26.《ネタバレ》 スタンリー・クレイマーの手法は光っており二人の画面での位置関係から感情や立場を映し出す手法、過剰な演出を避けメッセージ性に重きを置く部分などは非常に評価できる。途中の村、母子の家などを閉鎖的に描いたのも皮肉めいてて面白い。 追いかけるジャクソン、一緒に転げ落ちるカレン。手錠が外れても離れない二人、ラストは逃げる意味もなくなる。ジャクソンを抱き抱え歌うカレン、二人は手錠があった時よりもより“近い”ものとなる。今見るとプロットは確かに常套かもしれないが、今なお根強い問題を抱えている人種問題を50年代にやってのけたというのは意義深い。南部が舞台の作品ではなかなかの秀作である。 【きいろのくじら】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-12-12 02:38:45) (良:2票) |
25.男には、時として 女よりも友情を取ることだってあるんだぜ。 【ケンジ】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-02-23 20:20:49) (良:1票)(笑:1票) |
24.58年と言う公開当時の黒人差別の社会状況は現在とはまるで違う。法的にもはっきりとした差別があった時代背景を思えば、黒人と白人がつながれて逃走するうちに友情が芽生えるという話は斬新なものだったと思う。しかも黒人が白人と対等に主人公の一人を演じるというのは、社会派と言われる監督の問題提起でもあったのだろう。手錠でつながれたまま不自由な逃走をする緊張感、二人の心理的変化などをモノクロのロケーションで見せるが、主演の二人の好演もあってラストのやるせない幕切れまで緊張感が持続する。 【キリコ】さん 8点(2003-12-06 20:45:09) (良:2票) |
23.《ネタバレ》 男と男による脱走ものと言えばそうなのだが、この映画の一番のポイントは同じ国の者でありながら白人と黒人という所にある。方や黒人だけの土地では白人は別の人間と差別され、もう片方は白人ばかりの土地では同じように別の人間だと差別を受けるというアメリカ社会における今も消えない人種差別という問題を取り扱っているところにある。そして、そんな二人が手錠をかけられたまま自由を求めて脱走を図る。ところがそう簡単には物事は進まない。最初に逃げた土地では大勢の白人の前で捕まる二人、白人であるジャクソン(トニー・カーティス)のお陰で黒人であるカレン(シドニー・ポワチエ)も逃がして貰うものの、今度は一人の少年に出会い、そこで見た者は少年の母親である白人女性による偏見、差別、カレンを騙し、ジャクソンだけを助けようとするというこれぞ同じ白人に対する考えと黒人とでは違うというアメリカが抱える人種差別の世界である。そんな状況の中、出逢ったばかりの白人女性よりもそれまで散々喧嘩してきたカレンを取る。男の友情を取るジャクソンとそれに応えて見せたカレン、手錠は外れていても手錠は今も繋がっているんだとばかりに負傷して動けないジャクソンの手を取って一緒に逃げるカレン、列車に乗ることに失敗した後、自ら煙草に火を付けてジャクソンの口にくわえさせてあげるという男気、この瞬間、二人は完全に白人と黒人という人種を超えて一緒になれた瞬間であると思うことが出来たのと、最初につまらなそうに歌を口ずさんでいたカレンとラストの同じように歌を口ずさんでいるカレンとではまるで別人である。最後のカレンの歌声とその時のあの清々しい表情で終わるというのも気持ちが良い。あそこで終わっているからこそ良いのである。あの後もダラダラと描いていたらここまでの余韻、作品にはなっていないと思います。 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2009-09-07 21:18:12) (良:1票) |
22.黒人と白人の脱走囚がひとつの手錠でつながっている。心ならずもお互いに協力し合わなければならない状況のなかで、人種差別の空しさが浮き彫りになる。森の中で蛙を捕まえ火で炙り、二人で貪るように食べるシーンがそれを象徴している。生きるのに白人も黒人も関係ない。 黒人は陽気に歌を唄い、白人は陰気に空を見上げる。 はじめは耳障りにしか聞こえなかった歌が、ラストでは名曲に変わっている。 【michell】さん 8点(2004-06-15 23:43:42) (良:1票) |
21.《ネタバレ》 脱獄ではなくて逃走話。いがみ合いながら絆が深まってゆくというのは予定調和で淡々と眺めていたところでの子供の登場に仰天。その子の母親によろめきドラマに話が向かうのかと思いきや。当時の世相を浮き彫りにさせる彼女の言動は本作MIPで見事な脚本に唸ります。ヒトとヒトとの繋がりを世に問うた名作です。 |
