《改行表示》47.《ネタバレ》 かつて、テレビのニュースが伝えた湾岸戦争は、空を飛ぶミサイルを捉えても、そこにいた人々の顔は見えなかった。 この映画「ジャーヘッド」は、あの時、あの場所にいた、アメリカの海兵隊の若者の目線で見た、戦場の現実を描き出す。 原作は、アメリカでベストセラー小説となった「ジャーヘッド/アメリカ海兵隊員の告白」。 タイトルは、お湯を入れるジャーの形をした、ヘアスタイルから海兵隊員の事を指すということだ。 海兵隊に志願したアンソニー・スオフォード(ジェイク・ギレンホール)が主人公。 厳しい試練や新人いじめを乗り越えたが、配属先のサイクス三等曹長(ジェイミー・フォックス)の訓練も過酷だった。 プレッシャーに耐えかねた、仲間の死亡事故まで起きてしまう。 そして、ようやくスオフォードらの隊は、サウジアラビアへと派遣されることになる。 しかし、狙撃兵として現地入りしたものの、当面の任務は油田の警備。 若い兵士らの士気は上がっているのに、目に見える敵のいない毎日は、待つ事が仕事なのだ。 兵士同士で、恋人から人生についてまで語り合うが、スオフォードの退屈で孤独な気持ちは強くなるばかり。 気持ちははやるが、やることがなく鬱屈していく若者の姿は、戦場特有のものというより、どこか普遍的だ。 手に汗握る銃撃戦のないスオフォードの戦争は、燃え上がる油田の幻想的な光景で最高潮を迎える。 恐怖と退屈、そして絶望的に変わらない日々。 画面の中では誰もが見たことのなかった戦争の風景を、サム・メンデス監督がくっきりと浮かび上がらせている。 【dreamer】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-06-01 11:49:13) |
《改行表示》46.《ネタバレ》 戦闘のこと以外は一切思考を停止し、ひたすら任務を果たす。 訓練の段階から、徐々に一つの個体、マシンとして余計なことを考えさせない訓練がなされるのだなと改めて感じた。 まあそうじゃないと、普通の神経ではとても砂漠に百数十日もいられない。 何のための戦争なんて、だから描く必要なんてない。 ただ、マシンとして戦えばいい。 疑問を持ったら神経をやられてしまう。 ジェイク・ギレンホールは、この映画でもやはり抜群。 観てるのは苦しいが、完全に振り切った演技を堪能できた。 |
45.《ネタバレ》 戦争物…と肩ひじ張らないで、見ていられる作品。 【ゆっきー】さん [DVD(字幕)] 6点(2018-04-29 17:03:18) |
《改行表示》44.正直、おもしろくはなかった。てゆーか、少々退屈でもあった。 ただ、海兵隊の日常は追体験できたかな。 【なにわ君】さん [DVD(字幕)] 3点(2015-05-06 09:31:47) |
《改行表示》43.《ネタバレ》 「戦争」と言えば第2次世界大戦の事だと思う日本人と、朝鮮、ベトナム、湾岸…と戦争を経験してきたアメリカ人とではそもそも「戦争」というものの概念が違うんだな、と考えさせられた映画。 日本人の場合、戦争というのは歴史の教科書に出てくるものであり「過去の悲劇を繰り返してはいけない」とばかりにいろんな論議が繰り返させられてるわけですが、多くの国では戦争はそもそも「またすぐにあるかもしれないもの」なんですよね。 そもそも根本的な感覚が違うものを描いた映画だけに、普通の日本人にはおそらく理解不可能な映画なんだと思います。普通の日本人である僕の場合は「映画で言いたい事はわかるけど…」って感じでございました。 【あばれて万歳】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2014-07-23 08:35:09) |
42.類似作品を何作か観たことがある..本作もそうだが、映画として、面白味が無く、メッセージ性も有るんだか無いんだか..ぼやけてよく分からない..兵士目線でのリアルな日常と戦争が垣間見れたのは、それはそれで、私的に良かったのだが..もっと単純に、ストレートに物語として描いた方が良かったのでは、と思う..残念... 【コナンが一番】さん [DVD(字幕)] 5点(2013-01-26 17:15:17) |
41.《ネタバレ》 初めのうちは、馬鹿にしているのかと思えるくらい「フルメタルジャケット」の焼き直しでした。パロディでもなければ、リスペクトでもない。ひどい出来の映画かと思いましたが、後半は予想しない展開になりました。でも、ちょっとそこに至るまでが長いですね。 【海牛大夫】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2012-10-25 22:31:17) |
