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ちいさな独裁者

[チイサナドクサイシャ]
THE CAPTAIN
(DER HAUPTMANN)
2017年上映時間:119分
平均点:7.33 / 10(Review 6人) (点数分布表示)
戦争もの
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監督ロベルト・シュヴェンケ
脚本ロベルト・シュヴェンケ
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6.《ネタバレ》 1945年4月、敗色濃厚なドイツのとある地方都市。部隊から脱走してきた一兵士ヘロルトは、打ち捨てられた軍用車からとあるもの発見する。それは、「ナチス将校の軍服」――。周りに誰も居ないことを確認し、密かに袖を通すヘロルト。僅かに丈が合わないものの、身なりを小綺麗に整えると、もはや何処からどう見てもナチスの将校にしか見えなかった。持ち前の口の巧さから、彼は行く先々で〝部下〟を見つけては自らの支配下に置いてゆくのだった。偶然も重なり、正体がバレるぎりぎりのところで踏みとどまったヘロルトはやがて、ナチスの脱走兵収容所へと辿り着く。そこで更なる部下を得た彼は、権力の味に酔いしれ、次第に狂気の独裁者へと変貌してゆく……。大戦末期のドイツを舞台に、そんな軍服と口先だけを頼りにのし上がっていった脱走兵を描いたヒューマン・ドラマ。ナチスの部隊から逃げ出した主人公が、ナチスのお偉いさんを口八丁手八丁で丸め込み、どんどんと偉くなってゆくという、いわば戦争版わらしべ長者みたいな寓話的なお話なのですが、これが実話だというのですから驚きです。何処まで脚色されているのか分かりませんが、これがなかなかよく出来ている。最初こそ、この主人公に感情移入して観続けていたら、徐々におかしなことになりはじめ、やがて自らが助かるために90人もの捕虜を無残にも処刑するという残虐行為に手を染めるところに至ってはもはやドン引きです。でも、そこまでの過程にものすごく説得力があるんです。人間、権力の味をしめるとここまで変貌してしまうのか。対するナチスの高官たちも官僚的な権力闘争に明け暮れ、もはや何が正しいのかすら分からなくなってる始末。カリスマ的な独裁者と非人間的な官僚機構、多くのユダヤ人を死に追いやったであろうそのシステムの最もシンプルなものがここにはある。監督のシニカルな目が光る、この恐るべきブラック・ユーモアには思わず戦慄させらてしまいます。惜しいのは、後半の主人公たちの乱痴気騒ぎが幾分かくどいこと。ここらへんをもう少し削れば、より完成度の高い作品に仕上がっていたんじゃないでしょうか。とはいえ、なかなか見応えのある戦争ドラマの秀作であったと思います。エンドロールで流れる、主人公たちが現代の欧州で大暴れする映像なんて、現代にまで連なる愚かな現実を象徴している。ますます混迷を深めるこの現代において、真に観るべき映画の一つと言っていい。
かたゆきさん [DVD(字幕)] 7点(2020-09-14 03:11:46)(良:1票)
5.YouTubeでの自動翻訳でしたが、面白さは十分に伝わってきました。誰しも思わぬ権力を手にしてしまうと、それを存分に使いたくなるものです。実話を基にしているので物語としては物足らない所はあるものの、逆にこんなに演技だけで化け通すとは、これも才能ですね。エンディングが「帰ってきたヒトラー」に似せてるのはワザと?
毒林檎さん [インターネット(字幕)] 8点(2021-08-27 11:45:58)
4.《ネタバレ》 第二次大戦末期、逃亡兵の青年が盗んだ軍服で大尉に成りすまし、プチ横暴を働く、というオハナシ。肩書ひとつで周囲が逆らえずに彼のペースに呑まれて行ってしまう、というこの設定自体は、必ずしも「ニセモノ」でなくても成立するとは思うのですが、どうやら実際に起きた事件に取材した設定らしく、そして実際、偽物であることが肩書というものの虚飾性を際立たせるとともにラストの顛末にも効いている部分となっています。
ただこの作品。映像の多くにおいて、やたらと背景のボヤかして人物のみにフォーカスを合わせ、ここまでくるとちょっと不自然さすら感じます。収容所での虐殺シーンなどではもはや、人物がどこに立っていてどこを見ているのかが曖昧でわかりづらいレベルです(前後のシーンからわかるとは言え)。あまりのボケ加減に、ちょっとイライラ。
そこまでして人物の表情にフォーカスを当てる割には、主人公の狂気みたいなものもイマイチ伝わってこず。
曖昧さは、映画を見る人に「考える余地」を提供するものかも知れないけれど、作品の弱さにもなっているように感じます。
鱗歌さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-06-27 10:11:44)
3.《ネタバレ》 最後に示された実話である事に信じられない思いです。制服を着て大尉を騙ったところで21歳の小僧上等兵がなりすませる程ナチスの大尉は安くない(人間性は別として)のであり、照会すれば即バレる筈です。乱痴気騒ぎで「會議は踊る」での珠玉の名シーン名曲「ただ一度だけ」を合唱しているのに汚物を浴びせられた気分。邦題のイメージとはかけ離れた胸糞悪い作品。考えさせられるエンドロールに+2点。
The Grey Heronさん [DVD(字幕)] 7点(2020-09-30 01:49:59)
2.《ネタバレ》 一人目の部下となったフライタークが鼻下にチョビ髭でもつけてみたなら 彼こそがヒトラー総統名乗ってみても誰も疑いやしなかったのではないのかとか思ってみたのだが

