行われた処刑場の総称。 中学生の頃ゴールデン洋画劇場で見て、とんでもなく怖かった映画。 戦争(アクション)映画は大好きだったけど、ここに描かれている世界は、私の知るカッコイイ戦争とは違っていた。日常的に目の前で起きる処刑。どうすれば許されるのか、意味も解らず脅かされる命。子供の判断基準で殺される大人。国政が不安定で常識の通じない世界。人間が家畜のように扱われ、教養があれば殺される、逃げ道のない世界への恐怖を、まざまざと見せつけられた。 そしてイマジンの美しさ、インパクト。賛否両論あるみたいだけど、私たち世代の多くにはきっとイマジン=キリング・フィールドのテーマソングだ。 『処刑のシーンでポール・マッカートニーの曲が掛かり、再会のシーンでジョン・レノンの曲が掛かる』当時は監督が“悪の場面と善の場面で意図的に両者の曲を掛けた”なんて思っていたっけ。 ポールの曲“Band On The Run”は、ビートルズ時代、世間に追われて自由が無く、バンド活動に拘束されていた当時の、逃げ出したい気持ちを歌ったものと知った。一般人はもちろん、兵士であっても地獄と化したカンボジアから逃げたい気持ちを表現したんだろうな。 曲を聞いているのは捕虜を処刑する政府の側の兵士。ヘルメットに黄色い花を刺した女の子で、まだ子供のようだ。英語の歌詞などわからないだろう。 彼女はその後、腹部に助かりそうにない重傷を負って運ばれていく。何があったのかは描かれてなかった。後日病院でシドニーが捕虜になる際、ポケットから彼女のと同じ様な花を取り出すが、何か繋がりがあったのかな。 放映の翌週、クラスの反応は様々だった。心にズシンと来た者。途中で見るのをリタイアした者。口数が少ない者もいれば、娯楽として楽しめたのか、喜んでる者もいた。みんながTVで映画を観て、翌週話し合う、盛り上がる、それぞれの反応を知るのって、何かとても貴重な体験で、とても素晴らしい文化だったように思う。 『永六輔の誰かとどこかで』ってラジオ番組のコーナーで“アルハンブラの思い出 ”が流れると、映画の恐怖がフラッシュバックしたのも今では良い思い出。 あの時は突然ラジオ消して、ごめんねママン。 【K&K】さん [地上波(吹替)] 8点(2021-06-14 15:19:04) |
17.《ネタバレ》 超久しぶりに再見。かなり昔に見たときは「怖!」と感じるばかりでしたが、今回はちょっと違いました。印象に残ったシーンは大きく2つ。 1つは、クメール・ルージュに全員捕まって妙な施設に連れて行かれたとき、プランが先方の幹部らしき人物に必死に食い下がって助命嘆願するシーン。すぐ脇ではあまりにもあっさり処刑が行われていて、彼自身も次の瞬間にズトンと殺れれてもおかしくなかったはず。演出だとわかっていても、仲間のために危険を顧みない姿はグッと来ます。 もう1つは、マルコヴィッチがプランの写真の現像に失敗して怒り狂うシーン。やはり演出ですが、仲間のためにここまで真剣になる姿は美しい。ある程度年齢を重ねて汚れてくると、こういう純粋な行動原理につい涙腺が緩みます。 それに比べ、意外に印象が薄いのが主人公。ニューヨークに帰って写真をばら撒くことしかできなくて、一方で賞を取って講演をして、プランの生存を知って現地へ飛んで抱擁。演出の意図は違うでしょうが、いずれもシラけた空気が漂います。ちょっと美味しいとこ取りが過ぎる気が。 【眉山】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2020-06-10 02:11:10) (良:1票) |
16.《ネタバレ》 本作のように史実を映画化した作品は、冒頭で描く対象の置かれている状況や背景が字幕で説明されたり、主人公の語りで主人公が置かれている今を語ることで描く対象の置かれている状況を伝えようとする事も多いですが、本作にはそういった説明がありません。よって勉強不足の僕にとっては難しい映画でもありました。 しかしそういう状況で本作を見た人の多くが鑑賞後、カンボジア内戦とは、クメール・ルージュとは何かを調べようとするでしょう。それだけでも意義の大きな映画だと思います。 映画としては前半はシャンバーグ、後半はプランと視点が切り替わりますが、やはり後半の迫力が圧倒的でした。演じるハイン・S・ニョール。名演技とかそういう言葉では表現できないほどの人間の強さを感じさせてくれるその姿はまさに圧巻でした。 最後はカンボジアを立ち去ったシャンバーグがプランと再会し許しを乞う。感動的な中にも考えさせられることが多い素晴らしいラストシーンだった。 【とらや】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-06-22 22:36:23) |