20.《ネタバレ》 主演の二人がまあ身体を張ること。殴り合い、よく走り、川に流され穴に落ち。鎖で繋がれた状態でのアクション、さぞや体力消耗したことと思います・・。 この映画、印象的なのが画の力が高いということ。なんというか、カメラがスムーズでこちらの目線も滑らかに動くのです。走る、飛び降りる、殴る、動きは多いけれど近年の作品より画面がずっとがくがくしないので疲れない。川の激流下りや泥穴からの這い上がりの場面では、彼らの疲労や腕輪による手首の痛みまで伝わってくるような臨場感。こういうのって実は凄い技術力なのでは。 カーティスもポワチエも名演技。命運を共にした者同士の絆が胸熱なラストへと昇華。またイイところでナイスキャラの保安官もきちんと登場して締めます。地味ながらも良作。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-07-10 01:03:23) |
19.《ネタバレ》 50年代のアメリカ、白人黒人と現代の日本に生まれた私には計りかねない状況で製作された作品です。 素直に面白いと感じました。白人と黒人の二人の脱獄犯たちの会話や彼らと接する人間達にも鋭さがあり、また緩みというものがなく、画面にはどこか気を抜くことのできない緊張が常に漂っています。 ただ二人に芽生えていく絆の描かれ方が少しチープで説明的だと感じてしまう所はありました。それでもカレンの歌うあの歌と二人と保安官とが清々しさと共に集うラストに今までなかった緩みを私は見たように思います。 【なさんな】さん [DVD(字幕)] 7点(2015-02-12 22:49:03) |
18.人種差別のきびしい一昔前の米国南部で、白人と黒人を手錠でつなぐことはありうるのだろうか。最初は疑問に思ったのだがユーモアだと言う。そのユーモアとは仲の悪い者同士を鎖で繋いでおれば決して脱走しないだろう、いや例え脱走してもうまくいくはずがないというものだ。ある面なるほどと思うがそこがまた映画のテーマでもあるのだ。結果的には鎖が切れても繋がれていたとき以上の友情が生まれるのだが。ミッドナイトランほどはおもしろくはないが、人種差別問題という点でそれ以上の価値がある映画かもしれない。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 7点(2014-12-17 19:33:37) |
17.《ネタバレ》 『網走番外地』など、多くの映画にそのシチュエーションを真似される、ユニークな状況設定が見事。そして、それによって人が繋がっていく様を、感動的に描いている。 この映画は、そこに人種差別というテーマを与えて、逃走途中で出会う人たちとのドラマを含め、黒人差別への批判を描いているように見えるが、実はその本質はそんなところを超えた、人のつながり(友情と一言で言っちゃうとチンケだが)を描いているのだと思う。 実際、終盤にあらわれる「繋がっているんだ」のセリフには、泣かされた。が、ホント言うとこのセリフ、列車から下りた後に出てきたら、号泣していたと思う。 【Tolbie】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-02-09 23:39:34) |
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16.ちょっとあらすじを読んだだけで、ある程度の展開やラストも予想できてしまうのだが、 その分感情移入がし易く、安心して鑑賞できる。テレビ映画のような雰囲気でお話は進み、 人種問題というテーマがしっかり織り込まれていて、それがストーリーに厚みを持たせてます。 役者さんたちも良かったんじゃないかと。後半の展開には一瞬「おや?」と思ったんだけど、 うまくラストに繋げてあり、「これが男同士。やっぱいいわな」と実感させれくれる作品だった。 「ミッドナイト・ラン」系の映画が好きな人には、特にお薦め。 【MAHITO】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-10-15 07:54:46) |
15.大袈裟に言えばこの映画自体が人種差別を乗り越えてきたアメリカの歴史のひとつなのかも。そういった面を除外したとしても充分に楽しめる作りだから説教臭くない。おすすめできます。 【リーム555】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2011-01-25 18:32:31) |
14.黒人映画俳優の先駆者ともいえるシドニー・ポワチエの出世作ともいうべき作品。シドニー・ポワチエは知的なイメージがあったが、ここでは野性的な役柄を演じている。事故直後の様子が描かれてなく、二人だけ無傷で逃げ出せてるのは少し違和感あり。途中「なぜ?」と疑問に思うところもあるが、全体的には程良い緊張感を保ちながら手堅くまとめていると思う。 【きーとん】さん [DVD(字幕)] 6点(2010-09-26 11:03:18) |
