62.《ネタバレ》 賛否両論ある映画らしい。もっともだ。作品としてはどんなものかと思う。あまりにも淡々としたシーンが多い。退屈に思う人がいても仕方がないと思う。でも私は、全編ギャロが自己を切り取ってどうしようもない悲しみを投げつけてくるこの映画に見入ってしまった。何よりも大切な人を失って立ち直れず、苦しくてもがき、「この人ならもしかしたら…」と花の名前の女性にすがる。そしてすぐに思い直し、一人で涙を流す。街角の娼婦ローズをいったん断ったあと、「もしかしたら…」とアクセルを踏み彼女の所へ車を飛ばすシーンは、バドの気持ちがインスパイアして胸をかきむしりたいようだった。空き家のドアを叩いたり、ホテルのフロントにいちいちメッセージを入れたり、狂乱ともとれる行動。そして幻との交わりと会話。ギャロはいったいどんな苦い思いをして、こんな映画を作る気持ちになったのだろう。「あなたじゃなきゃ嫌なの」って、もう一度言って欲しい人がいたのだろうか。私自身、大きく欠けた心を埋める術がなく、このまま自分が消えて無くなるような感覚を味わったことがあり、覚えある痛みを噛みしめながらエンドロールが終わるまでじっと座っていた。見て良かったとも、いや見なければ良かったとも思う複雑な心境。色々な意味で「問題作」として私の心の中に居座るだろう。 【のはら】さん 9点(2004-04-10 22:39:25) (良:5票) |
61.《ネタバレ》 見終わった直後は、「え?」と思った。つねに悲しい、しかも涙も枯れて乾ききったような、修復の余地のない悲しみを、ずっと観客に強いるせいで、後味が悪いことこの上ない。でも少し時間を置いて、シーンのひとつひとつを思い出してみる。「ああ、そうだったんだ」と解って、じーんときた。描きたいことが明確で、それに真っ直ぐに向かっているから、心に響くし、この感動は、きっと長く残ると思う。これほど評論家が「あてにならない」と思った映画は他にない。あんなに酷評されても毅然としていたクロエ・セヴィーニは素晴らしいと思う。彼女の体当たりの演技は、同性として決してイヤじゃなかった。ギャロ、「もう映画は撮らない」なんて言わないで~! <以降変更部分>上で、「何故、愛する女性と交わらないのか」と書かれている方がいたので、つい。あれはつまりバドのマスターベーションだったわけでしょう。だから交われる筈がないのです。私はそう理解しました。 【ともとも】さん 10点(2003-11-26 22:54:04) (良:5票) |
【マーガレット81】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2006-05-12 14:14:01) (良:1票)(笑:1票) |
59.こんな映画を撮るのは、アーティストか馬鹿かナルシストかのどれかだ。そしてギャロはきっと、その全部だ。でも嘲笑うことなんて出来ない。何かを決定的に、恒久的に喪ってみなよ。この映画を単純に嘲笑うことなんて出来なくなるから。彼は“ブラウン・バニー”から一歩も進めない。何て滑稽で、滑稽で、情けない。でも私はそれを、嘲笑えない。 【ひのと】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-06-02 23:05:03) (良:2票) |
58.《ネタバレ》 実はこの作品、ずっと前から観ようと思いつつ、躊躇していた作品。はっきし言って僕は恋愛経験豊富ではないし、多分小学生レベルだと思う。だから基本的に恋愛映画は「良い奴が素敵なヒトとめぐり合って幸せになる」みたいなのが一番好きだし、あんまりディープなものは苦手。だからこの作品も、全然理解できないか、もしくは心の奥のあまり触れたくないトビラが開いてしまうかどっちかだろうという予感がしていた。結論から言うと、結果は後者。クレイは旅の途中、花の名前を持つ女性に声を掛けるが結局途中で捨ててしまう。僕はそれがすごく分かる気がする。いや、実際にそういう事をした経験は無いけれど、何つうのかな、「ここで手を伸ばせば、望んでいたものが手に入るかもしれない」というかすかな希望と「やっぱり、自分が望んでいたものは“それ”じゃなかった」という失望。