1.「寅さん」以前の山田洋次=ハナ肇=倍賞千恵子ラインの作品を観るのはこれが初めて。
クレイジー・キャッツを知らない世代の人間としては、当時のハナ肇氏の人気の所以がイマイチピンと来なかったんですが、これを観て、彼に絶大な人気があったのに納得。濃ゆい彼の外観プラスキャラクターと、倍賞さんの淡白な感じが絶妙なコンビネーション。一目でお人よしの正直者と解ってしまう満面の笑顔がいいですね、ハナ肇って。オハナシはいささか間の抜けた「典型的巻き込まれ型アクションコメディ」。肝心のダイヤモンドの扱いが杜撰過ぎるし、幾らカーナビがない時代とはいえ、無計画・無防備・無謀なアルプス越えには閉口したが、常に「ああ・・・どっか行きてえなあ・・・」と思っている日常生活脱出願望が強い自分にとっては疲れきっていた金曜の夜の息抜きとしては充分な出来。山田監督の演出は当時から泥臭くないのが救い。一体どこから防寒具やら、担架代わりの橇やらを調達して来たんだ・・・?そういった細部がいかにもご都合主義だけど許す。妹の倍賞美津子がどこで出てくるのかと思ったら、ナルホド、こう使ってきましたかあ・・・(笑)