27.この作品、ここでの評価の高さに前から必ず観よう!と思っていたものの、相米慎ニという監督がどうも苦手でして、なかなか借りてこなかったけど、今回、借りて来て良かった。心から本当にそう思う。父と母の都合によって、ある意味、家庭崩壊状態にあるこの3人の家族、そんな状況の中で揺れ動く子供の気持ちを見事に描いていて感心させられた。これだけ子供の気持ちを痛烈に描いている作品はなかなかないと思う。レンコが父親の会社の近くで電話してくるシーンでの祭の音、父親(中井貴一)とレンコ(田畑智子)のやりとり、その後も何度も繰り返し出てくる祭のシーン、夜の花火、それを見つめる娘と母(桜田淳子)、夏休みの宿題テーマにしながら家族とは何かということが上手く描き出されている。最後の方の海でのシーンが特に好きです。それにしてもこの作品のレンコ役の子の演技は凄い!としか言えない。これからも素晴らしい監督と出会えれば、日本を代表する名女優になること間違いないでしょう!また一つ、いかにも日本的な作品に出会えて良かった。そして、今までは苦手だった相米慎二監督の他の作品についてももう一度、じっくりと見直したいと思う。 【青観】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2006-10-01 22:06:08) (良:3票) |
26.《ネタバレ》 ずっとドキドキしながら観てました。なぜかと申したら、、、 『お引越し』なわけでしょう。ですから、ずっと彼女ら2人があの町から涙のお引越しをして行くもんだと そっち方面に思っていたんです。すなわち、レンコとお父ちゃんの別れを想像してしまっててビビッていたんです。(←ここ赤線) で、予想的には、なずなの仕事の都合で急な転勤、信州方面へ とか、レンコと元亭主ケンイチをこれ以上仲良くさせておきたくないと思ったなずなが、「遠くには行きたくない」というレンコの腕をひきづり青森へ 、とか、なずなの実家の母親が急に倒れて網走へ、とか、よからぬ推測してしまってたんですよね(まったくもって勝手な推測ではありますが。) でもそんな鬼のような悲しいお話ではありませんでしたね よかった よかった というべきか‥ 結局のところは元に戻らぬ両親、レンコにとっては悲しい現実には違いありませんでしたが、幸いにもお母ちゃんとは毎日一緒にいれる。お父ちゃんとも会おうと思えばいつでも会える。それはお父ちゃんとの距離が近いからこそなんでありますよね。 だから みんなお引越しなどしてはイケン。まったくもって今回、題名にビビらされてしまいましたよ いや、よかった よかった みんなが遠く離れ離れにならなくて。 そして田畑の智子ちゃんの子供っぷりがリアルにとてもよかった。また桜田淳子がよかった。思いきった長回しの連続も苦になる事がなかった よかった。 で、話は結局、切なく哀しいお話だったけど、日本映画って素敵だなって今さらながら思えた。ほんと埋もれていってはいけない こんな良作、今頃だけども気付けてよかったって思っています。今後も益々のご活躍を見守らせていただきますよ 田畑の智子さん。 【3737】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2010-12-08 23:39:27) (良:2票) |
25.《ネタバレ》 まず何よりも田畑智子がいい。縦横無尽に走りまわるその姿から畳の上でのムーンウォークに至るまで、彼女が画面の中で動いているだけで、まるで素晴らしいダンスでも見ているかのように胸が躍る。さらに感動的なのは相米慎二監督の型破りな長回しが、ここではこの田畑智子という興味深い生命体の面白さを如何に最大限に引き出すか、その一点にきちんと集約され、とてもスマートにその機能を果たしているということだ。相米は正面切ってとても誠実にこの少女に向き合う。前作『東京上空いらっしゃいませ』でも大いなる片鱗を見せていた彼のその「直球勝負」が、ここにきてさらに研ぎすまされ、ついに一つの完成形を見せる。思えばかつての相米映画の子どもたちは両親の不在の上にあった。『ションベンライダー』に親たちの姿は一切なく、『雪の断章ー情熱ー』の斉藤由貴に至ってはあらかじめ孤児である。『台風クラブ』で野球少年の父親は骸としてのみかろうじて存在し、工藤夕貴は一度もその姿を見せぬ母親の痕跡だけが残る布団にくるまり、ただ泣きじゃくるばかりだ。逆に父母の前から自らその姿を隠さねばならない『東京上空』の牧瀬里穂しかり、相米映画の子どもたちはみな一様に、ある種みなしごとしてそこに描かれてきた。