13.面白いんだけど面白くない。あまりにも人種差別をモチーフにしたわかりやすいエピソードの連続とそのエピソードを通過する前と後のわかりやすい変化(タバコとか歌の扱いとか)が完璧すぎて面白くない(時代性を考慮するとまたべつの評価の仕方もできるかもしれないけど。)。でもお話の根本は面白い。白人と黒人じゃなくても、例えば白人同士でも黒人同士でもいいんだけど、仲の悪い男同士が二人で脱走して徐々に友情を深めてゆくという話は絶対面白いわけで、だからこそこの映画、根本のところは面白いんだ。社会派とは無関係に映し出される「追う者」の描写があるから根本のところで楽しめるんだ。シンプルな話をシンプルにまとめた手腕も評価したい。 【R&A】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2010-09-22 17:01:21) |
12.《ネタバレ》 一つの手錠で結ばれた黒人と白人、人種差別の激しい時代によく描きましたねぇ。刑務所からの脱獄じゃなくて輸送車からの脱走なのでホントは「手錠のまゝの脱走」なんですがシドニー・ポワチエとトニー・カーティスの対比が非常にうまく描けてます。今じゃ黒人差別は社会問題なんだけども当時は差別しても何も言われないし逆にもっと言え、というような感じ。肌の色は違えどやはり人間は一緒にいれば友情が生まれるんだなぁというのを実感しました。ラストの歌になんか感動してしまった(笑) |
11.《ネタバレ》 男二人の脱獄モノ。結構好きなジャンルなんです。大体が、いがみ合いながらも次第に友情が芽生えるというお約束の展開になるのですが、それでもこの二人の男が魅力的なら何度同じ設定の映画を観ても面白いと思えます。粋でクールな別れ際、ホロリとさせられる別れ際など、二人の男がそれぞれの道を行くラストの別れ際はこのジャンルの見せ場の一つとなるのですが、女の家であっさり「あばよ」と別れていく。えっ!?これだけ?と思っていたら最後にもうひと山、最後はお互いが逃げ切る唯一のチャンスを捨ててまで友と行動を共にする道を選択する。男二人が逃亡の果てに芽生える友情の物語としても十分楽しめる作品でしたが、1950年代の作品。今よりずっと人種差別が強かった時代の映画。白人と黒人が互いを思いやり、自分だけ逃げきるよりも人種の違う友への友情を取るドラマを見せる。逃亡中に出会う白人女性は当然のことをしたかのように何の疑問も持たずあの行為を正当化しようとする。この映画の人種差別への批判でありメッセージであるように感じられました。 【とらや】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-08-22 18:36:37) |
10.題材も内容もよく、二人の泥臭い演技もよかった。まさに小品という感じの映画ですが、シンプルにいいと思いました。 【色鉛筆】さん [地上波(字幕)] 7点(2009-06-24 22:12:49) |
9.《ネタバレ》 やはり当時の社会状況から考えてこの内容は相当斬新だっただろう。手錠で繋がれた黒人と白人の二人はまさしく本来あるべき姿。心を開いて向かい合えば、これほどの友情が芽生えると言う監督のメッセージは素晴らしい。婦人が嘘をついた辺りからニューシネマっぽくなったが、死ななくて良かった。ポワチエの歌も良かった。 【TOSHI】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-03-28 12:27:32) |
8.《ネタバレ》 人種差別という重たい題材が使われていますし、話の展開も読めてしまう映画ですが、面白かったです。男の友情を描く映画はいいですね。 【アキラ】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-03-23 12:51:36) |
7.《ネタバレ》 ニヤけた女ったらしの印象が強いトニー・カーティス氏の、これほど真摯でストレートな熱い演技を観られるとは思ってもみなかったです。いかにも低予算で製作されたとおぼしき、ザラザラしたモノクロ画面の映画だけど、粘度の高い穴から這い上がる時の「ヌルヌル感」や片方から強引にひっぱられる瞬間の手首に生じる痛みとかがリアルに伝わって来ました。いがみ合っていた二人のキャラクターが巧みに作られているからこそ、ラストの汽車に乗り損なうシーン、握り合った手のクローズアップに大いなる感動が生まれてくる! 【放浪紳士チャーリー】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-06-24 10:44:25) |