7.《ネタバレ》 (ネタバレ含みます。未見の皆様はご注意願います。あと長文になってしまいました。ごめんなさい。)
それでは謎解きを。嘘です。テキトー妄想解釈です。参考程度でお願いします。
バスはデロリアン号に同じ。核燃料未搭載なれど、性能は遥かに上。瞬きする間に6年後の未来にタイムスリップしました。行き付いた先は人気の無いまるでゴーストタウン。ライフラインが機能していることから、直前まで人々が生活していた事は明らか。近くで原発事故が起き急遽避難したため、街はもぬけの殻だった。これが事象の外郭と考えます。
次に詳細をつめましょう。まず彼らが死んだ理由。これは飛び越えた6年の間に、本来各人に起こるはずだった出来事と解します。それが遅れてやって来た。発火した者、体が崩れた者=火葬されるはずだった人(こちらは原発事故とは無関係)。死斑の方は疫病の可能性を示唆します。捕えたガスマスク男の異常な怯えの理由も、放射能というよりこちら。何なら、原発事故も疫病に起因する人災かもしれません。つまり彼らが知らない6年間に、香港で凶悪な疫病が流行し、直近には原発事故も起きた。ガスマスク集団は政府の救助班でしょう。ほとんど輩ですが。と、ここまでは常識的?な推測が可能な範囲。
問題は以下のワケワカラン要素です。「一斉電話」「赤い雨」そして「ユキちゃん」。ついでに「タイムスリップ」も含めましょうか。ここからは大いに妄想力を働かせてみましょう。電話の主は、かつての流行歌の歌詞をモールス信号で送って来ました。典型的な「宇宙からのメッセージ」。赤い雨=血の雨。『宇宙戦争(2005)』でも同様のシーンがありましたね。ユキちゃんには記憶障害が見られ、時折人ならぬ雰囲気を醸し出していました。もしかして『カイル・マクラクラン状態』では。タイムスリップなんてそもそもあり得ません。でもそんなテクノロジーを持った知的生命体がいたならば・・・。
ではまとめます。「事件の黒幕は宇宙人。彼らの目的は人類を捕食すること。まずは疫病で弱らせよう。でもその前に保護に値する種族か見極めてから。サンプルはマイクロバス乗客。宇宙人は若い女性に憑依し乗客に紛れ込むことに。タイムスリップにより彼らを隔絶・極限状況下へ。そこでの行動を観察しよう。結果、蛮行を働く者。そしてそれを咎めるための蛮行。保護する価値なしと判断された人類は、宇宙人に捕食され血の雨を降らすことになりましたとさ」ちなみにヤク中男もその不死身ぶりから宇宙人の可能性あり。占いおばさんの自説通りと考えるのも面白いと思います。以上です。
このように宇宙人説を採用してしまうと、本作に限らずほとんどのミステリーが意味を為さなくなります。宇宙人って無敵。超便利。だからこそ丁寧な説明や、繊細な伏線が必要だと思うのですが、本作の場合悪ノリで突っ切った感があります(そこが魅力でもありますが)。とはいえ、「バス乗客全員死亡説」を最初に口にすることで、如何にもありそうなオチを真っ先に排除するあたり、意外と親切な面も見られます。バラエティに富んだキャラクター造形もお見事でした。私的には、“投げっ放しと見せかけ、実はしっかりクラッチされた綺麗な放物線を描くジャーマンスープレックスホールド”との印象です。このニュアンス、伝わりますか。