12.原作はただひたすらいたいけな可哀想な少年、という印象だったが、映画版フランソワ少年には非常に底力を感じた。自分の置かれている状況の不条理さや、母親の滑稽さをとても冷静に観察している。ユーモアもあり、非力ながら抵抗も試み、子どもが本来持っている「生きる事への本能」を感じさせてくれた。だから尚更、自殺(未遂)へと行動が向かったのは痛ましい。家を飛び出してでも生き延びてほしかった。でもそれだけ母親の呪縛というものは強いのだろう。美味しいところを最後さらっていった父親は、鈍感にもほどがある。子供を追い詰める母親がそうなった責任の一端は、間違いなく夫にあり。 【Rei】さん [映画館(字幕)] 8点(2003-09-14 09:02:01) (良:1票) |
11.深夜のテレビ放映で、一人でしみじみと泣きました。今見ても、またきっと泣くと思います。ただにんじんがかわいそうというだけならここまで泣けないんじゃないかな。このストーリーが、生きていくことの普遍的な切なさを言ってるから泣けるんでしょうね。それと、ポイントはモノクロ映画という点。本作がもしカラー作品だったら、興ざめでしょう。モノクロがすべてすばらしいとは思いません。私がこの映画に9点をつけたいのは、観る側のイメージをふくらませてくれて、モノクロ映画のすばらしさを教えてくれる一作だと思うから。 【おばちゃん】さん 9点(2003-08-18 13:30:22) (良:1票) |
10.《ネタバレ》 原作小説は小さい頃にほんのさわりだけ読んだ程度だったのでこんなにハードな内容だったのかとびっくり。 とにかくにんじんことフランソワの不当かつ理不尽な扱いが酷すぎて胸が痛い。 演じるロベール・リナンのなんとも言えない表情が物語をよりリアリティにしていました。 なんといっても母親のクソっぷりが目につきますが父親も大概、だけど息子を愛すれど不器用さも感じられる感じで、最後は美味しいとこどりな感じもしましが、これから父親らしくなって行くことを暗示しており良かったです。 まあ、罪をなすりつけた兄姉に制裁はないんかいとか母親との絆はどうなるんだいとか、短い故の点は気になりますが、原作読めってことで、原作小説へのとっかかりとしてもいいのではないか、と思いました。 なにはともあれ、ブレッソンの「少女ムシェット」のように自殺エンドではなくて良かったです。 【クリムゾン・キング】さん [DVD(字幕)] 8点(2021-11-25 02:17:51) |
9.《ネタバレ》 最後のほうで少し語られるものの、フランソワを忌み嫌う理由がはっきりしない母親が、ただのキ〇〇〇にしか見えなくて辟易する。事なかれ主義の父親が土壇場で頑張ってくれたのにホッとする。あと一歩遅れたら私は今晩眠れないところでした。力だけが正しいと思う母親の末路が浮かぶラストの父子のシーンが印象的。 |
8.子どもの頃読んだ小説(絵本?) その時は子どもの目線でしか見ることができなかったが、今見るとどうしてこのような家族になったのかわかるような気がする。外での仕事ばかり一生懸命で家庭に無関心になった父親、思い通りに成長しなかった子どもに愛情を注げなくなった母親、親の顔色を伺って育った子どもたち、それぞれがどこにもあるようなどこの家庭でも起こりうるようなことだと思う。子役がすばらしかったし、幼い少女マチルドが出てきたときは「禁じられた遊び」を思い出してしまった。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 8点(2015-04-06 21:30:48) |