『セーラー服と機関銃』が、主人公の父親の葬式からはじまるのは偶然ではない。薬師丸ひろ子演じる星泉は、みなしごとなってはじめて相米映画の主人公たる資格を得たのだ。そんな相米慎二が、まず父母ありきで描かれるこの少女の物語を選んだのもまた、偶然ではないだろう。彼は徹底して排除してきたその存在と、ここに至りはじめて決意をもって対峙している。母と娘、父との別居をめぐるその攻防戦。ガラス戸の向こうで娘が口にする『なんで産んだん?』その問いに咄嗟に答えられない母親は、ただ無言のままガラス戸を突き破り、娘を力の限りにつかむ。それが彼女が答えられるせいいっぱいの答えなのだ。その手の答えに泣いた。そしてそんな母娘の愛情と決闘を、ここまで真正面から相米慎二が描いたことにも。自分をしっかりと抱きしめ、胸をはっておめでとうございますと叫ぶ主人公レンコとしての田畑智子、それを描く相米慎二、その二つの輝きを余すことなく焼きつけることができた『お引越し』は、この上もなく幸運な映画である。 【BOWWOW】さん [映画館(邦画)] 10点(2009-08-08 11:28:53) (良:2票) |
24.田畑智子という子役、どこかで見たことがあるなぁ・・・と思っていたら、現在も活躍している、あの「タレント」の田畑智子なんですね! 田畑智子のデビュー作ということで、何か掘り出し物を観たような気になれました。 しかし、鬼の様な長回しの連続ですなぁ。 すごい、すごすぎました。 溝口健二もビックリの気合いの入った長回しシーンの数々に感動しました。 しかも、当時まだ子供だった田畑智子を使っての、あれだけの長回し。 さぞかし厳しい演技指導を受けたのでしょうな。 田畑智子というタレント、いや、「女優」を見直しました。 単なる愛嬌のあるタレントではなかったんですね! 【にじばぶ】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2007-11-23 23:46:51) (良:2票) |
23.《ネタバレ》 引越し荷物を積んで走るトラックを追いかける子供を走ったまま引っ張り上げるシーン。捕まえようとする母親と逃げる子供の部屋と廊下を真剣に追っかけあうシーン。ワンシーンワンカット撮影におけるこれらのシーンが実に躍動感に満ち溢れて素晴らしい。今回の相米の子供は少し大人びた小学生。両親が離れて暮らし始めるという、小学生の子供にとっては過酷な環境。そんな環境が子供を大人へとせかしてゆくかのよう。祭りの最中にそれは突然訪れる。親の意志を歪めてでも子の意志を見つめようとようやく思った橋の上の母の前で女への変調を迎えた娘。ここから相米ワールド全開。親が画面から消え去り幻想的な世界が次々と描き出され、彼女は『ションベンライダー』の河合美智子がそうしたように水の中へ入ってゆく。そこで出会う子供の自分。大人へと変わりゆく過程の葛藤を押さえ込み、自分に「オメデトウゴザイマス」と叫ぶシーンに感動。せっかくの美しい映像が涙でちゃんと見ることが出来ないではないか!とこちらも叫びたくなるくらいの感動。かなりいいです、この映画。 【R&A】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2006-08-24 15:20:12) (良:2票) |
22.相米慎二監督といえば「跳んだカップル」、「セーラー服と機関銃」などのアイドル映画がすぐに思い浮かんでしまい、あまり見て来なかったが、これはそんなイメージを見事に忘れさせてくれた秀作だった。中井貴一と桜田淳子の演技はもちろんうまいが、子役の田畑智子がすごく良かった。子役は大成しないとよく言われるが、今の彼女の活躍ぶりを見るとこの言葉は当てはまらなかったみたいだ。同級生役の茂山逸平もいい味を出していた。エンドロールのバックの映像も印象的だ。見て良かったと久しぶりに思える映画だった。 そして、相米監督にすこし興味を持てた。 【イニシャルK】さん [ビデオ(邦画)] 9点(2005-03-27 15:12:34) (良:2票) |
21.あんまし「天才子役」などという言葉を安易に使ってはいけないと思うのですが、この作品の田畑智子は素晴らしい!ちょっと大人びたところのある少女の悲しみや不安を実に瑞々しく表現しています。後半のお祭りの中を走りぬけて、どこか幻想的な森で一夜を明かすシーンなどはとても良いです。こーゆー邦画の良作を埋もれさせてはいけない。 【ぐるぐる】さん 8点(2003-11-19 18:16:11) (良:2票) |