成りすましの上等兵が行った 非人道的で残酷極まりない大量殺人の凄まじさ。決して気分よく観れるもんではない。
だからとても称賛など出来ない。
これの何が良いのかと。
だから、声を小さくして言いたい。
でもこれは相当ブラックジョークに長けている。ヤバいくらいに長けている。戦時モノ映画としてはかなり異質過ぎて、しかも、秀逸だ。

ラスト間際の乱痴気パーティーで皆が合唱していた『人生はたったの一度きりなんだから』という歌が、たった一度きりの人生なんだから、人に平伏す事なく、悪でも何でもやって生き延びていきましょうというような悪い讃歌のように聞こえてしまったから そこもヤバい。
3737さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2020-09-21 22:41:32)
1.《ネタバレ》 所謂なりすまし系サスペンスであり、いつバレるんだろうという緊張感が持続する。スタンフォード監獄実験にもあるように立場や役割が人格を作るとはよく言われるが、本作は制服を手に入れた人間が権力を手に入れ、暴走していくというのがメインストーリーにはなっている。ただし、本作の中心テーマは権力や権威に対して人間はどのような態度を取るのか?といった社会的問題である。権力に対しては、積極的に加担したり、保身から仕方なく従ったり、異を唱えたり、様々な対応がある。それは学校や職場やさらには家庭でも言える事である。ちなみに、有名なアイヒマン実験(ミルグラム実験)によれば、人は権力に服従する事によって残忍になる事が明らかにされている。
本作では各人の対応が明確に描かれる事は少なく、多種多様ながら概して曖昧な形で描かれる。よって、鑑賞中はこの辺が少々わかりにくく、モヤモヤする事が多かった。しかしながら、権力に対する対応は個人の中でも一様ではなく、状況や場面によって変化するものであるし、そもそも曖昧でグレーなものである。そういったグレーさを描いたという点では非常にリアリティーのある作品に仕上がっているとも言える。他方、作品は中途半端なところで終わる印象も受ける。できれば主人公が処刑される最後までしっかりと描いて欲しかった気もするが、それを描かなかったのは主人公の生涯がテーマではないからだろう。
エンドロールでは主人公が現代によみがえり、我々に「独裁者」を突きつけてくる。これは過剰な演出とも言えるが、こうでもしないと歴史的出来事として片付けられてしまうのではないかという製作者の危機感故かもしれない。歴史的実話ながら現代的テーマとして重く響く作品である。
東京50km圏道路地図さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2020-09-19 11:38:34)
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【点数情報】

Review人数 6人
平均点数 7.33点
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
400.00%
500.00%
6116.67%
7233.33%
8350.00%
900.00%
1000.00%

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