3.タイトルの「時空旅行」ってのはあくまで邦題であって、原題とは何の関係もないのですが、しかし言い得て妙、と言いますか。こんなアホ映画の企画が約30年という月日を越えて蘇るだなんて、これはもう時空旅行としか言いようがない。
主人公2人もだいぶお歳を召していて、しかし相変わらずおバカ、というか、年相応におバカというか。
子供の頃、オトナってのは皆、オトナ、すなわち子供とは全然異なる、分別を持った存在だと思ってた。
私もこの自分がこの歳になってみて、そんなのがウソだということがイヤというほど判ってまいりました。人間、何年生きようと、中身なんて変わりません、成長しません。所詮、オトナの分別なんてものは、「懲りた」「飽きた」「面倒臭くなった」のいずれかにしか、過ぎないんじゃないのかなあ、と。
いや、マジで、こんな中身のまま、こんな年齢になるなんて、昔は想像もしなかった。誰か助けておくれ。
ビルとテッドもこんな年齢になってしまった、どころか、時空旅行をした先には、ヨボヨボの爺さんになった2人の姿が。
でも、それでもやっぱり、彼らは彼らのまま、なんですよね。それが、素晴らしい。
で、未来のどの自分に会いに行っても、そこには音楽がある。それどころか、モーツァルトの昔から、子供の世代に至るまで、音楽で繋がる世界。いや、素晴らしい。
もっと遡ってもいい。早くもJ.S.バッハの音楽には、間違いなく、現代の感覚と何ら変わらない高揚感、興奮がある。それって、スゴくないですか? 素晴らしくないですか?
ちゃんと、そういう音楽の普遍性というものを、謳いあげてみせる2人。やっぱり、素晴らしい。