7.もうストーリーなんかスカスカで、ガラの悪い連中が集う、とある田舎町を舞台に、ガンマン同士の決闘大会が行われる、ただそれだけ。いや、何ならもっとスカスカでもよかったんだけど、シャロン・ストーン演じる女ガンマンを中心に、『タイタニック』で道を踏み外す前のレオ様が出てきたり、まだ痩せてた頃のラッセル・クロウが出てきたり、悪役はやっぱり(?)ジーン・ハックマンだったり、まさに枯れ木も山の賑わい。じゃなかった、何となく豪華な顔ぶれで、一応はそれっぽく物語を盛り込もうとしてます。ムダな足掻きですけどね。ははは。
ストーリーなんかよりも、映画の眼目は「どう撮ってどう見せたらオモシロいか」、ただ、それだけ。ほとんど荒唐無稽とも言えるような演出のつるべ打ち。中学生でも思いつかないような、中学生的発想のオンパレード。
こういうことを恥ずかしげもなくやってくれる、サム・ライミ。こんな映画を見て面白がっている自分も大概恥ずかしいのかもしれないけれど、ひととき、それを忘れさせてくれる、サム・ライミ。ありがとう、サム・ライミ。
と、最初に見た時には思ったのだけど、その後(とは言っても随分前の話になるけれど)ジョン・ヒューストンの『ロイ・ビーン』を見て、ビックリ。撃たれたヤツの体にキレイに穴が開いてるなんてアホな描写のネタ元が、こんなところにあったなんて。ジョン・ヒューストンもこんな恥ずかしいことをやってたなんて。ありがとう、ジョン・ヒューストン。
この『クイック&デッド』、基本的にはマカロニ・ウェスタン路線で、いや、どんなマカロニにも負けないくらいの「マカロニ過ぎる」作品なのですが、それでもやっぱりこのアホらしさ、能天気さというものは、アメリカ由来のものなのかな、と。黒人俳優の地位を切り開いてきた映画史の生き証人たるウディ・ストロードもまた、そこに顔を出していて。