《改行表示》169.《ネタバレ》 名作を知らずに死ぬのは惜しいのでチャップリンとヒッチコックを見ています。本作「モダン・タイムス」は説明も多いですがしゃべりが無いのがいいです。個人的にはやはりチャップリンは無声映画が最も素晴らしいと感じています。 映画全体を見渡すと取っ散らかった印象があって若干説得力に欠けると感じる方もいるかもしれませんが、しかし要所要所、随所で見られる明確な意思表示や内面表現は非常に分かりやすくシンプルで力強いものでした。80年以上経った現代でも色々と当てはまる(思い当たる)部分があってなかなかに興味深く、トータルで見るとやはりさすがチャップリンとしかいいようがない素晴らしい仕上りだったと思います。 面白ポイント(納得ポイント)はやはり皆さん同様、、「ネジなら何でも締めたくなる病」「牢屋に戻りたがるほどの不景気」「デパートでのローラースケート」「歌」などのシーンです。ローラースケートのシーンは一体どうやって撮影したのか、地味ですが意外と凄いシーンだったりします。あとやはり歌の前に袖をすっ飛ばすシーンは大爆笑で、、ベタですがドリフとかより面白くて本物は一味違いました。逃げる際に椅子を散らかしていくのも地味にツボ。あと何気に「自動食事シーン」は星新一の短編小説を映像化したらあんな感じになりそうで笑えました。 個人的に気になったのが、、牢屋の待合室でくつろいでいるチャップリンの隣に座る牧師夫人とのやり取り。受刑者のくせにお茶を出されたり牧師に紹介されたりと、、まあ割と面白いシーンではあるものの、夫人と二人きりになった際のやり取りがよくわかりませんでした。これは何を意図して何を表現したかったのだろうか?いまいちピンときませんでした。 ラストの締めくくりは個人的にはちょっときれいごと過ぎて説教臭く感じてしまいました。いやもちろん笑顔は素敵なのですが、何となくちょっと出来過ぎた感じが鼻につく結末です。しかしながら総合的には非常によくできた素晴らしい作品だといえます。 【アラジン2014】さん [インターネット(字幕)] 8点(2024-11-05 17:28:13) |
《改行表示》168.数十年ぶりに再見しました。 チャップリンのパントマイムは仕草の一つ一つがおかしくて、本当に才能のある人だなと改めて思いました。冒頭の工場でのスパナや機械油を使ったパントマイムのセンスの良さ。名人芸ですね。 この映画は、喜劇としての面白さに加え、ローラースケートや歌声などチャップリンの芸達者ぶりにも驚かされ、社会に対する風刺も効いていて、そして希望を感じさせる印象深いエンディング。 チャップリンの才能が凝縮された傑作だと思います。 【wayfarer】さん [インターネット(字幕)] 8点(2021-09-25 13:21:19) |
《改行表示》167.《ネタバレ》 ~Modern Times~現代。いま。 なんてシンプルで美しいタイトルだろう。 いま、社会で起きていることを面白可笑しくドタバタコメディにしていて、それが80年以上経った現代でも共感できることが多々あるから、スゴイ。 家畜のように会社へ向かう人の波と、誰でも出来る単純な流れ作業。効率を上げるための無理なスピードアップ。 無駄を減らすための無駄だらけの食卓マシンが面白い。マイペースな口拭きマシンがイイ。 職業病でボルトっぽいものを何でもネジる男。 同僚のチクビをネジって、美人秘書のお尻のボタンを追いかけての、胸にボタンのあるオバサン登場。 どうなるか言わなくても解る見事な三段落ち。 働きすぎてノイローゼになったら病院=社会に戻すためのメンテナンス。 誤認逮捕されて刑務所=社会にとって間違った考えを正すための罰。 パンを盗んで捕まる娘=刑務所怖い。自ら無銭飲食で捕まる男=刑務所快適。同じ逮捕なのに考え方のギャップ。 社会風刺という固っ苦しいテーマにニヤリ…でなく、単純に面白く観られた。 『口角上げて、笑って。そうそう。』夜明けにすべてを失った二人が、希望を胸に歩き出す。スマイルの美しさ。 いつの時代も、いま、必要なことは、笑うこと。人間社会がある限り、普遍で不変のシンプルなメッセージ。 【K&K】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2021-05-28 12:28:16) (良:1票) |
166.良い映画だとは思う。私の笑いのツボが合わなかったのと、感動するほどでは無かったと言うだけで、ちょっと期待が高すぎたのかも知れない。作られた時期も考えれば名作と言われるのも納得出来る。 【alian】さん [DVD(字幕)] 7点(2021-05-08 18:34:53) |
