3.《ネタバレ》 如何にも低予算といった感じで、サメの出番自体は少ない本作品。
でも、最初と最後とに見せ場を用意している為、枠組みはキッチリしているように感じましたね。
カーチェイスにも力が入っていて、もしや監督さんはそちらをメインに撮りたかったのでは? と思えたくらい。
「ジョーズ」や「ターミネーター」などのパロディ演出が盛り込まれているのも、見所の一つ。
バレないように剽窃している感じではなく、ちゃんと分かり易く「皆も元ネタ分かるよね?」と訴えるような形に仕上げているから、何だか憎めないんですよね。
車で刑務所に突っ込む前に、わざわざサングラスを掛けてくれる辺りなんて「そこまでやるか!」とツッコみつつも、面白かったです。
難点としては、映画の大部分を占める人間ドラマのパートが少々テンプレ過ぎて、退屈に感じる事が挙げられるでしょうか。
「私はもう、子供じゃないわ」という台詞が象徴するような、お約束の父娘の対立。
亡き妻の事を忘れられない主人公と、そんな彼を癒してあげるヒロイン。
裏切って敵方に付いたかと思われたが、最後の最後で改心して味方になってくれる親友。
どれも王道の魅力を備えてはいるのですが、ちょっと既視感が強くて、ノリ切れなかった気がします。
巨大なサメの歯を拾い、そこから体長を推測して戦慄する描写など「サメ映画のお約束」が盛り込まれている分には、気にならないんですけどね。
その他の部分まで「サメ映画以外のジャンル作品でのお約束」で一杯だったりすると(こういうのが観たかった訳じゃないんだよなぁ……)と思ってしまうみたい。
サメ関連の部分は王道に仕上げ、その他の部分は独自色を出す、くらいのバランスが、自分は好みなのかも知れません。
肝心のサメが登場するシーンに関しては、中々迫力があり、良かったと思います。
もう本当に笑っちゃうくらいに巨大で、人間なんて簡単に丸呑み出来ちゃうサイズであるという設定を、きちっと活かした演出にしていましたね。
ヘリに食いつこうとしたサメを、空中で爆殺する終わり方も痛快でした。
全体を通して考えると微妙な部分も多いのですが、終盤に盛り上げてくれた為、観賞後の印象は悪くない、という感じですね。
こういうサメ映画は、夏になると無性に観たくなりますし、そんな期待に、しっかり応えてくれた一本だと思います。