途中の、特に事件が起こる訳ではないシーンが退屈という意見も分からないではないけれど、例えばクレイが車を走らせながら窓から手を出して風を感じる所とか、或いは塩の砂漠をバイクで疾走して地平線の彼方へ去っていくシーン(実際、あそこでギャロは自分を消し去ってしまいたい、とどこかで思っていたと、思う)とか、主人公のやるせなさ、哀しさがヒシヒシと伝わってくる。そして問題のシーン、そして謎の解明。あれは痛い。あれを痛いと感じない人はきっと、人生でも恋愛でも失敗や後悔を一切していない(か、忘れているかのどちらかの)人で、皮肉ではなく幸せだと思う。僕もあれとは全然違うけれど、何かをすべきだったのに何もしなかった、出来なかった、ただ立ちすくんでいただけだった経験があって、それはとても昔の事なのだけれど、今でもそれを思い出させるようなものを目にすると、心がキリキリと、痛む。おそらくギャロにも、あれと同じではないにせよ、本質的に似たような経験・想いがあったのだと思う。そんな自分の想い・弱さとギリギリの所で向かい合い、このような表現をしたギャロは、やっぱりホンモノだ。 【ぐるぐる】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-05-03 17:34:42) (良:2票) |
57.ギャロが早撃ちなのか…クロエがテクニシャンなのか…それだけの映画。誰が言ったか知らないが、「男優が目立つAVは駄作」という。その点を踏まえれば、この映画は駄作という事だ。 【カイル・枕クラン】さん [DVD(字幕)] 0点(2006-03-06 13:56:03) (笑:1票) |
56.抱きしめてもらえないと寂しさで死んでしまうというウサギ。栗色の髪の毛に茶色いコート。瞳の色は青いけど、彼こそがブラウンバニー。ただ点数はつけ難い。これと言って気に入った訳でもないのに何か響いてくるものを感じずには居られない不思議な映画。 【SAEKO】さん [DVD(字幕)] 5点(2005-10-15 12:58:10) (良:1票) |
55.自分から見た視点での撮影に引き込まれ、はじめから感情移入ができた。なぜ花の名前の女性だけしか恋をしようとしないのか。なぜ泣いているのか。1回目の鑑賞ではそれがまだ良く分からなかった。皆さんのレビューを見てギャロの私たちに訴えかけてる事が分かった。そして2回目の鑑賞。1回目とは違うギャロの悲しみが増し、涙が止まらなかった。ギャロの映画を好まない人もいるが、私は好き勝手撮っているギャロのような監督が良いのかもしれない。クロエはこの作品のずっと前から大好きです。 【アンナ】さん 9点(2005-03-13 16:17:59) (良:1票) |
54.《ネタバレ》 映画が現実に起こりえるとか起こりえないとか、そういった基準で観られるべきものではないというのが僕の考え方だ。バイオレット、リリィー、、、なぜ花の名前か?ローズ。美しいものの余韻。名前という幻想。名前にこそ意味がある。取り替えのきかない名前という幻想。それは彼の心を執拗に捉えていく。 なぜリリィーは涙を流しているのか、そんなことは疑問として意味がない。ただ涙を流しているということが答えなのだ。妄想?失われたものへの掛け替えのない想い。それを抱えていかなければ生きる意味なんてない。でもこれ以上の哀しみを背負う必要があるのだろうか。そして思いとどまる。 ロードムーヴィーとは何かを探す旅を映す。彼は?砂漠での疾走。砂漠という茫洋。無意味の意味。彼は何を追い求めているのだろう。 デイジーは死んで、死んだものは現実には帰ってこない。だから彼は夢想する。幻想としてのデイジーを彼は許す。人が生きる原理を掴むにはまず許すことから始めなければならない。彼が欲したのは、彼女を許すということ。その不可能性の可能性。それは幻想であるが、それは彼にとって必要なことだったのである。そして彼は帰還するのだ。 【onomichi】さん 10点(2005-01-23 11:32:23) (良:1票) |
