7.いわゆる「航空遭難もの」に分類される作品ですが、その手の映画といったらどんな内容を想像するでしょう?
ジャック・バウアーのような信頼無比の機長に、何かと足を引っ張りまくる一癖も二癖もある乗客、まるで
呪われてるかのごとく次から次へと降って湧くアクシデントに奇跡のような偶然と幸運で突如訪れる起死回生…
…本作品には上記のすべてが全くといっていいほど存在しませんw
映画の中に出てくるイベントは割とリアル志向で、作り物のサスペンスと言うよりはリアリティショーの
「メーデー」を思わせる雰囲気です。
といってもドキュメンタリータッチというほどではなく、アクションドラマとしてのケレン味は十分で、
ありきたりのお約束に留まることなくストレスフリーに進むストーリーは、まさに令和最新版。
何かとうるさい現代の観客に対して、どこからも文句が来ないように作ったらこうなった、という感じでしょうか。
一方で、劇場映画としてはもう少しスケール感が欲しかったという気がしなくもなく、洋ドラの大作と比べても
少々コンパクトな印象が拭えません。
ともあれ、変な重さや癖がなく、誰もが気軽に鑑賞できる作品としては非常に良く出来た佳作と言えます。
劇場まで出向いてフルプライスを出すに見合う作品かと問われれば、このジャンルが死ぬほど好きならきっと
後悔はしないんじゃないかと思います。