154.《ネタバレ》 “The Road Warrior”『路上の戦士』って米国版の英題が付いてました。 続編でありながらピッタリとはくっつかない。本作はブーメラン少年が北部の部族の老人になってからの、回顧録の形式を取っています。前作は暴走族の社会問題がテーマとして、本作は一転して純粋な破壊と暴力を楽しむ映画と思いましたが、もしかしたらもっと大きなテーマがあるのかもしれません。 冒頭、老人が語る昔の世界は、“何か解らぬ理由で二つの大国が戦い、世界中を火の海にした”と。ご存知のように公開当時は米ソの冷戦から、核戦争が危惧されていました。本作は核戦争が起きたあと、生き延びた人々がどんな世界で生きるかをシミュレートしています。この映画の影響で、核戦争後の私たちに、3つの選択肢が生まれました。①資源豊かな村を、弱者も仲間に入れて共同で守っていくか。②弱肉強食、力こそ正義。モヒカン・パンクスタイルで「ヒャッハー!!」するか。③世紀末救世主。…まぁ③は難しいとして、多くの人は家庭や家族のことを考えて、①を選ぶでしょうか。 ゾンビが街に出たらヘリで無人島に飛ぶか、ショッピングモールに逃げるのと同じくらいの、映画界の革命的選択肢と言ってもいいでしょう。 さて、当初マックスはヒューマンガスとパッパガーロの戦いを遠くから傍観しています。ここがもしかしたら本作のテーマ“米ソの第三次世界大戦に対し、我々オーストラリア(マックス)はどうするべきか”を示していたのかもしれません。大きな戦争で世界が滅んでも、2つの陣営に分かれて不毛な戦争は続く。どちらが米かソかは判りませんが、守るパッパガーロ側には女子供や老人もいて、攻めてきたヒューマンガスを悪として描いています。(※でもヒューマンガス側にも女はいます) さて、善の側として描かれるパッパガーロたちが、そもそもどうやって、あの石油精製所を手にしたのか気になります。彼らの目的は3,200キロ先のサンシャイン・コースト(太陽の楽園・オーストラリア北部に実在する)に行くことのようです。…精製所にずっと住み着いて、ヒューマンガスたちと取引して、平和の見返りに適度にガソリンを分け与えるのが一番安全に思えるけど。 結末から逆算すると、ガソリンはバスで運んでいます。じゃあ囮にしたトレーラーって元々必要なかった?パッパガーロは理想家で策略家のため、トレーラー探しや小競り合いで、密かに人減らしをしていったんでしょう。生き残った人数から、バスに積める程度のガソリンで充分と踏んだんでしょうね。 そしてトレーラーの囮部隊で暴走族を壊滅させる。暴走族には何も残さんと言わんばかりに、精製所を爆破する徹底ぶり。結果、パッパガーロの思い描いた通りになりました。パッパガーロって本当に“善”だったんでしょうか?転倒したトレーラーを見て引き返す暴走族たちの表情。『俺たち一杯食わされたな』って顔のジャイロ・キャプテンとマックス。不毛な戦争が両陣営に残した傷跡が、戦争の虚しさと、生き残ったことの安堵を感じさせます。 もし世界大戦が起きて、世界が滅んでも、少ない資源を求め、争いは続く。どちらかの陣営についても、利用されて終わる。 でもそんな説教臭いこと抜きにスカッとする映画です。ゴールデン洋画劇場で始めて観た時、追跡劇の終盤で、夕日に照らされたトレーラーがUターンする時に感じた、「あぁ、もう終わるんだ」ってドーパミンがドバドバ出る感覚は、一生忘れることは無いでしょう。 【K&K】さん [地上波(吹替)] 10点(2024-07-16 18:03:32) |
【TERU】さん [インターネット(吹替)] 6点(2023-11-06 21:01:33) |
152.主人公はそのままに、前作から一足飛びに、舞台が近未来の無政府世界に変貌し、エンターテインメントとして大幅なスケールアップを達成しています。製作費も一挙に10倍以上。「北斗の拳」が影響を受けたというのも納得です。そうはいっても、油田を狙う悪玉暴走族 vs 油田を守る善玉軍団というように世界が単純化されていて、カオスな雰囲気はなく、いまひとつ深みがなく、真実みが感じられないんですけどね。ヘリコプターおやじとブーメラン少年の有能さと、その他の味方キャラの雑魚っぷりの落差が激し過ぎて涙が出るレベル(笑)。 【camuson】さん [DVD(字幕)] 6点(2023-03-19 18:14:38) |
