3.《ネタバレ》 フィルムセンターにて鑑賞。
若かりし頃の鶴田浩二と佐田啓二の二枚看板による、川島風味ただよう恋愛喜劇。
鶴田浩二がとにかく素晴らしい。
理路整然ととにかく語る語る鶴田浩二が素晴らしい。
鶴田浩二出演作の中で、個人的には彼の魅力が最も出ていると感じた。
やや濃いキャラクターなのだが、熱血的でもあり、でもどこかトボけている。
そしてとにかく痛快な理屈を吐き散らす。
一サラリーマンでありながら、社長に対しても全く臆せず、思っていることを全て吐きまくるその横暴とも言える振る舞いに、観ているこちらは胸がすく快感を覚えた。
対する佐田啓二は、いつもの軽い調子。
濃い目のキャラを演じた鶴田浩二とうまくバランスがとれていた。
ヒロインに津島恵子。
ちょっとウザ目のキャラだったが、女らしいところもあり、なかなか魅力的であった。
サラリーマンものの喜劇といった部分も持ちながら、川島雄三監督独特のスピード感もあり、又、若き鶴田浩二と佐田啓二、そして津島恵子が織り成す恋愛ドラマもまた楽しい。
そして、社長が若い頃に女に産ませた子供の悲劇を描いたという部分においては、しんみりとさせる悲劇的要素も含んでいるのだ。
実に色んな要素がからんだ傑作だが、川島雄三監督のそれまでの様々な作品の要素がふんだんに取り入れられた集大成的な意味も感じた作品であった。