53.全篇、凄絶に美しかった。終盤やや説明過多な気もしたのですが、本質的な問題ではないでしょう。途方もない傑作だと思います。この容赦のない美しさ。音楽もとてもとてもいいです。 【藤堂直己】さん 10点(2005-01-11 21:49:03) (良:1票) |
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52.ギャロに感情移入しすぎて、切なくてもう開始5分で泣きそうでした。 大切な人がいなくなった事の、どうしようもない寂しさ。 花の名前のついた女性に話しかけるものの、どこか満たされない空虚感。そして襲い来る焦燥感。 昔の私なら「うじうじした奴め」で終わるかもしれないけれど、今の私にはとても他人事には思えないのです。 個人的な事でごめんなさい。 でも、大切な人から必要とされない、会えないということがどれほど自分の心に大きな穴を開けるのか、私にはとてもよく分かる。 まるで自分の心の中を見ているようで、辛かったです。 さて、問題のラストシーンですが、 アレですね、私には免疫が出来ているのか何なのか、さほどエロいとは思いませんでした(滝汗) むしろそのラブシーンどうこうよりも、最後の最後に明かされる真実の方が衝撃的でした。一気に涙腺緩みましたよ…。ああやられた。。。 私はバッファローがイマイチかな(好きな方ごめんなさい…)って感じだったので、これもどうだろな~って思ってたんですが(評価もキレイに分かれてますし)、いやいやとてもイイ作品でした!クロエ・セヴィニーきれいでしたvv 【Ronny】さん 8点(2004-12-18 01:27:02) (良:1票) |
51.ちょい寝不足気味で観にいったので少し、というかかな~りきつかった(*_*;)あまりに淡々としていて・・・まぶたが鉛の様に重く、普段から『上映中に寝るのはその映画に対しての冒涜だ!』と肝に銘じている身からすれば(単に貧乏人根性)その鉛の様に重いまぶたを持ち上げているのに必死で辛かった。殆どBGMが無いのに驚いた。小さい劇場だったので空調のゴーという無機質な音がこの作品のBGMだった。それはそれでこの作品にぴったりで雰囲気はあったけれど。その分時たま出てくるBGMが非常に印象的に残った。延々と続くギャロの横顔、汚れたフロントガラス越しに見る流れていくアメリカの風景、自分の体調がばっちしだったらこの独特の雰囲気も楽しめたかもと思うけど、本当にキツかった記憶しかないのが惜しい。問題のラブ・シーンについては・・・とにかく目からうろこ、鱗という事で。ってなんじゃそら。 |
50.《ネタバレ》 セルフがなく主人公と風景がひたすら流れる様なシーンが多かったですが、行間を読めということでしょうか。 私には読めず、ずっと退屈してしまいました、すみません。 【ブリーバンデカンプ】さん [インターネット(字幕)] 0点(2021-08-23 13:29:41) |
49.主演が別の俳優であればもう少し評価が上がったと思います。この内容で監督、脚本、主演が同じだと何だかナルシストの自作プロモーションビデオにしか見えない。ちなみに、公開当時に私はある女の子との初デートでこの映画を観に行きました。 悲惨でした。映画館出たあと気まずくて仕方なかった。心に傷を負った彼女とはこれ以降会っていない。このトラウマも含めて0点になります。 【タケノコ】さん [映画館(字幕)] 0点(2013-08-16 21:06:35) |
48.《ネタバレ》 あのギャロの映画ということでかなり期待してしまいましたが、ギャロの相当のナルシストぶりと、いわゆる「コントロールフリーク」ぶりが全面に押し出される結果となってしまいました。 誰か意見する人は居なかったのかと思うくらい平板なストーリーに、何の演出もない映像。ちょっときつかったなぁ。基本的にはアメリカを放浪してるんだけど、ロードームービーと呼ぶのは厳しい。 そんでベッドシーンになるんだけど、セックスはしない。まぁここが衝撃のラストとかいわれるゆえんなんだろうけど、セックスシーンじゃなくてフェラチオなんだよね。ギャロの狙いというか、男の身勝手さを演出するには確かに一番良い方法だったかもしれません。そういう意味ではとても象徴的であるしショッキングであるし、インパクトはあります。 