エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

[エブリシングエブリウェアオールアットワンス]
Everything Everywhere All at Once
2022年上映時間:140分
平均点:5.63 / 10(Review 41人) (点数分布表示)
公開開始日(2023-03-03)
公開終了日(2023-09-06)
アクションSFコメディアドベンチャーファンタジーカンフー
新規登録(2022-12-20)【Cinecdocke】さん
タイトル情報更新(2023-06-26)【M・R・サイケデリコン】さん
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監督ダニエル・シャイナート
ダニエル・クワン
キャストミシェル・ヨー(女優)エヴリン・ワン・クワン
キー・ホイ・クァン(男優)ウェイモンド・ワン
ステファニー・スー(女優)ジョイ・ワン/ジョブ・トゥパキ
ジェームズ・ホン(男優)ゴン・ゴン
ジェイミー・リー・カーティス(女優)ディアドラ・ボーベアドラ
ジェニー・スレイト(女優)デビー・ザ・ドッグ・マム (デジタルリリース時)/ ビッグ・ノーズ(劇場公開時)
ダニエル・シャイナート(男優)
塩田朋子エヴリン・ワン・クワン(日本語吹き替え版)
水島裕ウェイモンド・ワン(日本語吹き替え版)
種﨑敦美ジョイ・ワン/ジョブ・トゥパキ(日本語吹き替え版)
佐々木睦ゴン・ゴン(日本語吹き替え版)
幸田直子ディアドラ・ボーベアドラ(日本語吹き替え版)
武内駿輔チャド(日本語吹き替え版)
脚本ダニエル・シャイナート
ダニエル・クワン
作詞広瀬香美日本版イメージソング「プレミアムワールド」
作曲フェリックス・メンデルスゾーン”Midsummer Night's Dream, Op. 61 (Wedding March)”
クロード・ドビュッシー"Clair de Lune (Pied au Piano)"
広瀬香美日本版イメージソング「プレミアムワールド」
主題歌広瀬香美日本版イメージソング「プレミアムワールド」
製作ダニエル・シャイナート
ジョー・ルッソ〔監督〕
アンソニー・ルッソ〔監督〕
ダニエル・クワン
製作総指揮ミシェル・ヨー
配給ギャガ
あらすじ
破産寸前のコインランドリー店を営む中国系アメリカ人のエヴリン(ミシェル・ヨー)は、頼りない夫のウェイモンド(キー・ホイ・クァン)、同性の恋人を持つ娘のジョイ(ステファニー・スー)、かつて絶縁し今や介護対象の父親のゴン・ゴン(ジェームズ・ホン)との関係に問題を抱えていた。さらに国税庁の監査官・ディアドラ(ジェイミー・リー・カーティス)からの厳しい追及に思考回路がショート寸前の中、夫・ウェイモンドの様子が急変。夫からマルチバース(並行世界)に蔓延る悪と戦えと告げられるが…。怪作『スイス・アーミー・マン』の新進気鋭の監督コンビ×A24が放つ、超絶カオスで奇想天外なマルチバース・アクション・コメディ!
ネタバレは禁止していませんので
未見の方は注意願います!
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41.《ネタバレ》 アカデミー賞授賞式当日(平日)午前に映画館で鑑賞。観客はシネコンの小さめスクリーンに20名程度。高齢者多めだが、高校生くらいの男子グループも。自分も評判は聞いていたのですが、基本的には「中国系女性が主人公」「マルチバースらしい」「カンフー映画らしい」程度の予備知識で鑑賞。結果、大半のシーンに驚き、困惑し、呆れるばかり。でも終わってみたら、しっかりした家族の物語で、年頃の娘がいる自分としては感涙必至の大傑作でした。