151.前作からたった2年での続編公開ですが、本作は凄まじいまでの進化を遂げています。”バイオレンスの金字塔” ”真の暴力” ”北斗の拳の元ネタ”と名高い本作ですが、ストーリーの組み立ても非常に上手く、バイオレンス以外の部分も完璧にまで洗練された本物の映画に仕上がっています。オープニングではパート1の後、文明世界が崩壊しヒャッハーな世界になってしまったことが端的に語られます。マックスが伝説になったり時間軸がちぐはぐな点は華麗にスルーが必要ですが、ジョージ・ミラー監督の豹変ぶりには驚きしかありません。 オープニングから引き続き、導入部のウェズ・ジョーンズ(ヴァーノン・ウェルズ)とのチェイスシーンも完璧な仕上がりです。ここで出るマックスの愛犬(Dog)に関しては裏話があり、実は捨て犬を出演させたという話は非常に有名です。このドッグ、演技が上手いのか撮り方が上手いのか、今も語り継がれる主人公+犬という黄金図式が最高にハマっていて印象的なシーンです。 挙げればきりがありませんが、ジャイロキャプテン(ブルース・スペンス)との出会いも文句のつけようがないし、フェラル・キッド(ブーメランの子)とトーディー(マックス・フィップス)の指チョンパの一件、パッパガーロ(マイケル・プレストン)、女戦士(バージニア・ヘイ)、ヒューマンガス(ケル・ニルソン)ら、魅力的でキャラ立ちのシッカリしたキャラクターてんこ盛りです。 良い映画の特徴として、キャラ立ちした愛すべきキャラクターが多数出ているのにストーリーが渋滞しないというセオリーが挙げられます。徐々に退場してしまいますが暴走族側にも魅力的なキャラが多く見どころに尽きません。 パート2だけで綺麗に完結しているストーリー展開も本当に素晴らしく個人的には文句無しの10点満点といいたいところですが、上流階級の方には死んでもお勧めできない映画だったりもしますので、自制心をもってあえて9点にしました。 【アラジン2014】さん [DVD(字幕)] 9点(2022-08-01 18:17:39) |
150.何と言っても、世界観の創り込みが完璧です。衣装デザインや乗り物デザイン、役者のヘアスタイルや体格までも全てがしっくりきていて、危なっかしさしかない荒廃した世界なのに、ずーっと安定感があります。キャラもみんな良い。ジャイロキャプテン、いいですねぇ。 【ちゃか】さん [インターネット(字幕)] 9点(2022-05-18 18:41:37) |
149.世の中には、テレビで一体何回観たか分からない、でも何回観ても面白い、そういう類の中毒映画が存在する。カリオストロの城然り、少林寺三十六坊然り。そしてこの作品も、そうした中毒映画の最右翼と言って良いだろう。この映画の功績は何といっても、フィクションの世界観に「ヒャッハー系」というジャンルを確立したことである。我々の世代は、荒野、バギー、モヒカンとくれば「ああ、そういう世界なのね」と問答無用で納得してしまう。まるでヨダレを垂らす犬である。これこそテレビによる刷り込みの賜物である。まさに暴力、そして狂気。例え我々はヨボヨボの年寄りになろうとも、テレビでこれが始まれば吸い寄せられるように視聴し、ブーメランが指を落とすシーンを見て喜ぶに違いない。 【54dayo】さん [インターネット(字幕)] 8点(2022-03-12 20:53:56) |
148.30年ぶりくらいに鑑賞。 いやあ、やっぱり面白い。 少しの無駄もないスピーディな展開。敵も味方も味のある登場人物たち。 大迫力のカーアクション。 楽しくて楽しくて仕方がない。 音楽もいい。 ラスト5分はしびれまくれる。 実はトレーラーは…というどんでん返し。 空から来た男がにやっとして、それに対して、マックスがついに微笑みを見せる。 か、かっこええ・・・・ ラストのマックスが夕日の中、道に佇む姿、これも全身がしびれる。あーかっこええ。 不満点としては、トレーラーの護衛についていた味方があまりに活躍しないでほぼ犬死にだったのが面白みに欠けたのと、敵のボスのやられ方があっけないのと、マックスが途中でターンして逆走した理由がよくわからないことであろうか。 【椎名みかん】さん [インターネット(字幕)] 10点(2021-07-16 00:19:18) |
