柳川堀割物語のシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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柳川堀割物語

[ヤナガワホリワリモノガタリ]
1987年上映時間:165分
平均点:8.67 / 10(Review 3人) (点数分布表示)
公開開始日(1987-08-15)
ドキュメンタリー
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タイトル情報更新(2021-06-07)【イニシャルK】さん
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監督高畑勲
加賀美幸子ナレーション
国井雅比古ナレーション
脚本高畑勲
音楽間宮芳生(テーマ音楽)
製作宮崎駿
スタジオジブリ(二馬力)
作画田中敦子〔作画〕(アニメーション原画)
美術山本二三
保田道世(色指定)
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3.《ネタバレ》 水路で有名な福岡県柳川市。過去に水路の汚染問題、そしてそれに伴う埋め立ての都市計画に対して「水路を浄化して生活に役立てる」事を提案し、実際に再生を果たした市役所の一係長の話をロケハンで訪れた際に聞いた高畑監督はこの話を元にドキュメンタリー映画を製作する事を思いつき、1年間の予定で現地に入り撮影を開始。ところが実際は撮影が2年に及んだ挙句資金が枯渇し(「ナウシカ」の売り上げは全てこの映画に消えたとか)、製作者宮崎駿は家を抵当にかける羽目になったのは有名な話。何しろ上映時間2時間40分は長い。映画館で鑑賞した私、マラソンみたいなものでしたよ本当。但水路の歴史や人々の営み、汚染問題や住民運動、そして再生を描き出すのにはどうしてもこの内容で無かったら駄目だったんだろう。ポイントは3つ。1 水路を走る船やそこからの光景、また人々の生活の捉え方はまさにアニメ的なダイナミズムに溢れているのが面白い。アニメによる説明よりも実写の方がアニメ的というのか。 2 高畑監督はテーマを設定し、それを基幹にストーリーを展開する事にこだわりを持っていたと思うが、この作品以降はそれに加えて「アニメーションと社会との関わり(現実的なリアリティ)」といったポイントをも考慮する様になった、という意味で作歴のターニングポイントになったと私は思う。そして3 盟友宮崎駿の「ナウシカ(’84)」「ラピュタ('86)」に対する高畑監督なりの回答:自然と人間生活の共生、そしてその在り方がこの映画に含まれているのではないかと感じたのでこの点数。 「火垂るの墓」「平成狸合戦ぽんぽこ」「おもひでぽろぽろ」だけじゃない、ってかまずは世界名作劇場の高畑作品を見てからなのだろうけど、機会があれば。
Nbu2さん [映画館(邦画)] 8点(2021-04-17 19:09:51)
2.本作のことは高畑監督のWikipediaを眺めていたときに知った。
本監督の映画は「セロ弾きのゴーシュ」「おもひでぽろぽろ」「火垂るの墓」「平成狸合戦ぽんぽこ」「ホーホケキョ となりの山田くん」「かぐや姫の物語」の六作品しか見たことがなかったが、Wikipediaで見てみると、これが映画については本作を除く全てであった。ゆえにこの作品だけ見ていないという訳にも行かなくなって視聴した。
本作の立ち位置はドキュメンタリー映画と教育的映像作品のちょうど間に位置する。ドキュメンタリー映画にしては言語的な情報量が多く、教育的作品としてはあまりに美意識が高い。
2時間40分もの時間は、ドキュメンタリー映画としても、教育的作品としても長過ぎるが、その濃度は平均的な作品のものとは比べようのないほど濃い。切り替わっていくカットはそれぞれ新しい情報あるいは情景を提示し、この作品がどれだけ時間を惜しまずに制作されたかよく分かる。引き伸ばしての三時間弱ではなく、切り詰めての三時間弱である。1シーズン12話のシリーズものドキュメンタリーを一本に凝縮したものと考えれば、それほど長い時間の作品だと言うことにはならないだろう。
実際的な「掘割」の役割と、歴史・文化的な意味合い、そして生活的な立ち位置、及び美学的な見地、多面的な視点がひとつに統制されていて、見ていて器の大きさ、あるいは懐の深さに感銘を受けた。これほどのスケールのドキュメンタリー作品は見たことがない。小さな街からこのような作品が生まれるということは驚異的である。(ここでいうスケールという言葉の意味は、けしてBBCが見せるような技術的スケールではない。あくまで精神的スケールの話である。)
浅田荷葉さん [DVD(邦画)] 10点(2019-05-12 10:02:51)
1.映画の冒頭、緩やかに進む平底舩の船首低位置に据えられたカメラが
掘割の景観を映し出していく。
木々から漏れた陽光が水面で反射し、
水路沿いの民家の軒下に光の揺れを作り出している。
子供たちが戯れ、ご老人が寛いでいる。
また夕焼けの水田では、逆光の中で一人の男性が足踏み水車を回し続けている。
かつては映画の最初期にも撮影されたそれらの風物は、柳川の景観として以上に
映画の被写体として、動的かつリズミカルで尚且つ美しい。

古くから培われた掘割の合理的なシステムが、アニメーション・図版を活用して
解説されるのも勿論アニメーション監督の特色だろうが、
大半を占める実写部分のレイアウト、動きの捉え方にその資質が表れている。

高度成長期の危機に瀕した掘割。その汚れきった死相は、静止した一枚写真の
数々で提示されるのも高畑流の演出だろう。

流れ、巡ってこそ生きる水が、動きあってのフィルムを通しての生として語られる。




ユーカラさん [DVD(邦画)] 8点(2014-07-24 15:51:08)
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【点数情報】

Review人数 3人
平均点数 8.67点
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100.00%
200.00%
300.00%
400.00%
500.00%
600.00%
700.00%
8266.67%
900.00%
10133.33%

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