1.《ネタバレ》 マンガの映画化である。主人公の衣装やメイクを見るととてもまともな映画には思えないが、外見をマンガに似せただけで話の中身は真面目である。マンガ原作のため全体的には軽いお話で、途中までは普通にダークファンタジー調だが最後に泣かされてしまうのが意外な展開だった。
映画では原作の第1巻から複数エピソードを選んで構成しており、最初に全エピソードが始まって同時並行で進むのかと思っていたら途中で先に2つが終結してしまう。その後の展開に???と思って見ていると、最後に事情がわかって泣ける話になっている。???の部分はシチュエーション自体に変な印象もあるが、一点だけ明らかな疑問が生じる箇所があり、それがヒントになって最後の種明かしにつながっていた。ちなみに「5年」の辻褄は合っている。
小道具の「妄想燐寸」に関しては、病室の老人が説明書きの意味を自ら理解して使ったのはさすが年長者だが、大学生は目的がはっきりしているが視野が狭く、高校生は単なる馬鹿、といった形で年齢差がついていたのは少し面白い。「妄想」と「願望」の違いは解釈が難しいが、妄想は定義からして破綻が見えており、あまり大がかりなものにしないのが無難ということか。年長者だと寿命1年間は切実に思えるだろうから、その点でも病室の老人の使い方は有効だったと思われる。
キャスト面では、一応は佐藤すみれ(AKB48→SKE48)主演のアイドル映画になっている。ただ主演といっても狂言回し的な位置づけであり、実際は各エピソードに出る役者が頑張っている。
DVDの売り方を見ると、看板アイドルのほか各エピソードに出る男の出演者で女性の観客を引こうとした節もあるが、それぞれに対応するヒロイン役もいるわけで(上野優華、唯月ふうか+森迫永依、美山加恋)、これを目的にして見る男がいても変ではない(自分もそうだ)。
なお若手に比べると病院の老夫婦はさすがの重厚感がある。丘みつ子という人は久しぶりに見た気がする。