『クレイジー・リッチ・エイジアンズ』のときもそうでしたが、とっ散らかった作風でも家族の軸を中心に置くと一気に普遍性を獲得してしまうのがアメリカ映画のすごいところです。本作の見所は、中国系移民家族三世代のギャップ。とくに出色は主人公の娘ジョイが抱える「虚無」の表現。「何でもできる」「何にでもなれる」と言われ続ける現代の子どもたちが、だからこそ直面する現実との折り合いの難しさ。ジョイが最も絶望した瞬間が、自分を「理解している」風の態度を見せる母親エヴリンが放った一言だったのにも納得。そんな彼女の「虚無」にどう向き合うのか。その問いに、エヴリン自身が持っていたはずの無限の可能性をマルチバースとして描き、カンフーで戦うハチャメチャなアクションで答える。最後の落とし所は、たぶん「解決」ではない。でも「虚無」に向きあうための勇気を、そこに感じることはできたからこそ、多くのアメリカの観客はこれを受け止め、大ヒットにつながったのでしょう。私もマルチバース構造と本作のメッセージを完全に理解したとはいえませんが、その勇気を受け取ったと感じたことは確かです。でも、それで正解なのかなと思います。だって、ザ・ダニエルズの監督2人もまた「家族なるもの」と「虚無」と戦ってて、本作が描いたのは、その「答え」じゃくて「戦うこと」のほうだったと思うからです。だから、あのパーティの翌日、やっぱりこの家族は、結局は夫婦の不和をかかえ、親との関係に悩み、娘の変貌に戸惑ってるんだろうなと思います。

ところで、本作を「ポリコレ作品」と見る動きもあるようですが、基本的に不謹慎ギャグの連続で、どっちかといえば「正しくない」描写に溢れた一作です。そして「正しい答え」を期待してはいけない一作でもあります。まあ、移民家族の葛藤とか不和を描いたと作品なんて、あの『ゴッドファーザー』をはじめ、アメリカ映画ど真ん中じゃないですか。それを「アジア系だから評価されてる」みたいな風にみちゃうの残念だなあと思ってしまいます。むしろ、ど真ん中のテーマを堂々と描いてることが評価されてるんですよ。下ネタいっぱい詰め込みながら。

映画が終わって劇場をでたら、アカデミー賞作品賞取ってました。その後見た授賞式の動画で、実はキャストたちが語る「アメリカン・ドリーム」に感動しつつも、私はこれでまた「何にでもなれる/なんでもできる」と言われて「虚無」に陥る子どもが増えるんじゃないかとちょっと心配になりました。日本でも、これで多くの人が劇場に足を運び、驚き、戸惑い、呆れることでしょう。でも、そのなかで1人でも多く、この作品が描いたものから勇気を受け取った人がいれば、それはこの映画の勝利なんだと思います。
ころりさんさん [映画館(字幕)] 8点(2023-03-19 09:19:07)(良:2票)
40.《ネタバレ》 何でも、どこでも、いっぺんに。

本題を象徴するが如く、
マルチバース(並行世界の一種)に、下ネタ込みのナンセンスギャグに、カンフーアクションと、
おおよそオスカー好みとは対極の要素ばかりで数年前なら候補にすらならなかっただろう。

圧倒的情報量のカオス状態でそれでも空中分解しなかったのは、
現実パートを担保にしていることが大きい(これが正しい世界線とは限らないが)。
つまり、国税庁で暴れ回る世界線はエヴリンのギリギリの精神状態を表した妄想で、
アルファ世界線もアクションスター世界線も盲目のシンガー世界線もそれに付随していく。
「こんなはずではなかった、こんな未来もあったのでは」という人生の問いかけ。

反対にマルチバースで多くのエヴリンを殺し続けている娘ジョイは、
自分らしく生きることを認められていないようで希死念慮に近い虚無感を抱えている。
エヴリンは頭に溜まったキャッシュを吐き出すように倒れ、現実では店の窓を壊す。
そこからバラバラになりかけた夫と娘と父との関係を見つめ直していく。
どんな自分だって、どんな愛しい相手だって、どんな人生だって肯定していく。

スケールが大きいようでどこかこじんまりしている辺り、
どこにも飛び出せない社会の閉塞感を表しているようだ。
袋小路に迷い込んだ人には響くかもしれない。

アカデミー賞の前哨戦で圧倒しているが非常に奇妙な作風で確実に観る人を選ぶ。
SF映画が一度も作品賞を取れていない現状なので今年も無理だと思うし、受賞が想像できない。