165.所謂「人間疎外」系の社会風刺作品だと思っていたら、実はそうでもなくていつものドタバタコント&恋愛モノで少々期待ハズレ。 |
《改行表示》164.産業批判の映画と思われているが、それは序盤の話。 コメディの連続で、面白いがちょっと食傷気味になる。最後に「スマイル」が流れているシーンは良い。映画ってこういうものだと思う。 【simple】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-04-04 14:46:55) |
《改行表示》163.「機械化された経済社会への風刺」というのが有名な評価だけど、そこはほんの前半だけなのですね。舌鋒鋭い風刺作、というよりはむしろチャップリン十八番の、ほのぼのと元気づけられる作品に感じました。それに名曲"smile"の原典がチャップリン作曲で、この映画にあったとは。なんという多才な喜劇王か。 長引く不況下、必死に生きる庶民の姿は笑いにまぶしてはいてもやはり哀しい。でも実に屈託無く、起き上がりこぼしのようにめげないチャップリンに「元気を出して。笑って。」と言われて、劇中の彼女と同じく励まされる人はたくさんいることでしょう。ラストの二人の後姿は涙腺がじわじわきたせいで、ぼやけて見えたのでした。 【tottoko】さん [DVD(字幕)] 8点(2018-03-28 00:41:21) |
162.《ネタバレ》 良い映画。産業が効率化と機械化でブラッシュアップされ、外には失業者が溢れていて、チャップリンは「もう少し刑務所にいられませんか?」という。一方でデパートの中には素敵なおもちゃ、美味しい酒、ふかふかのベッドとあらゆる贅沢が詰まっている。仕事を欲し、掘建て小屋に喜びを感じ、幸せそうに朝食を食べる。うまくいきそうでうまくいかやいことばかり。程度の差こそあれ、いつの時代もみんな同じようなことに悩まされているのかもしれない。最後には「笑顔で行こうぜ」と終わる。生きるってそういうことなのね。 【lalala】さん [DVD(字幕)] 9点(2018-01-30 23:45:33) (良:1票) |
161.《ネタバレ》 小学生(40年前)くらいから何度も観ていますが、最近改めて観る機会があったのでレヴューします。当時はチャップリンの動きに対して笑っていた映画ですが、改めて観ると笑いの部分はもちろんですが、感動して泣いてしまいました。結婚して子供のいる自分ですが、この感動は、他のどんな恋愛・人間ドラマを描いた映画よりもシンプルかつ純粋です。刑務所にいる方が快適で、わざと刑務所に逆戻りする場面がありましたが、現代の世情がそのままあてはまっているので正直ゾッとする感じもします。しかし、最後はそれでも前を向いて歩こう、と二人は去っていきます。昔も今も結局人生の根本の考え方・姿勢というのは変らないのですね。最後の「スマイル(笑って!)」という台詞は音声は無かったですが、私にははっきりとチャップリンの声が聞こえました。全世界の人にも届くといいですね。 【金田一耕助】さん [地上波(字幕)] 9点(2018-01-03 20:55:31) (良:1票) |
160.チャップリン初観賞。意外だったのは、笑いの主成分がチャップリン自ら体を張った笑いやリアクション芸だったこと。当時の労働体制を社会風刺しているという前評判から、知的なユーモアを表現した上級者向けの笑いが提供される作品なのだと勝手に視聴のハードルを上げてしまっていたのだけど、チャップリンのコミカルな動きや表情の作り方が単純に面白い。廃屋の壁にもたれかかって池に落ちてしまうときの転がり方なんて絶品、なんて綺麗な転がり方なんだ。その他チャップリン自らがスタントしたというローラースケートプレイや、歯車に巻き込まれるシーンなど、体を使って笑いを取る姿勢に笑いの普遍性を感じました。社会風刺性は序盤ほど色濃く反映され、後半は生活の安定を求め七転八倒するドラマ性が強まっていった印象です。 【Jar_harmony】さん [DVD(字幕)] 6点(2016-05-12 05:54:45) (良:1票) |
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《改行表示》158.可笑しさが本能に響いてくるシンプルさがとてもいいです。感動的で楽しい作品でした。すべてを仕切るチャップリンの多才さに感服します。 【ProPace】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2014-08-27 21:54:05) |