15.《ネタバレ》 妻投稿■あたりまえだけど私は殺人被害にあったことはない。せいぜい何年も前のセクハラ程度。でも暴力のある世界って、悲鳴もドカバキボコボコズドーンという音も一切しないんですよ。本当に静かなんです。この映画の後半20分みたいに。一見すると世界は普通に回っているんです。でもちょっと何かに躓くと、気づいてしまうんです。世界がすごく残虐である事に。沼地の人骨のシーンは息が上がるくらい怖かった。■映画の時間配分は欧米人の戦場紀行が大半で、ポルポト派の大虐殺シーンは実は後半30分くらいしかない。さらに欧米人の人情ばっかに焦点を当てて、カンボジア人を尊重していないという意見も日本公開時は聞かれたみたいだが、私はこの映画が間違っているとは思わない。■いざとなったらアメリカ軍が助けてくれる状態で、戦地で泣き叫ぶ子供を撮影する欧米人。吹っ飛んだコカコーラトラックと泣き叫ぶ子供というコントラストはピューリッツアー賞を取る良いコントラストなんだろう。でも実際大人を奴隷のように働かせ、拷問し、撃ち殺しているのは子供たちなのだ。映画で描かれた彼らの無表情で刺し殺すような表情こそ、欧米の戦争認識に対する最大限の皮肉じゃないのだろうか。■私はチャップリンの独裁者を見て、「ヒトラーをバカにしてホロコーストを否定できるのか」と疑問に思っていた。じゃあ、自分をカンボジア虐殺の少女兵士、強制労働させられる人々に置いてみて、どうやったら殺戮を否定できるだろうか。たぶん生きたいというあたりまえの願望や、社会性、常識といった生きる上で不可欠なものすら一度否定しないと無理なんじゃないかと思う。自分が生きている世界が少し変化した「ズレ」の中に大量の人骨が埋まっている構図は、そういう事を語りかけている気がする。 【はち-ご=】さん [レーザーディスク(字幕)] 8点(2011-07-02 05:54:08) |
14.《ネタバレ》 カンボジア内戦、そしてポル・ポト政権樹立・・・・そこで何が行なわれていたのかを、ドキュメンタリーのように生々しく伝えている作品です。非常に衝撃的な映像が出てきます、これが作り話でなくほぼ事実であることがとても恐ろしくてなりません。いくら格差社会は嫌だといっても、知識量の格差まで否定される社会というのはどうなんでしょうね・・・・。 正直、狂っているとしか思えない部分も相当ありました。 とにかく、ハイン・S.ニョールがまさに自らの体験に基づいた演技を超えた演技を見せてくれていて、本当に鬼気迫る作品になっています。 【TM】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2007-07-13 17:18:43) |
13.時代を知るために見なくてはいけない映画かもしれませんね。 凄まじい光景が次々と飛び込んできますが、主人公の正義とエンディングにはやはり感動させられます。 イマジンはこの映画で聴くのが一番いいかもしれませんね。 【坊主13】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2005-11-01 09:56:39) |
12.過去のカンボジアでのポルポト、クメール・ルージュの虐殺はここにいると伝わりにくい。映画だから脚色もあろうが、事実としてあったことを実感しました。いつもハリウッド映画ばかり観ていたので、ちょっとショック。そしてイマジンが良い。 【★ピカリン★】さん 8点(2004-06-16 22:33:08) |
11.幼い子供が銃を持たない世界であってほしいというのが私の切なる願いであります。 【tetsu78】さん 8点(2004-06-04 12:33:32) |
10.一応付けたけどこれだけは点数つけてどうこう言う映画じゃない。いわば番外。戦場ジャーナリストや原爆記念館がする仕事や価値観と、同じジャンル?で存在する「映画」だと思う。私たちはリモコンで止めるボタンを押せば見るのを止められるけど、戦争紛争の渦中にいる人は今だ世界中にいるし、傷跡に目を向ければ更にそんな人数が増えるって思うと、私には何ができるのかな。と考えてしまいます。そう言っといて不謹慎かもしれないのですが、マルコヴィッチってやはり魅力ある俳優だと思いました。 【丸子】さん 8点(2003-04-28 08:07:41) |