【3/13追記】
なんと作品賞をはじめ、主要部門を総なめしてしまった。
アカデミー賞効果で多くの観客が詰め掛けるが大炎上は必須だろう。
ただ、あまりの突き抜け加減からカルトムービーとして記憶に残るのは間違いない。
Cinecdockeさん [映画館(字幕)] 8点(2023-03-03 22:58:56)(良:2票)
39.《ネタバレ》 マルチバースを股にかけた戦いを基本設定として、順風満帆だったはずの人生からギリギリまで追い詰められてしまった一人の女性が、苦難の末に新たな人生に踏み出すまでの物語、といった感じでしょうか?かなりスピーディな転換とコテコテの下ネタ入りコメディ性は、観る人を相当に選ぶ作品なのではないかと。

個人的には馬鹿馬鹿しさを大いに楽しむことが出来ましたし、出演者たちの確かな演技と緻密で色鮮やかな演出は流石アカデミー受賞作と思いました。

ただ、それでは本作が歴史に名を刻む名作として語り継がれるだろうかということになると相当疑問。SF作品としての目新しさは特にありませんし、マルチバースと言いつつも中心となる世界が一つあって同じ人格が異なる世界を行き来するというあたりはどっちかって言うとパラレルワールド的な解釈とも感じますし、見方を変えれば物理学的な世界観というよりもスピリチュアルな雰囲気を感じます。

ヒロインの心の解放と言うかヒューマンストーリーとして受け止めたとしても特に新鮮とも思えず、本作だからこその感動にも出逢えないような。そう考えると下ネタ絡みのコメディ性を楽しむだけの軽めの作品にも思えてしまうところです。

とは言え、総じて言えばこのオリジナリティ、斬新さは滅多に出逢えるものでもなく、監督さんの次作には期待が高まります。そこまで含んでの7点献上です。
タコ太(ぺいぺい)さん [インターネット(字幕)] 7点(2024-03-24 11:13:43)(良:1票)
38.《ネタバレ》 前半は、酷い映画だなと思っていたが、最後まで観ると、成程これもアリだな、と思った。
母と娘の映画は実は少ない(愛と追憶の日々とか乙女の祈りとか・・)

奇妙なことをするとパワーが出るという前半も、在米中国人の生きづらさの寓意と思えば、
なるほど観られる。
敵が家族問題というカンフーアクションと思えばいいのだ。

メンヘラな母親が強くなって、後半、娘とのバトルをする。
そして、難問だらけの家族だが、最後はハッピーエンドとなれば、
コンピューターを駆使した、現代社会への奏とも思える。

ミッシェルヨーのど根性女優魂に唸った。
トントさん [DVD(字幕)] 7点(2023-11-25 19:44:00)(良:1票)
37.《ネタバレ》 面白かったー!よくこんな映画作ったな。しかし観てる間中「これはいったいなんなんだ」という思いが消えない。そして観終わった後もやはり消えない。なんでこんな映画がアカデミー作品賞なんだ。フルチンでカンフーバトルやる映画だぞ(笑)。

めっちゃくちゃな話をぐいぐい引っ張って観客を巻き込むテンポ感と見栄えのする映像で見せる構成は大したものだが、その中で俳優の演技がリアリティを与えている。登場人物は突然人格が入れ替わる役が多いのだが、特にキー・ホイ・クワンは一言もしゃべる前から「あ、今あっちの人になった」というのがはっきりとわかる。ジェイミー・リー・カーティスの極端な変化も凄い。この映画の成功は役者に多くを負っているのは間違いない。

ところで誰しも「あの時ああしていれば今ごろはどうなってたか」と考えるものらしいが、自分はそういうのがあまりない。だからこそこの映画のバースジャンプ、とんでもなくばかげたことをやらないと次元を移動できないという設定は腑に落ちるところがある。順調にいっている仕事を辞めたりいい歳して別の分野を学び始めるのは外から見れば狂った行動だ。実はそんなリアリティにあふれた作品なのかもしれない。
tubirdさん [映画館(字幕)] 8点(2023-03-28 20:59:53)(良:1票)
36.マルチバースを扱った映画が多くなりましたが、その中でも、1番ストーリーが練られていると思います。賞を多くとったことからもわかるとおり、俳優陣の演技も見事です。先日のアカデミー賞で、作品賞を受賞しました。それよりも、ミシェル・ヨーの主演女優賞が最高にうれしかったです。
shoukanさん [映画館(字幕)] 9点(2023-03-25 00:34:23)(良:1票)
35.《ネタバレ》 あらすじを見ただけで気が遠くなるような映画がアカデミー賞をたくさん取った。エブリシングエブリウエア...タイトルも気が遠くなるように覚えにくい。しかし主演女優賞を取ったのは我らが007トゥモローネバーダイで大活躍だったミッシェル・ヨー!助演男優賞を取ったキー・ホイ・クァンは...え?!グーニーズのデータ!?あの小学生男子なら誰しも憧れる発明BOYポジションにいたアイツが!?み、観に行くしかねぇ!!!

