61.《ネタバレ》 小説を映画化する場合、そしてそれがミステリー系である場合、結構難しい問題が発生します。
一つは映画の尺に合わせて登場人物やエピソードを整理する必要があること、そして登場人物に実際に役者をキャスティングしなくてはいけない事です。
それが文字だけで書かれた小説であれば、真犯人を多くの人物の中に埋没させる事はそれほど難しくありません。
しかし、映画となると登場人物やエピソードが整理される事によりどうしても真犯人が目立ちやすくなりますし、しかも真犯人にはそこそこ知名度のある役者がアサインされるのが普通です。
この映画であれば、スピードで主人公のバディ(途中は後方支援で、映画後半で死ぬ)役をやっていた彼です。奇しくもこの映画でも「バディ」だと主張する彼です。映画全体でみればかなり有名な方です。
さてこの映画を観ている途中「真犯人は誰かいな?」と普通に考えてみると、配役とキャストから考えて、一人しか犯人候補がいないという悲劇的状況に気が付いてしまうのです。しかもかなり早い時点で。
ミステリにおいて真犯人がだれか早々に気づいてしまう…これはミステリとして相当な悲劇つか致命傷です。
そして残念ながらこの映画では映画を半分も観れば真犯人が誰かについては(相当なおバカでない限り)ちょっと考えれば誰でもわかってしまいます。
この時点で映画の面白みは半減です。犯人が誰かがわかってしまえばそこから逆算して動機などを考える事ができますしね。
小説だったらもうちょっと彼を目立たない存在にできるわけで、うまくワンノブゼムにすることができると思うのですが、残念ながら映画ですからどうしても彼がある程度目立ってしまいます。
これはもう、これが映画である以上しょうがないのかもしれません。
というわけで原作未読ながら映画の構造だけで早々に犯人がネタ割れしてしまう本映画。
まぁそれなりに最後まで面白く観る事はできますが、しかしどうしても高得点はつけづらいのです。