1.《ネタバレ》 ニューヨークという大都会の片隅で、大人に混じって街中を闊歩し巧みに金儲けしようとする7歳のアジア系の少女。「?」と思わずにはいられない設定です。
大都会で働く大人たち。クイニーのことを案じ、助けようとする大人たち。見て見ぬふりの大人たち。しかし何かがズレている。クイニーの真っ直ぐな視線の先に見えているのは極めて現実的な不安と心配。大人たちは幼いアジア系の女の子が路頭に迷っているようにしか見ない。もしくは彼女のことを見ようとしない。
しかし、当のクイニーは見下ろされるような意識は持ち合わせていません。達観しているのか?或いは子どもとしての純粋無垢な強さなのか。彼女の不安は父や母に知られることなく彼女を突き動かす。
クイニー目線で綴られていく物語。学校にも行かずに小銭稼ぎに没頭する彼女に対する大人の目線と、彼女の透き通った純粋な目線が交わることはないのかも知れません。
何と言っても主演の少女の存在感。観る者を不安にさせ、かつ安心もさせ、かつ感動も呼び起こす。勿論、演出も脚本も秀逸です。謎めいているようでいて直球を投げ込んでくる。大いに気に入りました。8点献上します。