そんな本作はマジでめちゃくちゃ。退屈な序盤からどんどん話はおかしな世界に踏み込んでいく。我々の知っている常識なんてものは一つも通用しないカオス映画だ。とりあえず変なことしたら他のマルチバースの自分自身の人生を経験して良い能力貰えるんだよ!知らねぇけどさ!さぁ戦え選ばれしものよ!

そして敵はこの世の秩序の破壊者という最近のJRPGのラスボスばりに面倒くさい...自分の娘!テンションが上がるほど意味不明で勢い任せで楽しいくて面白いアクションとカンフーが笑えるしワクワクするぞ。絵の作り込みが凄いから次の瞬間なにを見せてくれるかが楽しみすぎるんだよね。雪崩のように押し寄せるギラギラした映像の洪水が最高だ。この世の理は無視してくれ!

しかしその根底のストーリーは人を愛するという非常にわかりやすくシンプルでとてつもなく泣けるものに仕上がっている。そこがまたニクい!
こんな単純なことをめちゃくちゃ面白い映像とはちゃめちゃなお話にして僕らに伝えてくれたのだ。お父さんがどんな時でも世界でも優しいのが泣けるじゃんよ!

そんなこんなでドキドキして笑って泣いて驚いてスッキリしちゃう素晴らしい映画でした。映画館で見てよかったぜ!
えすえふさん [映画館(字幕)] 7点(2023-03-20 00:33:30)(良:1票)
34.《ネタバレ》 松本人志に『新春かくし芸大会』用に長編コントを一本お願いしたらこんなん出来ましたみたいな作品(※あくまで表面的には。また映画監督としてお仕事をお願いしたら絶対こうはならないはずです。ここ重要!)何と言いますか、要するにやりたい放題でした。最初は眼の前で繰り広げられる『狂気の祭り』をどう受け止めたらよいのか戸惑ってしまいましたが、途中から馬鹿負 けした気がします。“小指の力こぶ”で私の中の常識や羞恥心のタガが外れました。こうなれば締めたもの。あるがままにわがままに我が身と心を狂気に委ねることができました。たぶん百回観ても理屈を理解できる気はしませんが、大した問題ではないでしょう。自分の人生を愛おしく思え、パートナーにキスしたくなったなら、この映画のメッセージをきちんと受け取れていると思います。最近私が観た映画の中だと『映画大好きポンポさん』と基本的に言ってる事は同じですかね。大好きな映画には違いありませんが、とても他人に勧められる作品でないのが辛いところ。それでもアカデミー賞受賞とか関係なく満点を差し上げたい気分ですが、社会風潮に配慮し過ぎなところやマグナム○ィルドを振り回したハイセンスを装った悪ふざけの分、点数を差し引いておきます。
目隠シストさん [映画館(字幕)] 9点(2023-03-18 22:38:08)(良:1票)
33.ミシェル・ヨーにキー・ホイ・クァンにジェームズ・ホン(!)、そしてジェイミー・リー・カーティスですか。キャストは通好みなんですけど、しかしながら全く持って普通の内容でした。尺も長過ぎます。
これではこの映画が高く評価されたのは「ブラック・パンサー」のときと同じなのが透けて見えてどうもスッキリしません。
キー・ホイ・クァンの出演やアカデミー賞の授賞式でのスピルバーグとのツーショットなど、とても感慨深いのですが、それはまた映画の内容とは別の話なので・・・
それと、邦題が史上最悪レベルだと思います。「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」ってカタカナのタイトルはあり得ないのでは?かと言ってよくあるおかしな日本語英語で改題するのもどうかと思いますが、もうちょっと何とかならなかったのでしょうか?
J.J.フォーラムさん [映画館(字幕)] 3点(2023-03-17 00:01:26)(良:1票)
32.アカデミー賞受賞ということで、早速見に行ってきました。
まあ、なんというか、マトリックスを見た時と同じ感じですね。
若い世代でマトリックスを見ていない人にとっては、現代版マトリックスという感じで面白いと感じるかもしれませんが、
なんというか、正直ストーリーがあってないような、この映画を見て面白かった、もう一度見たいとは思えませんでした。
というか、途中眠くなってしまい、それを耐える時間があり、前に座っていたカップルは途中退席していました。
まあ、昔からアカデミー賞は受賞作より受賞しなかった映画の方が映画的には面白いという傾向がありますからね。
なので、映像やアクションはすごいので、映画館で見るなら5点。
自宅でテレビで見るなら4点という感じでした。
キーホイクウァンは若いですね。子役のイメージが抜けないからか、初めは夫役ではなく息子役なのかと思って見ていました(笑)
シネマファン55号さん [映画館(字幕)] 5点(2023-03-14 19:30:22)(良:1票)
31.《ネタバレ》 私にとってのアカデミー賞は、ノミネートされる時点で面白さの最大公約数を提案してくれるもの、のつもりでした。
勘違いも甚だしいことに気づかされました。
予告でマルチバースなる地雷臭がしたのだから、観ずに通過すればよかったのに賞云々につられて観てしまいました。

