3.映し出される登場人物と同等以上の存在感をもって、
独特な構造をもった居住空間や街の景観が、深いパースペクティブを活かした
画面の中に印象深く捉えられている。
被写体をひたすら粘り強く追っていくハンディカメラによって、
画面の中の都市空間はより立体性を増して迫ってくる。
その中で、突発的に起こる銃撃のバイオレンスが幾度か繰り返されることで、
何気ない日常のシーンがそれだけで張り詰めたものとなっていく。
罠に嵌って郊外へとおびき出される青年たちのバイクの迷走を
後方から見下ろすように追うカメラ。
それだけで、ただならない不穏と緊張が漲らせている。
さらに、凄惨なシーンに被さる軽快な音楽も対位的に効いており巧い。
防弾着で銃弾を受ける度胸試しの順番を待つ少年たちの、
演技には見えぬ迫真の表情などは忘れ難い。