157.これまでに見たチャップリンの映画の中で、唯一「これ、そんなに面白いかな…」と思っている映画です。最近、面白さと楽しさは別だという価値観を持つようになり、映画の見方が変わりました。モダン・タイムスは楽しいです。チャップリン映画の典型とも言える情のある話で、チャップリンが初めて肉声を披露したシーンは最高に楽しい。ラストショットも最高です。ただ、途中の話はあまりおもしろく感じません。チャップリンの映画を見るのだから、当然声に出して笑える映画を見たいわけです。そこでフィットしなかった。あくまで個人的な感想ですからね。とんでもなく楽しい映画に違いありませんよ。 【カニばさみ】さん [DVD(字幕)] 6点(2014-06-21 16:26:12) |
《改行表示》156.《ネタバレ》 「サイレント映画なんて、今見たら絶対面白くねえだろ」なんてイメージを粉々にブッ壊してくれたのがバスター・キートン、そしてチャップリンだった。 そんなチャップリン映画でも1、2を争う傑作がこの「モダン・タイムス」。 チャップリンはサイレント映画にトーキーの“音”を巧みに混ぜて演出。 サウンドの中で映像に合わせて響く機械音やベルの音。そしてラストのダンスシーンはチャップリンの歌声が収められる。 「歌の時くらい音を出したいな」と誘惑にかられたのか、それとも「音ってのはこういう時に使うんだよ」とアピールしたかったのか。いずれにせよ「ティティナ(ティティーナ)」の演奏が美しい見事なシーンだ。 「モダン・タイムス」の冒頭はフリッツ・ラングの「メトロポリス」を思い出すような工場の場面から始まる。 部品を流す機械、その上で機械のように部品のボルトを締め続ける人間たち。延々と続く流れ作業で狂ってしまう人間の滑稽さと恐怖。 冒頭の工場のやり取りだけでも面白いのに、後半はチャップリンが貧乏と向き合いながら起こす騒動でさらに盛り上げてくれる。 チャップリンが捕まるのは「偽牧師」以来じゃないか?散々法権力から逃げ続けてきたチャップリンも、とうとう捕まってしまう・・・世の中に対する皮肉がたっぷり込められているぜ。ただ、そこはチャップリン。 何度捕まろうが何度でも戻ってくる。愛する者のためなら何度でも。愛が成せる展開だね。 「今回がダメでも、また次があるぜ!」と語りかけてくれるようなラストシーンが素晴らしい。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2014-04-05 09:49:41) (良:2票) |
《改行表示》【pillows】さん [DVD(字幕)] 10点(2014-03-31 03:30:05) |
154.《ネタバレ》 やはり、序盤での大量生産工場の非人間性を風刺した部分が圧倒的に面白い。肝心の娘が登場してからは少々失速気味。というか、せっかく夜警の仕事を手に入れたのに、デパートでのんきに過ごすってどうよ。今から見ると、あまりにもお気楽すぎて現実味に欠け、共感できません。しょせんは夢物語。もうちょっとそれらしい展開なら、喜んで見られたと思いますが。「ティティナ」のシーンは文句なくすばらしいです(あれはイタリア語に聞こえましたが……?)。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-08-01 21:53:12) |
《改行表示》153.《ネタバレ》 工場で機械の一部としてネジ締めばかりの単純作業をコント風にチクリと風刺を効かせて描くのが、いかにもチャップリンらしい。 さらに仕事効率を上げるための自動給食マシンの実験もそう。 労働者の人間性を無視した資本主義社会への痛烈な皮肉になっている。 拾った赤旗を振っていたことから、デモ隊のリーダーと間違われて逮捕されるまでの流れがユーモアたっぷり。 デパートでの転落しそうなローラースケートは見もの。 チキンをダンスの群れでテーブルに届けられないシーンは絶品。 店で初披露したデタラメな歌と軽妙なダンスもたまらない。 チャップリンの動きはアートの域だ。 サイレント時代にセリフのない分、動きでの表現が磨きぬかれたためだろう。 ただ、歯車に挟まれた親方に食事を与えるシーンは、チャップリンが歯車に挟まったり給食マシンで酷い目に遭うシーンと被るので少しくどい印象になってしまった。 ブラック企業やワーキングプアが取り沙汰される現代にも通じる作品。 ただの風刺映画には終わらず、ちゃんとラブストーリーにもなっている。 ラストのスマイルも前向きで感動的。 太陽を背にした状態から太陽に向かって歩む二人の影は、希望とともに時間の経過を表すなど芸も細かい。 納得できないと何十回でも撮り直しをする完璧主義者のチャップリンだけに、影が反対になっているのが単純ミスとは考えにくい。 チャップリンが初めてスクリーンで肉声を発したトーキー映画としても、観る価値がある。 【飛鳥】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-06-18 23:54:03) |