おかしな行動をとることを条件とするからといって、肛門に物を刺す、というのは下品すぎませんかね?
昭和の小学生じゃないんだからさ。

あと第三の眼、とでも言いたげなアレ。岩にまで付けてましたね。
制作陣は面白い!画期的だ!とでも思ったんでしょうか?

途中で退席したかったのですが、最後まで鑑賞しないと、ここに投稿できないと思い、耐え忍びました・・・
hyamさん [映画館(字幕)] 1点(2023-03-13 22:05:45)(良:1票)
30.“あなた”を理解したいのにすべてが混沌として理解不能。これは全世界、いや全宇宙すべての母娘と夫婦と家族と隣人、そして「私」自身の物語。


評判に違わず、なかなか“トンデモナイ”映画だった。
文字通りに破茶滅茶であり、映し出される各シーン、各カットの性質はチープで下品でグロくてワケわからんのに、結果的に心が充足し、涙が溢れている。
古今東西のあらゆる映画のオマージュが乱れ打たれる描写に対して“既視感”を覚えつつも、気がつくと、まったく新しい映画世界に放り込まれていた。それは、まさしく“新しい”映画のマジックと言っていい。

自宅兼用のコインランドリーと税務署のみで繰り広げられる極めてミニマムな舞台設定が、無秩序に広がる多元宇宙と、めくるめく精神世界を自由闊達に描き出していた。
近年“マルチバース”というキーワードが市民権を得ているが、藤子・F・不二雄の漫画で育ってきたものとして、この映画が描き出したそれは“パラレルワールド”という言葉のほうがしっくりくる。(F先生の短編漫画の傑作「パラレル同窓会」を読んでいると、本作の世界観と真理がもっと腑に落ちやすいだろう)

ともあれ、漫画よりもマンガ的な本作の表現方法はちょっと常軌を逸していて、決して万人受けする類いの映画ではないことは明らかだ。僕自身、そのフリースタイルぶりに半笑いを通り越して唖然としてしまった瞬間があることも否めない。
ただ、そのあまりに自由な振れ幅こそが、本作が表現するマルチバースもといパラレルワールドの本質だとも思える。

何もかもがうまくいかないストレスフルな生活を送る世界線もあれば、ふとしたきっかけでカンフー映画の世界的スターになるきらびやかな世界線もあり、一方では指がソーセージの世界で同性愛に思い悩むことも、子供が作った拙いボロ人形で終わる人生も、はたまた生物が存在しない世界の“石ころ”として日々を送る世界線もあり得るということ。
そして、その無限に分岐した世界線は、すべて繋がっていて、今この瞬間も、均衡(バランス)を保ち続けているということ。

