4.《ネタバレ》 中村登監督を勝手に「松竹版成瀬己喜男」と想ってる私としては
この作品、中村監督版「おかあさん(’52)」。いやこっちが早いんですよね。
昨年2023年の神保町シアター、「中村登生誕110年」特集で鑑賞。
年取ってくるとこういう幸せいっぱいのホームドラマ、弱いのよ。
個人的にこの作品のツボは、配役の妙にある気がしてる。
笠智衆/山田五十鈴/高峰秀子/佐田啓二といった、
どちらかというと心に陰のある役柄を得意としてる彼らが
ストーリー上起こり得る不幸に胸を痛める演技が上手いので、
ラストの大団円にて「埴生の宿(ホーム・スウィート・ホーム)」を
泣き笑いで唄うラストが映えてくる。そしてアメリカのホームドラマを
上手く換骨奪胎した(父親笠智衆の物忘れ気質とか)
中村監督の職人ぶりもまたいいのよ、これ。
デビュー作品になった岸恵子、ここでは添え物。
ただ彼女のキャリアを考えたら、松竹/本作品のデビューは
最良のものだったのではないだろうか。
彼女の講演会で話されてて印象的だったのだけど
彼女自身当初は大学入学まで、と考えてた役者人生。
この作品で様々な才能と触れ合い、時間を共にする事で
本物の価値に出会い、本当に啓蒙を受けたんだろうな、
自分を磨く場として映画界に魅力を感じたんだろうなと
個人的には感じてしまった。
点数はこんなもんだけど、鑑賞後の気持ちよさも含めて
本当は+2点にしたい位。機会があれば是非。
ってまだDVD化してないの?がんばれ松竹