46.チャオ~。といった軽い感じで始めるには合わないかもしれませんが、この作品は素晴らしいといっチャオ~。出ている役者もみんな素晴らしい・・・。鉄道員という仕事への一途さが子供たちとの軋轢を生み出している様子、そしてストライキでも列車を動かすシーンから、鉄道員としての誇りがひしひしと伝わってきました。彼を理解する同僚のジジ、彼を尊敬する幼いサンドリノを周りに置くことで彼の苦悩や悲哀を浮き立たせています。このジジのアンドレアとの距離感がまたいいんです。突き放すところは突き放し、けっしてべったりではなくそれでいて共に鉄道員として同じ機関車で育んできた友情を感じさせる・・・いいですね~。そしてアンドレアが目が合ってしまったという線路内の男、アンドレアはこの男の目の中にこの男の人生や家族といった背景が見えたのではないかな~。よってこれまで子供たちと真摯に向き合っていなかった自らの姿が見え、家族との接し方がより不器用になっていったのではないかと思うのです。クリスマスのラスト、ジジがみんなを招き賑やかなるアンドレア家のシーンは、その後みんなが帰り、妻と彼の二人の静かなる会話、それを一層静かに余韻を残すための伏線ではないでしょうか。ここでアンドレアが妻に漏らす「きれいだ」・・・ここで私はやられてしまいました。その一言にアンドレアの妻に対する想いがすべて詰まっているように聞こえたのです。マルチェロとサンドリノを見送る母、けっして微笑みを浮かべないその表情、その余韻にしばし浸らせていただきました。♪線路は続く~よど~こまでも、野を越え山越え谷越えて・・・人生をいろいろ越えるとあんな表情になるのでしょう、きっと・・・。 【彦馬】さん 10点(2004-10-19 23:20:10) (良:3票) |
45.《ネタバレ》 『自転車泥棒』と同じく庶民の厳しい生活を背景にしたイタリア映画の古典的名作だが、どこか昔の日本のホームドラマのよう。 不器用な頑固親父のせいで家族がバラバラになりながらも、最後は家族の絆を取り戻す。 今は日本も子供と友達のようなマイホームパパが主流だけど、ひと昔前は珍しくなかったタイプの親父像。 昭和の家庭をみるようで、だから日本人の共感も得やすいのだろう。 酔っ払ってクダを巻いてばかりの親父は、スト破りで仲間を裏切るろくでなし。 見てるとイライラしてくるが、それを自覚して自己嫌悪に陥る姿が身につまされる。 それでもそんな男を受け入れてやる家族と仲間の温かさ。 サンドリノ少年の存在が抜群で、子役の良し悪しがいかに大きいかを実感できる。 古い映画では特に、日本と外国の子役のレベルの違いが気になる。 【飛鳥】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2013-10-07 20:17:52) (良:2票) |
44.既に大人になった姉、兄とは随分年が離れた幼い末っ子の少年の目線で見つめた、どこにでもありそうな家族の崩壊と再生の物語。よくある設定のホームドラマではありますが、その人物描写が素晴らしいです。 家族の心が離れ離れになっていく前半から中盤、重い雰囲気も漂いますが、微笑ましさやユーモアを感じさせる末っ子の言動、父、そして優しい母や姉と末っ子との触れ合い、鉄道員の父の仕事仲間であり親友の独身男の存在や行きつけの酒場の常連客達の生き生きとした描写が心を和ませてくれます。 僕はイタリアの庶民やその家族の物語を描いたドラマが好きなのですが、それは人生には辛い時期もありますが、そんな中に派手さは無いですがイタリア映画が見せてくれる人間臭さや可笑しさやあたたかさがとても好きなんです。ですが何故か本作はずっと見落としていた作品でした。それを映画館で見る事が出来た。ありがとう、午前十時の映画祭。 【とらや】さん [映画館(字幕)] 8点(2010-06-29 15:13:02) (良:2票) |
43.この映画の家族、すごくありそうな家庭です。それ故共感する所も多い。よかれと思ってやった事が悪い結果を呼ぶ。軌道修正できないままにどんどんと別の方向に走り続けた列車はいつしか本来の場所から遠く離れてしまう。そんな大人の意地の張り合いを幼い少年の純真で素直な目を通して見せることによって優しく戒めています。色んなものを得て、失って、それでも人生は続いて行く。優しくて美しいラストに涙。 【黒猫クロマティ】さん 8点(2005-01-21 12:55:16) (良:2票) |
