1.《ネタバレ》 大英帝国が大好きな特殊コマンド作戦のひとつを描いた作品。第二次世界大戦時、ドイツの戦艦ティルピッツを撃沈しようと英国海軍が躍起になった史実をもとにしています。ノルウェーのフィヨルド奥深くに隠れているティルピッツを仕留めるためにまず考えたのは人間魚雷作戦。人間魚雷と言っても日本の回天みたいな自殺兵器ではなく、魚雷をオートバイみたいに人間がまたがって操縦できるように改造して、目標の船底に時限式弾頭をくっつけて乗員は脱出するという方式です。実はこれはイタリア海軍が開発した兵器で、英国海軍はこいつの攻撃で戦艦2隻を大破着底させられるという痛い目に遭っています。映画ではこのイタリア海軍お得意の戦法をまるでイギリス人が考えたような撮り方をしてますが、まあそこはご愛敬と言うことでしょう。訓練に苦労して作戦は実行されますが、漁船で曳航中につまらないことでこの魚雷がおシャカになってしまい失敗します。次に考えたのは4人乗りの小型潜航艇で近づいて携帯電話のバッテリーみたいな時限爆雷を置いてくるという作戦です。今度は何とか上手くいってティルピッツには大損害を与えることが出来ましたが、参加した隊員は全部戦死するか捕虜になって“潜水戦隊帰投せず”と言うわけです。 捕虜になってティルピッツに上げられても、ドイツ海軍がちゃんと敬意を持って扱うところがちょっと驚きで、ウソ臭いと思うかもしれませんがこれが史実だからまた凄い。こういう英国式特攻作戦は結果的に捕虜になってしまうことを前提としていますので、日本相手の太平洋ではほとんど実行されなかったそうです。後半部での潜水艇内での細かな描写は光っていますが、劇中で女性がまったく登場しないとっても地味な映画でした。