5.《ネタバレ》 作中、ある証言者は「彼は編曲を発明した」とし、また別の証言者は「彼は映画音楽の発明者」と賛辞を贈った。
映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネが自身の音楽人生を振り返り、彼を知る本当に数多くの証言者が登場するドキュメンタリー。
モリコーネの名が世界中で一躍広まっていくのはレオーネの作品をはじめとするマカロニウエスタンですが、
レオーネのような巨匠の名作からB級作に至るまで非常に数多くのマカロニ作品の音楽を書いてきた理由も本作を見ればなるほどと思える。
その一方で「西部劇だけの作曲家だと思われたくなかった」といった本音を多くさらけ出しているのも印象的で、
そう話す彼の前には常に信頼のおける友であり本作の監督であるトルナトーレがいたのかもしれない。
ノミネート歴は数あれどアカデミー賞に縁が無かったモリコーネでしたが2006年、ついに名誉賞を受賞する。授賞式での彼の姿が感動的です。
ある証言者は「名誉賞はハリウッドからの謝罪であり、本当に嬉しかった」とし、
アメリカの映画音楽の巨匠ジョン・ウィリアムスの「アカデミーはやっと”彼に賞を”と気付いた」という言葉が印象的です。
作中にはそれもなるほどと思える、数々の素晴らしい映画と、その映画を彩る彼の素晴らしい音楽が登場する。
エンニオ・モリコーネという人がいて、本当に良かった。
いいドキュメンタリーでした。エンニオ・モリコーネの映画音楽を愛する者としてとても楽しい作品でした。