7.意外とシビアなホームドラマ。不幸な家庭というものは厳として存在し、ある子どもにとっては寄宿舎のほうが助かる場合もある、ってこと。母のにんじんに対する態度、特別原因がないだけに怖い(一応夫との間が冷えてから生まれた子どもってことか)。最も緊密な関係のはずの母と子においても「どうもウマが合わない」ということは生じ得るし、家庭は和気あいあいでという理想をあんまり高く掲げるのも、いかがなものか。原因がないんだから、母も改心のしようがなく、それぞれがそれぞれの不幸を守ったまま、父と子の間に光がほの見えるだけで閉じていく。その父と子が正常に相手を呼び合うラストが感動的。「フランソワ…」「お父さん…」。初めて母に反抗するシーンもいい。それまでの仕打ちにはビクともしなかったのに、盗みの疑いで少年の誇りを傷つけられるとこたえるわけ。全体子どもの捉え方が「けなげ」よりも「したたか」で、翌年の『操行ゼロ』やトリュフォーにつながっていくフランスの伝統なんだろう。牧歌調のシーンの美しさ、偽の結婚式後の行進、長く伸びた影、自殺しようとする池、どれも清澄さがあって素晴らしい。祝宴の中で取り残されていく惨めさが、それがあってクッキリする。にんじんがいざロープに首を突っ込んだときの震えの無惨さも見事。日本ではデュヴィヴィエは『望郷』に代表されるセンチメンタルな監督という評価があるが、それだけでもないんだ。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 8点(2012-10-12 10:09:15) |
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6.《ネタバレ》 ジュール・ルナールが自分の実体験をもとに書いた物語はおかしくも痛ましくほろ苦い。にんじんが子供らしくないのは母親の不当な扱いに対処するのに常に知恵を働かせななければならなかったからであり、性根が悪いわけではない。にんじん役の子役は非常に愛らしくとてもにんじんとは思えぬほどであるが、母親役の女優がヴァロトンが1890年代に描いた挿絵に酷似しているのは、この役に関してはヴィジュアル・イメージが大事ということだろう。惜しむらくは原作を傑作たらしめているユーモアよりペーソスの方が浮き上がっているせいで、「ケス」のようなかわいそうな少年の話になってしまっていることだ。それでも謎であった、ルピック夫人が息子を苛める要因を父親のルピック氏に語らせている点は解釈の一つとして意義があるし、初めて味方を得て‘Mon pere’と呼んでみる、にんじんの笑顔を見られるのも嬉しいことである。 【レイン】さん [地上波(吹替)] 7点(2009-10-26 23:59:58) |
5.《ネタバレ》 何十年かぶりに鑑賞。 にんじんの孤独感、排他感が痛いほど伝わってくる。 母親は実の親なのにあそこまで冷たくなれるものなのか? 現代においても虐待やネグレクトがあるもんなあ。 なぜ実の子供のことを愛せないのかわたしには理解不能だ。 最後が無理矢理ハッピーエンドなのは個人的にはよろしくない。 むしろ自殺してしまう悲劇的なラストをもって、親に愛されない不幸な子供がこの世にいることを世間に訴えて欲しかった。 【にじばぶ】さん [インターネット(字幕)] 5点(2007-10-10 20:18:28) |
4.《ネタバレ》 前半は全くつまらないけど、後半のにんじんが反攻を始めたあたりからグッと引き込まれます。母親が異常すぎるだけで、父親もたいがい酷い。しかしこのありがちな酷さが妙にリアル。何も解決していないけど、ラストの乾杯がこの映画の唯一の救い。 【よし坊】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2006-09-25 00:25:52) |
3.見てて胸が苦しくなった。にんじんの辛い気持ちが痛いほど伝わってきて、ずっと心の中で頑張れ!死ぬな、死ぬなって叫びながら見てしまった・・・すごくよかったです 【刃物】さん 9点(2003-07-06 02:39:06) |
2.本で何度も何度も読んだ作品です。。にんじんのイメージがそのままで違和感なく見れました。。にんじんの淋しさがヒシヒシと伝わってきて切なくなります。。でもちょっと短いので「え?これで終わり?」と少し物足りない感がありますね。。 【jons】さん 8点(2003-04-18 11:25:07) |
1.泣くに泣いた。撮り方も面白いしなによりもにんじんの悲惨さがめちゃくちゃ泣ける。鬱な人は是非見て欲しい。 【しゃぶ】さん 10点(2003-03-17 14:59:12) |