「私」が今この人生を歩んでいるからこそ、同時に成されていないすべての可能性が存在し、そのすべては平行して流れ続けている。
ラストで主人公は、互いの気持ちをぶつけ腹を割った娘と別の道を歩むことを「選択」しかける。きっとその瞬間、それをそのまま選択した宇宙(バース)も生まれたのだろう。でも、この映画で映し出されている主人公はその選択を回避して、恥ずかしがる娘を抱きしめる。
それが「正解」ということではないし、その先が必ずしも「幸福」という話でもない。
ただそういう無数の選択の連続の上に、私たちのこの世界線は存在しているということ。そしてそれは唯一無二であるということ。

僕自身は、今年42歳になる。当然満足できることばかりではなく、年齢に応じた不安やストレスは尽きることはないけれど、相対的に見れば充分に“マシ”な世界線を生きているのだろうと思う。
決して裕福ではないけれど、家族がいて、好きな映画を見て、写真を撮って、お酒を飲む。そういうことをわりと自由にできるこの日々は、もはや代え難いとも思える。

ぽっかりと穴が空いたベーグルをそのまま食べるか、チーズを一枚はさむか、ハムをはさむか、ベーグルが見えなくなるくらいに何もかもを盛り込むか、もしくは食べきらずに途中で捨ててしまうか。
実際、それをどう食べるかは人それぞれだし、その人の自由だ。でも、そのベーグルが一つしか無いことが、変わることはない。
ならばやっぱり、たとえお腹いっぱいなることがなかったとしても、せめてやさしい気持ちで美味しく食べたいなと、至極普通のことを思うに至った。


分かっちゃいたけど、容易に語り尽くせるタイプの映画ではない。それこそパラレルワールドの数だけ、この映画に対する僕の感想も存在するのだろう。
1992年の「ポリス・ストーリー3」のミシェル・ヨー、1994年の「トゥルーライズ」のジェイミー・リー・カーティス、自分自身が小学生の頃に何度も見た両作で、主人公の世界的アクションスター以上の印象を残した二人の女優が、30年の年月を経てこのような形で共演(名演)したことにも、個人的に大きな感慨深さを覚えた。
鉄腕麗人さん [映画館(字幕)] 10点(2023-03-05 23:26:17)(良:1票)
29.《ネタバレ》 キー・ホイ・クアン目当てに観に行きました。
映画は面白かったし楽しめたけど、作品賞を争えるほどかというとそこまでではないような。
やはり多様性とか家族愛って部分が評価されてるんだろうか。
結局お尻ネタの部分が一番笑ってしまった。
おとばんさん [映画館(字幕)] 7点(2023-03-04 17:44:52)(笑:1票)
28.ストーリーはとっ散らかっていますが、最後は家族の絆が勝利する王道のハリウッド映画でした。
エヴリン演じるミシェル・ヨーは、アクションから演技までマルチにこなす女優として華々しい活躍ぶりで、アカデミー賞の作品賞はさておき彼女の主演女優賞は確実でしょう。
面白いし退屈もしなかったけど、私には正直あまり刺さらなかったです。
個人的にはエヴリンの旦那がインディージョーンズのあの子役というのが感慨深いが、私には彼がジャッキーチェンに見えて仕方なかったです。。。
ぴのづかさん [映画館(字幕)] 6点(2023-03-04 09:03:12)(良:1票)
27.またアカデミー作品賞というエサに釣られて、つまらない映画を見てしまった。
アイフルのCM、「そこに愛はあるんか?」を延々見せられているような感じ。
10分くらいならいいよ。
140分もやられたらたまらない。
長すぎて、最後まで見るのがかなりつらかった。
まかださん [DVD(吹替)] 2点(2024-07-15 03:05:28)
26.《ネタバレ》 これを唯一無二の独創的なユーモアセンスだととるか、単なる悪趣味な悪ふざけだと捉えるかで大きく評価が分かれる作品。自分?完全に後者です。
かたゆきさん [DVD(字幕)] 3点(2024-04-13 13:05:55)
25.え?これがアカデミー最優秀作品賞?
ってのが鑑賞後の感想。
 