《改行表示》152.チャールズ・チャップリンの映画を初めて観た。 と言うと、映画ファンとしての見識を我ながら疑ってしまうが、事実なので致し方ない。 自分自身、何らかの作品は観ていた“つもり”になっていた。 が、どうやらその曖昧な記憶は、数々の映画において“引用”されるチャップリンの映像によって刷り込まれていたものらしい。 言い換えれば、それくらいチャールズ・チャップリンという映画人は、世界中の映画ファンの記憶の中に最初から埋め込まれているような存在なのだと思う。 そうなると、初めて観るチャップリン映画を何にすれば良いのか?ということを悩まざるを得なかったが、何となく感覚的にこの「モダン・タイムス」を選んだ。 常に揺れ動く社会において、「仕事」とは何なのか?「働く」とは何なのか?ということをひたすらに描いた今作は、今まさに「仕事」に対して思い悩む日々を過ごす自分にとって相応しく、運命じみたものを感じた。 資本主義社会の中で、文字通り機械的に働き続ける男の姿を発端として、世知辛い世の中を風刺した今作。 働けども働けども光明が差してこない厳しさを、チャールズ・チャップリンによって笑い飛ばすこの映画は、きっと公開以来現在に至るまで世界中の“働く人々”に様々な影響を与えてきたことだろう。 素晴らしいと思うのは、人間味が薄れた厳しい社会情勢を下敷きに物語を展開させつつも、この映画は決してそのすべてを否定しようとはしてないことだ。 主人公の言動が終始一貫表しているように、たとえ世の中がどんな状況であろうとも、それでも人は働かなければならないし、働けるということに喜びを感じなければならないということを、きちんとこの映画は伝えている。 だからこそ、主人公は常に前を向いていられるし、ヒロインが打ちひしがれるラストでも、“スマイル”を促し彼女の手を引いて進み出せるのだ。 辛い世の中だからこそ、すべてを否定するのではなく、肯定すべき部分に目を向けなければならない。 この映画が長きに渡り世界中の人々に愛されているのは、そういった“力強さ”に溢れているからだと思う。 【鉄腕麗人】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2013-02-17 01:48:23) (良:1票) |
151.工場でチャップリンはその歯車の一つになろうと懸命に格闘するが、ノイローゼとなった結果意図せずサボタージュ扇動者となってしまう。さらに路上で赤旗振ってると思われ、逮捕される。この時代を政治的にハッキリ描いたメジャーなアメリカ映画は、30年代半ばの段階では少ないのではないか。富の偏りがあり、昼のデパートは金持ちに開放され、夜のデパートはやっと職を得た失業者と泥棒の世界となる。この夜のデパートの解放感がいい。ローラースケートで移動する滑らかさ、それは危険と隣り合わせだが、束の間の開放を味わわせてくれる。昼の工場と夜のデパート、近代が作り上げた二つの場所が対比されていたと思う。デパートのエスカレーターは、工場で主任を運び上げてしまったベルトコンベアーを思わせもするのだけど。本作からチャップリン作品は芸を見せる映画より、時代と戦う「言いたいこと」を言う映画になる。後世の私はそれをちょっと残念だとは思うが、その時代での勇気をこそ称えるべきだろう。 【なんのかんの】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-01-26 09:39:56) |
150.《ネタバレ》 工場で工員と経営者がいろいろやる話かと思っていたら、実はそれは導入部だけだったんですね。工場のパートは話の枠組と構造が単純で今ひとつなのですが、娘と出会って物語が動き出してからの方が断然面白いです。それと、台詞(この場合は字幕ですが)とシーンを必要最小限にすれば、90分足らずでこれだけの展開を盛り込めるわけで、その表現の力とでもいうべきものについては、今日でも参考になります。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-01-02 03:04:12) |