何しろギャロは一方的にフェラさせながら、彼女に「誰かと寝たんだろ」と責めまくります。普通に怒ってます。でもフェラさせてんだよね。そこのミスマッチが妙に印象的です。 結局クロエの口の中に出して、その後どうなるかなーと思ったら、ギャロはベッドに寝ころんで「お前は売女だ、アバズレだ。お前なんかとはもう会わない」と罵ります。 このまさかの展開。愛を取り戻したんじゃないのかよ、と誰もがつっこむ所です。さらにデイジー役のクロエから、その時の真相が明かされます。 レイプされてたのをギャロは目撃したが、逃げ出した。その後デイジーはオーバードーズで死亡。ギャロのへなちょこぶりをつきつけられてしまいます。ギャロっていうかバド・クレイね。 情けなさとへなちょこぶりが全面に押し出されてこの映画は終わります。 この映画はギャロの男性観を表しているんだろうか? でもフェラチオシーンっていうのはすごい。アイディアはすごく良かったと思います。シンボリックで、しかもインパクトがあって。だからあのシーンはいいと思うんだけど、そこまでがなぁ。そのシーンに5点。 【Balrog】さん [DVD(字幕)] 5点(2009-06-21 22:20:16) |
47.《ネタバレ》 アイディアだけでは「映画」にはなりません。それを具現化する様々な表現が伴ってこそのこと。思いつきの段階で止まってしまった上に、ラスト10分に(だけ)変なこだわりを見せてしまったものだから、要はあれが撮りたかっただけなんじゃないか?と受け取られてもやむをえない。 【Olias】さん [DVD(字幕)] 3点(2009-01-30 02:24:45) |
46.《ネタバレ》 チキンなくせにナンパをする。相手からではなく自分から直ぐにキスを求める。女を抱きしめるのではなく女の胸で泣く。ベッドの上で海老包まりする。物思いにふけながら泣く。過去の自分の過ちをいつまでも責め続ける。孤独に耐えられず、幸せだった頃の妄想にふける。ある意味では男の中で共感できる部分も見られるものの、やはりその全てが非常に女々しく映る。 「バッファロー’66」では肝心な所で『男らしさ』を見せていたが、この作品ではそれが最後まで無い。言い訳をして性欲をはけてそれだけで終わり。女性に対する扱いも全然違う。「バッファロー’66」ではクリスティーナ・リッチを途中から聖母(母性の象徴?)みたいな扱いだったが、これのクロエ・セヴィニーは単なる未練でしかなく、寂しさと性欲を満たすためだけの道具化している。しかも性の部分でも実に投げやりで責任感が微塵も無い。男も愛していると言いながら自分からキスをしたりセックスを求めない。能動的にフェラチオを求めるだけ(しているクロエの頭に手を添える辺りが更に情けない)。いたわる気が全くないこの感じはきっと、女性だけでなく男性からも批判を浴びると思う。 とにかく、良くも悪くもギャロが自分の作りたいように作った感じの作品。「バッファロー’66」が好きだった私でも今回は正直退屈だった。全編変化に乏しい道路が映され、花の名前のつく女性とのやりとりがちらちらあるだけ。これを前知識無しに試写会や劇場で見たら更に評価は下がると思う。映画って基本何でもありだとは思うけど、ある程度観客を楽しませる要素も必要だと思う。「恋人を失った悲しみと自己嫌悪」を主題にするのであれば、ああいった妄想オチではなく、もう少し時間を遡った演出とか「続・ある愛の唄」のような見せ方もあったのではないかと思う。 とは言えギャロにしか出せないこの空気感は嫌いではないし、もし長編をまた作るのであれば「バッファロー’66」のような展開のものを求めたい。次作への期待を込めて、3点です。 |
45.センスの良さを見せようとしているが、決して良くはない。 退屈かつ下賎な映画。 【にじばぶ】さん [DVD(字幕)] 3点(2007-10-11 09:01:56) |
44.退屈極まる内容。 こんなもので何かを表現している気になられても困る。 【カラバ侯爵】さん [DVD(字幕)] 0点(2007-10-11 04:49:41) |
【すねこすり】さん [DVD(字幕)] 2点(2007-06-26 14:21:39) |