20.タイトルからは想像しにくいが、離婚寸前の家庭を扱ったなかなかの感動作。中井貴一、桜田淳子らの演技や関西弁も上手いが、なんと言っても田畑智子がいい。お涙頂戴的演出を感じないと言えば嘘になるが、風呂場に閉じこもったシーンでのセリフなど、彼女の演技には何度か泣かされてしまった。相米監督のマジックにズキュンとやられてしまった。 内容が良いだけに惜しまれるのがこの「お引越し」というタイトル、こりゃダメだ。間違っても『裕福な家庭が舞台の、引越しノウハウてんこ盛りなお話し』なんかでは無い、誤解無きよう。 【じゃん++】さん 8点(2003-11-03 16:36:36) (良:2票) |
19.《ネタバレ》 あんなに戻ってほしいとアピールしてたのに、最後に父親がもう一度やり直したいと言ってもレン子は突き放してしまう。その思いが何なのか、そこがうまく描けていない。コンクリートの土手を行ったり来たりしながら、揺れ動きながら、父を振り切るのだが、あんなに愛情深く父に接してたのにその肝心な点がストーリーとしてうまく語られていなかった、と思う。いっそ父親がもっとダメな男だったりしたら、突き放しの意味もあるのに…残念なところだった。だから最後に、京都の庶民の人情ややさしい無関心、息子を亡くした老夫婦の悲しみ、荘厳な川祭りの中で感じた人間を超える何か、そういうものに接して自力で大人に成長していくレン子の姿が、説得的に見えてこなかった。残念だ~。悪く言えば腰砕け、最後の祭りの光景が長すぎると感じてしまった。まさか外国人向けに‘日本’を押し出し過ぎた、ということではないだろうが。 【柚】さん [ビデオ(邦画)] 6点(2014-04-29 22:08:21) (良:1票) |
18.主要人物に現実感が感じられず、どこか嘘っぽい。これはシナリオと演出、どちらに原因があるのかよくわかりませんが。途中に出てくるおじいさんとおばあさんだけが、それらしかった。京都人からすると、学校と自宅が離れすぎていてこれも違和感大。私立小学校とも思えません。そもそも、なぜ京都が舞台なのか。必然性がわからない。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2012-12-01 18:11:38) (良:1票) |
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17.親子や夫婦のあり方を考えさせられる異質なヒューマンドラマ。 中井貴一と桜田淳子の水準以上の演技は当然として、これがデビュー作となる田畑智子の天才振りが作品の質を底上げしている。 天才とはよく言ったもので、まさに天賦の才能。 それ以上にも、それ以下にもならない。 その後の田畑智子の微動だにしない演技力の平行線には驚かされる。 とは言うものの、この作品の素晴らしさが失われるわけではないだろう。 おめでとうございます。 【もとや】さん [ビデオ(邦画)] 9点(2004-04-03 10:55:47) (良:1票) |
16.いい映画。 親と子供の事情が良く描かれてる。(ビデオ) 【zero828】さん 8点(2004-02-24 21:17:48) (良:1票) |
15.中井貴一のヘタな京都弁が耳について集中できなかった。田畑智子は良かった。かわいいしかしこそう。「おめでとうございます!」が今流れてるカードのCMとかぶってる。。 【drop】さん 7点(2004-02-15 12:32:28) (良:1票) |
14.このタイトルゆえにこの映画があまり知られていないということは多分にあると思う。なぜこんなタイトルにしてしまったのかは不明だが、映画自体はとてもよく出来た家族ドラマだった。何と言っても子役として主演している田畑智子の演技が素晴らしい。子供らしいエネルギーと複雑な心理状況を見事に演じていた。相米監督ならではの淡々としたカメラワークと映像美も印象深い秀作である。 【鉄腕麗人】さん 8点(2003-12-21 17:44:19) (良:1票) |
13.これを見ると、桜田淳子はつくづく惜しいことをしたと思う。このまま女優をやっていたら、多分歌手よりも成功していただろうと思う。田畑智子については↓の方たちが言ってるので省略。えーっと、、映画そのものについては、、あまり印象にないです。 【キリコ】さん 6点(2003-11-28 22:25:06) (良:1票) |