147.《ネタバレ》 久しぶりに素直に面白い!と思えたアクション映画。 理屈抜きに楽しめた。 蝶野正洋みたいな服を着た野郎達に、ヘンテコな車、ジェイソンのようなラスボス。 皆、キャラが立っていて面白い。 【にじばぶ】さん [インターネット(字幕)] 7点(2021-07-15 22:58:57) |
146.《ネタバレ》 多分、1のラストのあの男が足を切り落として生き延びて、新たな戦いが始まったりして、なんて思って急いで2を鑑賞。 もうビックリ。まるきり全然1と関係ない話になってます。 なんだこりゃ。でも、1より面白かったです。 最初から荒廃した力が支配する世界。砂埃の中、油を巡る攻防戦。 攻防戦といっても、砂漠のギャング団が狂暴過ぎるので、攻め落とされるのは時間の問題のような砦で、中にいるのも老若男女の普通の人たち。 そこにマックス登場で、一度は背を向けるけど、期待通り戦ってくれるわけです。 マックスが正義のヒーローじゃないところが良いですね。 ちょっと怪我し過ぎだけど、どんなに怪我してても運転するしハンドルさばきも片手でもOK。ある意味超人。 1より更にスケールアップして、車もバイクもバンバンぶっ飛んで爆発するし、人も容赦なく死にます。 でも、そこに個人の背景やストーリーは存在しないので、ただただ豪快な破壊に興奮するという、見てる方もヤバイ感じのアドレナリンが出ます。 この作品を映画館で見た直後は運転しない方がいいな、なんて思いました。 【nanapino】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-02-14 02:35:46) |
145.この作品ほど、様々な分野に影響を与えた映画は少ないと思います。この世界観を作り出した 監督は素晴らしい。 【代書屋】さん [インターネット(字幕)] 7点(2020-10-18 23:19:50) |
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144.子供の頃見た時は1より2の方が衝撃的で面白いと感じたが、大人になって見ると2はよく言えばエンタメ化、悪く言えば漫画化されちゃって1よりも劣っているように思える。という意味では自分の成長を感じる事ができる作品ではある。 こういうのは小中学生の時に見ないとダメだろうな。かと言って子供が本作を掘り出して見るとは思えないし、親が「面白いぞ!」と子供と一緒に見るのかどうかも微妙だが。80年前に日本は石油を求めて戦争を起こし300万人以上が死んだわけで、人類がエネルギーを求めて争うという点において普遍性はない事もなく、子供への教訓・教育にならないこともない??? |
143.前作とは打って変わってポストアポカリプスな設定、いやもう本当に「北斗の拳」の世界です。冷静にストーリーを考察するような映画ではないですね。頭空っぽにして火と砂埃とエンジン音の世界を楽しみましょ。 【alian】さん [インターネット(字幕)] 7点(2020-06-28 12:34:57) |
142.《ネタバレ》 古典ですよね。 「駅馬車」みたいに、無駄がなく、面白い。 上映当時、自分が高校生の頃で一緒に観に行った奴は、この映画のインパクトが 強すぎたためか、悪側についてしまった。 自分は、この映画も含めて当時の娯楽映画を浴びるほど観て、 映画バカになってしまった(笑) 話のオチ、バイクアクションにジャイロコプターを組み合わせた意外性、 車に仕掛けた爆弾、銃の弾、野生児、野良犬などなど 巧いよね。 今観ても、面白い。 【トント】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2019-09-08 14:17:01) |
141.《ネタバレ》 まさに北斗の拳な世界ですね、当時モヒカンの人=やばい人とインプットされたせいか、今でもモヒカンしてる人を見かけると何か怖いです、インターセプターを真似てチャリンコに風車みたいなのつけてた記憶があります、スイッチONと同時にひたすら立ちこぎするだけなんですがね。【追記】1を見た勢いでAmazonPrimeで再鑑賞、やっぱマッドマックスは2ですかね。勢いで3に行こうと思ったけど有料だったのでここで終了w 【ないとれいん】さん [DVD(字幕)] 8点(2019-09-04 12:23:26) |