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9.ニョール氏の最初の映画でアカデミー受賞作ですね。よかったですよ。心からの感動、というのとはすこし違います。戦争映画をいろいろと見て、怖かったり悲惨だったりしますが、私の中では、「戦争はいやだ」ととてもつよく思った映画。 【みんみん】さん 8点(2003-02-26 19:32:13) |
8.クメール・ルージュの元幹部に対する裁判が、今でもなかなか進展しないのは、ポル・ポトの恐怖政治下で多くの知識人が殺されたことにより司法に詳しい人間が今のカンボジアに数少ないためだという。ポル・ポト自身、若い頃フランスに留学した経験のあるエリートなのになぜ知識人をあれほどまで憎悪するに至ったのだろう。一説によると20世紀の歴史において戦争よりも共産主義革命による死者の数の方が上回るそうだ。共産主義というイデオロギーの恐ろしさを知ることのできる作品。 |
7.☆さんの書いてることに共感。実際、私も物足りなさを感じた。けど、心に残る映画。自分にスポットライトをあてて考えさせられる。 【蘭丸】さん 8点(2001-10-25 00:25:47) |
6.同じ顔をした人々が殺し合う恐怖。“過去に毒されていない”子供たち、クメール・ルージュの思想の恐ろしさには鳥肌が立ちました。プランを演じたハイン・S・ニョールの演技を超えた生々しい表情が印象的でした。ラストシーンは感動する一方でどこか白々しさを感じたのは何故だろう・・・。 【雪うさぎ】さん 8点(2001-08-27 23:39:19) |
5.カンボジアでは、戦乱後、ポル・ポ派の支配下で、総人口の4割に当たる、330万人が直接的、間接的に犠牲となった。「地獄の平和」とは、よく言ったものだ。当時、ある新聞はポル・ポト派を礼賛する記事をしきりに書いたが、この映画は歴史的事実として、かなり正確に描かれていると思う。直接には語られていないが、ポル・ポト派の後ろで、中国共産党・文革派が糸を引いていた様子もよく伝わって来る。 【向日葵】さん 8点(2001-08-01 10:39:10) |
4.確かに【☆】さんの言うとおり、という部分もある。インドシナにおいて、あからさまな内政干渉をしておきながら、クメール・ルージュがプノンペンを陥落する寸前に脱出を図ったアメリカ。この「裏切り」に対してカンボジア人が感じた強い怒りと、政府命令によって脱出せねばならなかったアメリカの軍人たちが、アメリカ側に付いたカンボジア人を一人でも多く救おうとし、これが出来なかったことに対する深い自己嫌悪と罪悪感に一生苦しんだことを思うと、「現場」にいた人間の壮絶な苦しみが想像できる。カンボジア人高官の中には、「貴方達(アメリカ)を信じた私が愚かだった。しかし、自分はこの場所から逃げるわけにはいかない」と、アメリカが用意したヘリコプターに乗ることを拒否した人も多いと聞く。犠牲になるのは、いつもいつも民衆だ。累々と横たわる骸骨の一人一人には、家族も、愛する人もいただろう。ジョン・レノンの「イマジン」は涙なしに聴けない。 【ぶんばぐん】さん 8点(2001-02-12 13:05:13) |
3.映画の後半、ガイドのプランが体験する“殺戮の原野”の地獄廻り。その中でも殺された人間たちの白骨が泥沼の中に捨てられている景色を見るとき、我々観客としては言葉の無力感とともに国家のイデオロギー論議というものに、虚しさを感じずにはいられない。ようやく脱出に成功し、赤十字のテントを遠くから眺めるプランの固く静かな表情には、忘れがたい印象を残す。R・ジョフィ監督は、画面構成とエキストラの使い方が巧みで、戦場ならではのダイナミックな臨場感を見せてくれる。 【ドラえもん】さん 8点(2001-01-22 13:34:19) |
2.僕は政治系は苦手だから話の内容は掴みにくかったけど、虐殺された人達の骨が大量に放置されてたシーンはメチャリアルでした。 【T・Y】さん 8点(2000-12-15 21:24:10) |
【HIYO】さん 8点(2000-08-29 16:42:45) |