6.《ネタバレ》 そもそも「魔術」なるものを見世物としてやってる時点で極めて胡散臭く、しかもその魔術師というヤツが、私は魔術師ですといわんばかりの格好をしてるもんだから、もうほぼウソ確定。ただ、本人が口がきけないらしい、という点に、辛うじて神秘性の片鱗を漂わせている状況。
その彼を周囲は疑うのだけど、その周囲の人物の方が実は何ともウソ臭く胡散臭い、そういう人間模様が描かれていきます。
いっそ、この口のきけない魔術師だけが真実なんじゃないか、とすら思えてくるけれど、そうは問屋が卸さず、変装を解いて実際には口もきける彼の本当の姿を映画は我々に突きつけてくる。
そしてついには、魔術とやらのインチキぶりも暴露され、すべてがオシマイ。
と思ったところから、映画は意外な様相を見せ始める、ってのがこの映画のスゴいところ。完全にホラー映画の語法に突入します。
さらにそこから、またまた事態を一変させるラストへと。もはや我々は何も信用できない。ということがこの世で唯一信用できることなのかもしれない。
「意外な真相」みたいなものをよく、ドンデン返しとか言うけれど、本当のドンデン返しって、この映画のようなもののコトなんじゃなかろうか。