42.イタリアは不思議な国です。イタリアの人々は陽気で明るいというイメージがありますが、いざ映画を作らせると、どこかもの悲しい雰囲気が漂う。この映画は、まさに典型的なそれです。「マリア・ニコラ~♪」なんて陽気に歌っているその裏側には、あんなに深刻な家庭事情があるのです。サンドリノの無邪気な表情が、涙を誘います。 それにしても、この頃のイタリア映画の音楽は、何と素晴らしいものばかりなのでしょうか!「あ、何かちょっといい曲だなvv」なんてものではなく、本当に名曲中の名曲、という感じのものが多い気がします。この鉄道員で使われている曲も、映画史上で5本の指に入るくらいの名曲だと思います。見終わったあと、しばらく涙が止まらず、気分が重くなってしまいました。しかし、名作の中の名作なので、決して観ておいて損はありません!私は一応高校生で、全然年代は違うのですが、ずっと観てみたかった作品です。感性豊かなこの時期に観る事が出来て本当に良かったです。 【Ronny】さん 10点(2004-01-07 03:14:47) (良:2票) |
41.《ネタバレ》 頑固おやじに振り回される家族の情景。モノクロのしっとりとした質感とイタリアン美女に天使のような子どもの画でちょっと敷居が高くも感じますが、往年のテクニカラーを施して昭和感を出せば向田邦子脚本のドラマのような親しみやすさが一気に出ますねきっと。本質同じだもん。 親父はガンコで、でもそんなに強いわけではなくて。家庭を支えているのはしっかりした優しい母親の方で。そして幼い末っ子はいつも大人たちの秘密を知る立場で、「黙っていてね」と守秘義務を課せられる笑。結局筒抜けになっちゃうんですけども。 イタリア映画の人間ドラマによく見る「俯瞰した姿勢」が本作にも顕著で、人物らは状況を切り開こうと必死に動いたりしないです。なるようになるからね人生は、というスタンスが昔の日本映画の淡々とした味わいにも似ているなと感じます。 ガンコ親父を取り巻く環境は浮いたり沈んだり、ささやかな友人の思いやりが大きく周囲を感化して、ほっとする終幕に落ち着きます。優しい脚本に心なごみます。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2022-01-26 18:22:24) (良:1票) |
40.《ネタバレ》 初見。サンドリーニの視点で淡々と描かれたホームドラマなれど泣かされ通しだった。怒り、悲しみ、自責の念で絶望感に苛まれても、自身で体を痛めつけるような事だけはしてはならない、人生に於いて不幸せと交互に訪れる幸せを少しばかり味わって息を引き取ったアンドレアを見て痛感する。耳にしたことがあるテーマ曲と共に胸に沁み入る作品。 |
39.《ネタバレ》 この独特な雰囲気はとてもイタリアらしいなぁ。酒好きで頑固なおやじさんを支える奥さんがいじらしい。60年近く前の映画なのだが何か共感できるというか、懐かしいというか、心に訴えかけてくるものがありますね。で、の、子役の子がかわいい~~これまたいかにもイタリアの子な感じがとてもいい! 。お酒について寛容なのは時代のせいかとは思うけど小さいこの子にお酒飲ますのは(そう見えた)いくらなんでもダメっしょ。そこらあたりはちょいと時代と国民性?を感じた次第でゴザイマス 【Kaname】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2015-03-20 08:40:59) (良:1票) |
38.モノクロの単調な画面にも拘らず豊かな色彩のイメージが膨らむ映画でした。一昔前の家族の有様を考えると、欧米の中でもアングロサクソンとは一味違うイタリアに親近感を覚えます。そういえば古代ローマは多神教国家であり公衆浴場もいたるところにあったそうですね。さり気ない感動シーンが随所に見られるいい作品でした。 【ProPace】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2014-08-22 21:06:03) (良:1票) |
37.《ネタバレ》 イタリア映画、まずテーマ曲がいいですね、しかし、イタリア人の陽気さとか差異はあるけれど、日本人家族にも通ずるのを感じるのか、素直に良い映画に感じました。良かった。 【min】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-08-05 20:46:42) (良:1票) |
