1.《ネタバレ》 毎週月曜日の上関原発反対デモや埋め立てに対する海上抗議行動、4年に一度の神舞と呼ばれるイベントなど、
鎌仲ひとみ監督のドキュメンタリーとかぶる部分も多いが、こちらも現地に密着して島の人々の生活を丹念に記録している。
一本釣りの漁師の船に同乗しての取材。漁獲されたタコを浜で開いて天日干しの作業をする女性達の和気藹々とした姿。
時折インサートされる、高台から見下ろす島と「宝の島」と太陽の景観。それらのショットの寡黙さこそ、作り手のスタンスの明示である。
島の小学校の入学式が行われている。在校生二人と新入生一人の計三人は、どうやら長女・長男・次男だ。
来賓はご近所さん達なのだろう。校長先生、父親の挨拶が和やかな雰囲気の中で行われている。
新入生となる次男がお父さんそっくりなのも微笑ましい。
入学式が終わって下校する笑顔の三人を、子供たちの視線の高さに合わせてカメラが追う。
その3人兄弟である生徒たちが教室で仲良く合唱するシーンがとりわけ感動的である。
彼らの元気な歌声が、島の情景へと被さっっていく。
抗議行動の切実な叫びをラストに持ってくるかと思いきや、年越しの静かなシーンから続けて、生活音の流れる静謐なエンディングが慎ましい。
纐纈あや監督の美徳である。