3.《ネタバレ》 「アンダルシアの犬」に続く前衛映画。
後のメキシコ時代におけるブニュエルは本当に凄いと思うが、やはり初期のシュルレアリスムを素直に賞賛する気になれない。相変わらずブニュエルの意味不明ぶりは凄まじい。
ダリですら最初だけ関わって逃げ出したほどだ。
ストーリーは一応メッセージがあるようだが、やはりメチャクチャである。
ネズミとサソリの戦いは何を物語るのか。
サソリの勇猛さか、飲み込まれる無謀さか。
骸と化した宗教は何を問いかけるのか。
現代宗教の空洞化?宗教に中身なんか無いって?
疲れ果てた兵士やならず者たちに宗教は関係なかっただろう。
骸と化した宗教に祈りを捧げる人間。
その横でS●Xをしようとする男女。
宗教ナメ腐ってますよ。そりゃこれだけバカ右翼にケンカ売ったら爆弾投げられますよ。
ブニュエルのその勇気に100点。
セクロスを邪魔されて怒る男。
「宗教なんてどうでもええんじゃバーカ」
いや場所は選べよクソ野郎。
犬は蹴るわ、虫は踏み潰すは、盲目の男は蹴るは、婦人を平手打ちにするわ、情事を邪魔する男を射殺するわ・・・ブニュエルの社会批判はご立派。
ただ劇中のこのDQN野郎だけはブチ殺してえ。
メイドが火に包まれても意に返さない上流社会、人間の薄情さ。
さっきまで子供と戯れていた男が自分の大事な物を壊されて豹変、発砲。
人間の内に潜む凶暴さを描くブニュエル。
家を爆破していく様子も人間の破壊に対する欲求を表すのだろうか。
女との情事に吐血するほどの喜びを表すDQN。
ただ女が求めていたのは男の愛では無かった。
マグマのように強すぎる性への執着は糞尿のように汚い。
男はそんな女に失望し、当り散らす。
いや女に当たれよ馬鹿なのかおまえは・・・でもフラれてざまあ。死ぬより辛い仕打ちだろうよ、死ぬほど愛した女に裏切られる気分は。
他者に対する思いやりが無い男が本物の愛を勝ち得る訳が無い。そこがこの映画の言いたいことでもあると俺は思う。
キリストだって女を手にかけちゃうし。
ヒトラーをDISったチャップリンに並ぶ男よ(難解すぎて伝わる人が少ないけど)
この映画の「黄金時代」とは歴史の上での定義では無いだろう。
人間それぞれに訪れる絶頂の日々。この男にとっての「黄金時代」は女との愛を信じていた瞬間だ。それが無いと解った時、彼の「黄金時代」は終わりを迎えた・・・てな感じの映画だと俺は思う事にする。