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36.ピエトロ・ジェルミ監督・主演のホームドラマは、古い時代のイタリアの情緒が盛られる。 鉄道員としては優秀ながらワンマンな父に反目する姉と兄、ばかりか姉夫婦の不和など気苦労がたえない母と末っ子の弟。 小さなほころびが大きく裂けていく様はやるせない。 空気を読みとるサンドリーノは環境がそうさせたのだけれど、小さい体に聡い目をして大人たちの間をさまよう。 スト破りもからんだ仕事仲間との軋轢と修復も描かれ、一本気なマルコッチを気づかう同僚リベラーニの大らかな情は得がたいもの。 心境の変化がもたらす展開は「素晴らしき哉、人生!」も思いおよび、ラストの違いはアメリカとイタリアのお国柄だろうけれど、クリスマスの改心ものとしてあちらに劣るものではないと思うので。 【レイン】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-12-05 07:00:03) (良:1票) |
35.《ネタバレ》 一家の亀裂がくっきりする散々なクリスマスで始まり、みんながよかったよかったと祝福しあうクリスマスで幕を閉じる構成。その祝福の日がお父さんの最期なんだけど、みんな笑顔で終われる。そのあとの朝のシーンがなかったら、孤独なお父さんの最後の夢だったのかも、と思ってしまうぐらい「夢のような好転」なんだな。どういう努力があって一家に幸福が戻ったのか、という経過をドラマにしようという意志はあまりなく、「人生楽ありゃ苦もあるさ」という達観を提示するだけでうなずいてしまう。そこらへんイタリアと日本は似ている。状況を変えようとする努力より、その中で耐える人々に共鳴してしまう。ファシズムが起こりやすい国民性だが、戦後の復興に気合いがはいる国民性でもある。だいたいが家族のドラマだが、鉄道の仕事仲間の部分もあって、そこらへんのほうが今見て新鮮だった。スト破りをして「組合仲間」からは白い目で見られるが、それと「仕事仲間」とは違うんだな。スト破りにしろ、降格された彼が久しぶりに機関車の運転台に座れる喜びに引っ張られた「鉄道屋気質」のなした行為で、そこらへんを同じ気質を持つ「仕事仲間」は分かってくれたんだろう。そういう仕事の「ファミリー」の感じが酒場のシーンで出ていた。こういう酒場好きの「ファミリー」が、会議好きの「組合」に取って代わっていく時期だったのだ。もう一つのファミリーだったお父さんの仕事場へ走っていく少年で始まり、もうお父さんのいない家から学校へ走っていく少年で終わる映画でもあったわけ。 【なんのかんの】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2012-07-24 10:20:07) (良:1票) |
34.鉄道員をしている父親と、その一家の日常生活を描いた作品。 古いイタリア映画というのは、昔の日本に相通ずるものがあるようで違和感を感じさせない。 監督兼主演のピエトロ・ジェルミの頑固親父はまさにハマリ役。純粋でかわいい末っ子が、 家族間の橋渡し的な役割になっているのがリアル。個々の人物描写がしっかりと描かれている。 ストーリー自体は粗がない代わりに、ドラマチックな展開も見受けられない。 一家の描写を中心に物語は淡々と進み、徹底的なリアリズムを追求した仕上がり。 ベタな演出はいっさいないので、頑固親父の家族に対する思いが如何に伝わるかが、 この映画を鑑賞するうえでのポイントとなる。こんな不器用な親父、昔はたくさんいたんだけど。 近頃頑固親父が少なくなったとお嘆きの貴兄に。 【MAHITO】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-10-26 11:54:13) (良:1票) |
33.高校の時、音楽好きの友人がギターで弾いていたのが、この鉄道員のテーマ曲だった。悲しくも美しい旋律に私は心を奪われ、クラシックギターや映画音楽に興味を抱くきっかけとなった。 カルロ・ルスティケリの映画音楽は本当にすばらしい。「鉄道員」「ブーベの恋人」「刑事」「イタリア式離婚協奏曲」「誘惑されて棄てられて」などの名曲を次々とレコードで聴いていった。 そしてようやく見た映画、テーマ曲が聴けるだけで満足くらいの気持ちで見たが、映画ももちろんすばらしかった。 この映画は、イタリア映画の良さを余すことなく醸し出しているし、ピエトロ・ジェルミの映画は、もっと評価されるべきだと思う。 ところでこういったイタリア映画には、必ずといってよいくらい、かわいい純粋な男の子が出てくるような気がする。 【ESPERANZA】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2011-03-13 22:50:05) (良:1票) |