40.サムメンデスの演出はノレル。この映画は湾岸戦争モノですが、「地獄の黙示録」や「ディアハンター」のような映画が好きな現代っ子が主人公。しかし砂漠が戦場で、ただでさえ単調な砂漠を背景に、そして何も起こらない毎日に、殺人マシーンと化した彼らが段々とストレスがたまってくる様子がよく出てます。監督が凡だったら、映画でも退屈で仕方が無かったと思う。でもこれは湾岸戦争だったからこんな戦場だったのでしょう。いずれイラク戦争やアフガン戦争を題材にした、また違った感じの戦争映画が出てくると思います。その時は「退屈」な映画なんて創られないと思う(誰がテロなのか分からない恐怖があったり、高い山の上の酸素の少ないところが戦場なのだから)その意味でこれはものすごく異色な戦争映画。それにしても火のついた油田のせいで暗くなった砂漠や降ってくる黒い雨が目にしみて暴れる兵士とか(痛そ~)初めて知った湾岸戦争の一面でした。 【トント】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-12-17 03:18:35) |
《改行表示》39.《ネタバレ》 恐らく『戦争映画』を作る上で99%の監督が描くであろう戦闘シーンを描かなかった異作。 『ここで戦闘があるだろう』と言うシーンでも何も起こらない、次こそ何かあるかと思えばやはり何も起こらない。視聴者からすればストレスにすら感じるが、これって作中の兵士との心境をシンクロさせる見事な演出だと思う。 必死に訓練して、砂漠のど真ん中に放り出され、命の危険を感じる、それでも敵と戦い生き残ることで快感と開放感がそう言ったストレスを紛らわしてくれる。だがもしそれすら無ければ・・・・。 不謹慎な表現かもしれないが、例えばあなたがゲームをしていて、何時間もレベル上げを行い、難しいクエストをこなして装備やアイテムを集め、準備完了で魔王の城に乗り込む。一歩進むごとに様々な演出が気分を盛り上げ、コントローラーを握る手にも力が入る。だが結局敵は現れず、魔王も戦わず降参してしまった。激怒するでしょう? それがリアルの戦場で起こった場合人間がどうなるか、と言う今までにない切り口で『戦場に赴いた兵士たちの精神』を描いた作品。 うーん説明が難しい、とにかく『斬新な戦争映画』を見たければご視聴あれ。 演出も終盤の油田のシーンは非常に神秘的で面白かった。 上記の内容とは別に『スタンドバイミーの大人&戦場バージョン』みたいな響きに興味が湧いた人にもお勧めです。 【ムラン】さん [DVD(吹替)] 9点(2010-10-30 16:48:24) |
38.妻投稿■人間は自分という存在に対し、絶対的な支配権がある。唯一殺しても罪に問われないのが自分自身であるくらいその自己支配権は絶大だ。当然「死ね」と言われて死ぬ必要もないし、自分の命を守るためなら「社会人の品格」なんて踏みにじっても問題はない。それが人間の自然だ。■でも軍隊の訓練はそういう自然を不自然にし、自己支配権を組織に全部渡してしまう作業だ。その時点で実は物凄く無茶なんですよね。そういう無茶をさせられた人間が、戦闘に巻き込まれなくてハッピーハッピーかというとそうでもなく、「自分自身が安全で、殺されたり殺さなくてもいい状況」を許せなくなってしまう。「人間兵器」に自己進化した人間の、なんかすごく悲しいものが描かれていたと思う。■でもそういう人間を作り上げる事で現代社会の繁栄と安全は成り立っているんですよね。結構重い問題ですよね。 【はち-ご=】さん [DVD(吹替)] 8点(2010-09-02 22:40:22) |
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37.《ネタバレ》 海兵隊兵士の品のなさがとってもリアル、でもこれが現実なのでしょう。こういう客観視というか突き放した撮り方は、監督が英国人ならではと言うことでしょうか。アメリカの最近やっている戦闘は「非対称戦争」と良く言われますが、この映画でも米軍が損害を受けるのが味方の誤爆だけで、とても判りやすい。しかしこの海兵隊の若造たちは、みんな志願して入隊したわけなので、個人的には感情移入や同情は出来なかったですね。青春群像劇として観ることも可能でしょうが、リアルに描けば兵士たちは女と酒にしか関心がないという風になってしまうし、そこはジレンマですね。しかしイラクやゲリラ相手の戦争では軍艦が撃沈される心配はなさそうだし、米軍に志願するなら海軍の艦艇乗り組みということですな(笑)。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-05-07 21:53:54) |
《改行表示》36.こういう戦争映画もありなのだとは理解出来るのですが、基本的な内容と使用される台詞、会話の数々は、わざわざこの「世界観」でなければならないのか...終始疑問が沸き上がり、見終わる前から不完全燃焼な気持ちになっていました。 これも現実と言われればそれまでですが、真の湾岸戦争を掘り下げ、戦争に対しての幻滅や狂気を描き、そもそもこの戦争の無意味さを語るなら、他にいくらでもテーマはあったはず...この映画を作ろうと企画した事自体に疑問を感じます。 【sirou92】さん [DVD(字幕)] 0点(2009-12-06 01:19:18) |