演者のノミネートや受賞はうなづけるが、作品賞ってのは...下品過ぎるし謎。
チンコのニセモノあたりから「もしやこの後も」が当たったがハマる人にはハマるのかな。
 
ミシェル・ヨーもキーホイも娘もすごく良かったのに、作品賞ってのが興味持って鑑賞した組からしたら逆に足枷になるかもね。
 
きっと都合の良いアジア回だったんだな、2023年アカデミー賞は。
 
作品自体はすごく実験的?な表現が多かった。こっちも思考の速度を早めて見ていかないと迷子になるから疲れました。
movie海馬さん [CS・衛星(吹替)] 4点(2024-03-10 21:05:42)
24.《ネタバレ》 アメリカでしがないランドリー店を経営する中国系移民のおばさんを主人公にした、SF・アクション・コメディ・家族もの。税務報告のための領収書などが乱雑に置かれた机の上から始まり、壁にいろんなものが貼られ、物が乱雑に詰め込まれた部屋、洗濯物が詰め込まれた袋が乱雑に置かれたコインランドリーなどなど、しょっぱなから続く、映像密度にまず「うわっ」となり、展開に関しても、とにかく面白ければ何でも突っ込んでしまえ~というような感じで、アジア的カオス感覚に気圧されて、中盤くらいまでは結構楽しめたと思います。税務署のおばさん審査官を敵キャラの中ボス?にしたのは、なかなかよかったと思います。しかし、中盤過ぎあたりから、終始濃ゆいのに飽きてくるのですよね。ラスボス?に対してもう少し感情移入ができたら、また違ったのかも知れません。動機が腑に落ちないまま、何か色々とドタバタやってるなぁという感じで、あまり心動かされることが無かったです。SF設定も、ギャグの多彩さを確保する便利ツールとしては一役買っていましたが、最後に収斂して心を揺さぶるとか、余韻を残すとか、そういう面ではイマイチなのですよね。
camusonさん [インターネット(字幕)] 6点(2023-12-11 17:48:57)
23.監督や主人公にADHDを絡めた記事も目に付きますが、感情先行で話が飛躍しやすい多元宇宙の世界観をちょっぴり味わえたような気がします。
ストレス過多の現実から解放される別の人生みたいなものに癒やしも感じますが、肌に合わないのかついていくのが退屈でしんどかったです。
ProPaceさん [インターネット(字幕)] 4点(2023-09-26 15:36:47)
22.《ネタバレ》 得体の知れない映画でした。前半はワクワク感があったので、もっと響くものがあると思ったんだけど。後半はちょっとくどい。
ラグさん [インターネット(字幕)] 4点(2023-09-16 19:17:40)
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【点数情報】

Review人数 41人
平均点数 5.63点
000.00%
124.88%
237.32%
337.32%
4614.63%
5614.63%
649.76%
7717.07%
8512.20%
937.32%
1024.88%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 4.25点 Review4人
2 ストーリー評価 5.00点 Review7人
3 鑑賞後の後味 5.85点 Review7人
4 音楽評価 6.75点 Review4人
5 感泣評価 5.80点 Review5人
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【アカデミー賞 情報】

2022年 95回
作品賞 受賞 
主演女優賞ミシェル・ヨー受賞 
助演男優賞キー・ホイ・クァン受賞 
助演女優賞ジェイミー・リー・カーティス受賞 
助演女優賞ステファニー・スー候補(ノミネート) 
監督賞ダニエル・シャイナート受賞 
監督賞ダニエル・クワン受賞 
脚本賞ダニエル・シャイナート受賞 
脚本賞ダニエル・クワン受賞 
オリジナル主題歌 候補(ノミネート)This Is A Life
作曲賞(ドラマ) 候補(ノミネート) 
衣装デザイン賞 候補(ノミネート) 
編集賞 受賞 

【ゴールデングローブ賞 情報】

2022年 80回
作品賞(ミュージカル・コメディ部門) 候補(ノミネート) 
主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)ミシェル・ヨー受賞 
助演女優賞ジェイミー・リー・カーティス候補(ノミネート) 
助演男優賞キー・ホイ・クァン受賞 
監督賞ダニエル・シャイナート候補(ノミネート) 
監督賞ダニエル・クワン候補(ノミネート) 
脚本賞ダニエル・クワン候補(ノミネート) 
脚本賞ダニエル・シャイナート候補(ノミネート) 

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