12.相米慎二監督の作品は長回しという技巧ばかりが突出しておりあまり好きになれないのですが、この映画は比較的人間ドラマと技巧のバランスが取れているので好きな方です。しかしそれも脚本に参加された奥寺佐渡子の功績に依るところが大きいのではないでしょうか。相米慎二は離婚という現実に直面した家族の心情を描くことよりも、スペクタクルなシーンを構成することに注力しているように見えます。祭りのシーンが挿入されるのもそれがいかにもスペクタクルな描写だからでしかなく、具体的な何かの象徴として提示されているわけではないと思います。あるいは海外の映画祭に出品されておりますので海外受けを狙った計算なのかもしれません。ドラマとしても今見直すと離婚しない夫婦が多数派であることが前提とされており、現代の多様な家族像の前では古びてしまっています。 |
11.《ネタバレ》 親の離婚というのは子供にとっては大事件なわけで、その非日常が祭りとシンクロしながら進行。さらに、子供ならではエネルギーの爆発や火と水による感情表現の演出。この辺はちょっと過剰かな?という気もするが、リアリティーを追求する作品でもないし、これはこれでよいのかも。 ここではエリザベス・キューブラー・ロスの言う、1否認と孤立→2怒り→3取引→4抑うつ→5受容 が少女の成長と共に描かれており、最後の「オメデトウゴザイマ~ス!」で過去の自分を抱きしめる。ここは理屈抜きに感情が揺さぶられる場面。が、そこには開放感はなく、過去を封印し楽しい思い出を忘れ、過酷な現実に向き合おうという悲壮感さえ感じる。そして、中学生になったエンドロールの表情には諦観すら感じる。なんとも救いのない作品だ。 |
10.《ネタバレ》 先ずはレンコ演ずる田畑智子が凄い。 後々の大人になってからの彼女自身のインタビューで、この時全く演技経験がなくオーディションに合格して撮影に挑んだそうです。 にも拘らず、虐めのような相米監督の長回しにも負けていない。ご立派です。 ストーリーとしては、やっぱり子供が居ての離婚というのは何かと問題ありですわな・・・ という私は、子供三人おって2度離婚しております・・・ なので、レンコの行動やセリフなどが心にズシンとくる次第で・・・ 【元の生活を返せ!!】って貼り紙なんかは地味にカウンターパンチくらった気分でした。 だから個人的には面白い映画というよりも、自分の人生と照らし合わせ、色々と考えさせられる良い意味での説教映画のようでした。 終盤の『おめでとうございます』と叫ぶレンコの笑顔は逞しくも微笑ましかった。 今までの自分と決別し、少し大人の気持ちに“お引越し”したのかな・・・ あと思ったのは、女の子はおしゃまだからこその『おめでとうございます』かなとも。 男の子だと、何時までもウジウジしてそうだもん・・・ 【ぐうたらパパ】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2013-07-02 14:50:38) |
9.《ネタバレ》 田畑智子がこのとき何歳だったかは知らない。この年齢で、映画の出番が終わって自分自身に戻れるのか、その後何らかの影響はないのかと心配になるくらい彼女はこの役どころを完全に理解していたように感じた。水に浸かりながら「おめでとうございます」を連呼する顔が強烈に残る。なるほどなあ。相米監督さすがです。 |
8.《ネタバレ》 両親の離婚を受け入れられない小学6年の少女。 懸命にあれこれ抵抗するが、両親はもてあますだけ。 風呂場に立てこもるレンコの前で、両親が言い争う場面。 なかなかわかりあえない気持ちが、もどかしい。 揺れる少女の心理と成長が、相米監督によって丁寧に描かれる。 テーマはありきたりだが、普遍的なもの。 地味な映画だが、じっくりと観させる。 終盤、幻想的な世界が展開する。 そこで、少女は昨日までの自分と決別する。 残念だったのは、幻想やらメタファーやらが目に付く映画は、個人的に相性が悪いこと。 そのせいか、自分の中ではラストにかけてやや失速した感が。 少女が成長したことは伝わってくるが、どうして急に両親の離婚を受け入れたのかがよくわからなかった。 幻想やメタファーに誤魔化された気になる。 デビュー作となる主役の田端智子がいい。 田中麗奈もデビュー作でそうだったが、セリフは棒読みなのに、不思議と自然体の存在感が光る。 替えの効かない重要なピースとなっていて、そのキャストがあって初めて作品が成立するほどにハマっている。 これはもう、天賦の才だろう。 それと対照的なのが、母親役の桜田淳子。 人気絶頂期の主役で見せた演技は、どうしようもないほどわざとらしくて見ていられなかった。 ところが、久しぶりに見かけた本作では、見違えるようでビックリ。 よっぽどの努力が察せられて、感心してしまった。 【飛鳥】さん [地上波(邦画)] 6点(2012-12-17 20:46:07) |