32.昔のイタリアの作品ですがまるで現代の日本の家庭を見ているかのようです。 【akila】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-02-28 01:59:14) (良:1票) |
31.《ネタバレ》 また私事から始まりますが、2ヶ月ちょっと前に父を亡くし、9日前に愛猫を亡くし、家に一人ぼっちになりました。思えば母を亡くした29年前、それよりもう少し前から家族はどんどんと変容し、壊れ、そして今に至ってとうとうここまで来てしまったんだなぁ、って。そんな私の目に、この映画は大変ツラいです。時の流れの中に入り込んだ様々な要素が家族を翻弄し、形骸化されたものすらも維持できなくなってしまう。それらは、本当は家族一人一人が少し互いを気にかけていれば済む事だけれど、それができない、同じ空間で顔を突き合わせながら距離を置き、隔たってゆく、それが実体験にシンクロして大変リアルに響いてきました。この映画の父親には最後に救済が与えられた上で終わりがやってきます。だけど、この家族にはもう決してそれまでと同じ日常が幸せに続いてはゆきはしないと。この時代のイタリア映画には何か言い様のない芸術の血が流れているみたいで、その淀みない語り口はガッチリと心を捉えて離しません。映画に教えられる事、取り戻す事はできないけれど気付かされる事。時としてそれは思った以上に大切なものなのかもしれません。 【あにやん🌈】さん [映画館(字幕)] 9点(2010-04-19 13:17:41) (良:1票) |
30. 冒頭でお父さんが同僚をからかった時、横で爆笑している少年の顔が最高ですね。 私は他のレビュアーと違って、この時代に作られたイタリアのホームドラマは限りなく昭和のホームドラマに似ていると思います。 ただ一つ違うことは、日本のドラマは母親主体の所謂「母性愛」をテーマにしたものが多いのですが、イタリアは父を尊敬する息子という設定が主になっているものが多く感じます。もちろん例外も多々ありますが……。 父の尊厳は父親自身が固辞するものではなく、その家族全員が認めるもの。この時代のイタリア映画の多くにそれを感じます。 こんなお父さんだったら、ちょっとくらい酒飲みだろうと私は簡単に尊敬しちゃいます。 【クロエ】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-09-04 21:32:28) (良:1票) |
29.《ネタバレ》 イタリアのホームドラマ。いろいろあって家族離散するが、最後は丸く収まるという、ありがちなお話。逆に言うと正統派のストーリーであり、それなりに見せる要素は持っている。親父が単なるいい人ではなく、酒飲みで暴力を奮うというのはあまりいい気持ちがしなかったが、家族思いのいい面も描かれていて、そのあたりにリアルさを感じさせる。なかなかよかったです。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-07-26 21:03:45) (良:1票) |
28.イタリア人と日本人って明らかに気質が違う民族ですよね。お国柄基本的に楽天的で陽気なイタリア人、シャイでわりかし静かな日本人といったイメージ。無論近年は必ずしもそうでもないかもしれませんが・・・。なんとなしに、この映画が日本人の琴線の深い部分に触れてくるというのは、この頃両国ともに第二次大戦敗戦の痛手からようやく立ち直りつつある時代に製作された映画だったからなのかなって考えてしまうんです。私はストレートな家族モノのは大の苦手なんですがこの映画は別。憂愁漂うテーマ曲とともに忘れられないモノクロ映画秀作の一つ。(25年前「TBS名作洋画ノーカット10週」にて鑑賞→) 【放浪紳士チャーリー】さん [地上波(字幕)] 8点(2009-07-06 11:20:33) (良:1票) |
27.《ネタバレ》 映画としては「よくあること」かもしれない、父の職場での処分、姉の夫婦問題、兄の就職問題などといったことも、その家庭にとっては大問題なのです。そこをしっかりと正面から捉えて表現しているから、この作品はドラマとして安定しているのです。みんなで仲直りして大騒ぎしても、最期は夫婦2人だけというのが、何ともいえない示唆と余韻を残しています。これだけの環境を荒れることなく堅実に支え続けてきたお母さんに拍手。 【Olias】さん [DVD(字幕)] 6点(2009-07-06 00:42:54) (良:1票) |