56.《ネタバレ》 ハリーハウゼン作品を大人になってきちんと観ることは初めてだった。
『30年前のファンタジー作品なんて見るに耐えないだろう』と鑑賞前に思っていたが、その考えは大きな誤りだったようだ。
ショボさがほとんど感じられず、むしろCGよりも興奮することができる。
大切なものは“技術”や“テクノロジー”ではなくて、“情熱”や“イマジネーション力の大切さ”ということを学ぶことができる最高の作品。
現在のCG作品よりも、こちらの方が迫力があり、優れているというのは、一体どういうことなのだろうか。
合成にも関わらず、違和感なく仕上げられている努力の賜物には頭が下がる。
映像だけではなくて、影や音声なども駆使して、総合的に盛り上げている。
神話の世界が見事に繰り広げられており、冒険心を掻き立てられた。
次から次へと登場する見たことのない創造物には興奮せざるを得ない。
メデューサ戦で、メデューサが姿を現す前にいきなり矢が吹っ飛んでくるという辺りもなかなか計算されたものとなっている。
二つの頭がある犬との戦いでは、きちんと血しぶきが上がっているところなどが見事だ(ただのヘビに邪魔されているペルセウスが残念だが)。
機械仕掛けのフクロウが出てくるという発想がなかったため、あの変化球も見事といえる。
緊張感のある作品だが、あのフクロウのおかげでその緊張を和らぐことができるので、映画にとっていい効果を与えている。
キャスティングもなかなかイメージとマッチしている。
ゼウス、ヘラ、テティスといった神々たちもよいが、ペルセウス、アンドロメダ、アモン役もよい。
特に、アンドロメダ役がマッチしており、ストーリーに説得力を与えている。
神々の姿もどこかユーモラスだ。
自分の息子を優遇し、自分の息子ではない者を冷遇し、争いが起きるというのは人間らしいところがある。
より人間らしく描いて、身近なものに感じて欲しいという趣旨でも込められているのだろうか。