《改行表示》35.《ネタバレ》 面白かった。良作。 はっきりと分かるのは、アメリカ人にとって戦争とは朝鮮戦争以降のことだろう。朝鮮戦争やベトナム戦争にしても、クラシックな戦争で今現在の戦争というイメージではないと思う。 そういう意味では、やはり第二次世界大戦というものはさらに古典戦争の世界で、歴史の教科書に出てくるテスト対策のような話なのかもしれない。日本人が第二次大戦中の話をみて涙し、これを風化させまいという話を一生懸命作り続けているのとは違い、アメリカでは常に変わり続ける戦争の意味を賢明に現実とすりあわせようとしているかのようだ。 アメリカ人にとって、戦争はずっと続いている(お祭り的な意味ではない)イベントの一つなのだろう。そこでは常に日本人が幻想を抱く第二次大戦中の悲劇と同種かそれ以上の苦しみが現存し、それを放置し国益や自国民の生命を損なうことすら無かったことにする、他の西欧圏諸国とは違う現実主義が横たわる。 アメリカの身勝手、のように豊かな地域のアジア圏ではねじ曲げられて良いように紹介される戦争は、常にアメリカだけではなく中東との共存を描く西欧圏全体の秩序を乱す組織的な悪の存在が根源となっている。中東だろうがアジアだろうが、ビジネスの場であり生活の場でもある、単なる地球上という場所をテロリスト的な集団(いろいろな規模を包括して)が思想と暴力で蹂躙しようとする。その集団の主張をなぜかテレビや雑誌が拾って真剣な顔でアメリカ批判をする状況は少し異様ではないだろうか。 そういった批判は少なからずアメリカ国内にもあるようだが、そんな中戦地に赴いた主人公達の任務は、戦闘と呼べない相手側の脆弱性に耐えることだった。古典戦争の世界にあった闘争はそこにはなく、はっきりと異質になった現代戦争の有様は、気持ちの悪い、国家ではない思想的な何かを相手にした、それに対する準備を強いられる毎日だけだった。 武力と恣意の危険な思想集団は今もその脆弱性や攻撃誘発性を巧みに操り、同情を引き相手方の主張をぶれさせ同化しようと奔走している。それはこの映画に具体的には描かれていないが、すでに共通認識としての下敷きとしては明らかに存在する。 【黒猫クック】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2009-11-23 15:20:46) (良:1票) |
34.アメリカからいきなり娯楽の無いところへ行くとああなるのかなんか下品。実際イラクに派遣した人々はあんな感じなのだろうか。今までの戦争映画と違ってそんなに戦闘のシーンも少なく、人が死なないので妙にリアル(な気がする)。 【秀吉】さん [DVD(字幕)] 4点(2008-11-28 01:44:00) |
【eureka】さん [DVD(字幕)] 4点(2008-03-20 21:00:50) |
《改行表示》32.“主人公が一人も人を殺さない戦争映画”と何かに記されていたが・・。 少し前の湾岸戦争が背景。TV等で身近に感じていたが、その裏側の現代戦、人間と兵器の関わり。第二次世界大戦とは全く異質の戦場。等々見事。でも面白い作品ではなく、疲れる、虚しい作品。でも油田の燃え盛る背景は異様で美しい。 【ご自由さん】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2008-01-28 14:49:24) |
31.《ネタバレ》 フルメタル・ジャケットのパロディで始まるが、トーンとしてはM★A★S★Hに近い。アメリカにはうつろな躁を描く戦争映画の伝統があるよう。地獄の黙示録でノリノリにさせて出撃した先での退屈の日々。石油のための戦争だけど、その石油は自分らの糞便を焼くために使われてる。そもそも主人公が狙撃兵という大時代なもので、やっと出番が来たと思ったら大ざっぱな空爆で仕事がなくなってしまう。なんとも苦いギャグ。現代の戦場は、もう狙撃兵の腕といった芸なんぞを披露する場ではなくなっているのだ。こんなとこに二度と戻ってこないぞ、と湾岸戦争の舞台で叫ぶ主人公たちの未来に、イラク戦争が控えていることを我々観客は知っている。油まみれの馬に地獄を見た。 【なんのかんの】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-11-21 12:21:38) |
《改行表示》30.《ネタバレ》 前半の訓練部分は、FMJに似ていますというより見終わった結果の印象としては同じです。似ていても前半部分の勢いは、良いのではと思いました。後半も前半のまま人間ドラマを描きつつ、作品はそのまま終了。 戦闘シーンが一切無い映画として考えたとしても何か物足りない感じです。 【doncdonk】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-11-06 21:16:29) |
29.《ネタバレ》 ほとんど盛り上がる事のない、全く面白くない戦争映画だけど、戦地行ってる人間にしたら、戦争に面白いも面白くないもないんだよなぁなんてしみじみ・・・。ジワリ「戦争・人間・アメリカ」の狂気が迫ってくるような秀作です。従来の戦争映画の形を忘れて、頭をからっぽにして観るべし。 |
《改行表示》28.《ネタバレ》 観てしばらくしてから、ジワッとアメリカの狂気を感じた。兵隊が直接銃で人を殺す戦争にはある意味わかりやすい戦争の狂気が描かれているが、この映画にはそれが全く無く代わりに、個人の狂気と言うよりもアメリカ社会の狂気を感じてしまった。 兵士にとって、こんな戦争はあまりにも無意味に人生に傷を残すだろう。 【camel】さん [DVD(字幕)] 5点(2007-10-14 00:29:31) |