2.《ネタバレ》 画面を圧する顔の力。カメラを前に語る農民や学生らの表情のクロースアップと、無言で平静を装う機動隊員らの表情の対照が鮮明だ。
タイトルでも「演出 小川紳介」と宣言するだけあって、状況への積極的な加担とスタンスを明確にしている。
ドキュメンタリーとは、ある意味でテロリズムである、と。
ラストを締めくくる柳川初江さんへのインタビューには成長する野菜類のショットなどもインサートし、主張を厭わない。
そして公団や機動隊員らと婦人行動隊が対峙する最前線に据えられたカメラと機動的な移動撮影にもよって、
あるいはシンクロしない画面と音声の演出によって、映画は全編アクション映画の趣である。
沖縄問題を主とする地方と中央の対立がさらに顕在化する中、ようやく今年ソフト化された小川プロダクションの三里塚シリーズが
変わらぬ戦後日本の現場を生々しく伝える。(本作は太田出版から2012年に発売済)