140.《ネタバレ》 断然、2その方が1より面白い。スケールアップして、北斗の拳の世界に突入。 【にけ】さん [映画館(字幕)] 7点(2019-01-01 13:39:09) |
139.およそ30年ぶりの再鑑賞でしたが、「もっと大掛かりなお話しだったんじゃね?」というのが、改めての感想です。三作目の『サンダー・ロード』と記憶がごっちゃになってたのかもしれませんが、それだけ初見の時の受けた衝撃が大きかったのかな。今まであまり観返してこなかったのはこういう埃っぽい映画が生理的に苦手だったからですけど、世間では三十年で本作の評価はうなぎのぼり、いまや映画史に残る存在になってしまいました。そりゃ本作がなければ『北斗の拳』は今の世に存在してなかったかもしれないと思うと、『ブレードランナー』と並ぶ80年代が生んだ「後世の文化に多大な影響を与えた映画」であることは間違いなしです。 ラストの「その後マックスの姿を見かけることは二度となかった」というモノローグは渋すぎです、でも私たちは4年後にこの荒廃した世界の片隅で繰り広げられるマックスの違う物語を観ることになるんですけど、それはまた別のお話し。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2018-03-25 22:07:23) (良:1票) |
138.荒廃した地球、入り乱れる暴力と狂気。 「映画」のみならず、漫画、小説、様々な表現において、その後デフォルトとなったこの「イメージ」を発明し、創り上げたこの映画の価値と衝撃は、如何なるものだったのだろう。 今作の製作年と同じ1981年生まれの映画ファンにとっては、伝え聞くその衝撃は、言葉通り“伝説”の範疇を出ず、非常に口惜しく思う。 2015年の大衝撃作「マッドマックス 怒りのデス・ロード(Mad Max: Fury Road)」が、“マッドマックス”初体験だった。 その直後に第一作「マッドマックス」を観て、今回ようやく「2」の鑑賞に至った。 ある意味必然的なことなのかもしれないが、伝説的なこの2作に対して、伝説通りの衝撃を受けることは出来なかった。 “カルト”であることは理解できる。いろいろと、どうかしている映画である。 だからこそ、レジェンド化され過ぎなんじゃないかとも思う。 非常に実験的でもあり、破れかぶれの映画であり、だからこそ世界中のボンクラ映画ファンの心を掴んで離さなかったのだろう。 【鉄腕麗人】さん [インターネット(字幕)] 5点(2017-11-08 20:58:44) |
137.急に北斗の拳みたいな世界観になって、ひたすらガソリンを求めるという荒廃したデンジャラス近未来に。 荒廃した世界のエポックメイキング的な評価? マッドがすでに覚悟完了していて、ストーリーはあるものの1ほどの動きはない。 敵のボスもちょっと穏健派な感じだったし。 予算が前作の10倍ということだけど、面白さとは全くの別物なんだなと実感。 【Donatello】さん [DVD(字幕)] 5点(2017-07-27 02:10:47) |
136.《ネタバレ》 個人的には前作の方が好きです。今作はちょっとぶっ飛びすぎています。世紀末感はより濃くなりましたが、完全に別世界の出来事となってしまいました。 【いっちぃ】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-07-14 23:29:45) |
135.《ネタバレ》 冒頭に長いナレーションがある。設定を根本から変える目的だったと思われる。初作では警官でもキレたら「マッド」になると云う事で暴力を肯定的に描いていたけど、本作は最初から周囲が全て「マッド」です。暴力に言い訳するような面倒を省略し、暴力で物事を解決する世界観の提示でした。マックスさんは正義のヒーローと云うタイプではないので、しっくり世界に嵌ります。 個人的には中盤でV8が壊れたのが残念でした。タンクローリーの運転ではどうしても守勢になります。それなりに暴れるけど初作のような攻勢が無く、爽快感は減衰した印象でした。 マックスはただガソリンが欲しくて戦いました。心の奥底には人助けと云う意識もあるはずだけど、それを口にするのが憚られるほど色々と体験したと思われます。命を懸けて何かを守っても、そのことが成果として自分に残ることが無い。敢えてテーマを挙げるなら、その虚しさかなと思いました。 【アンドレ・タカシ】さん [映画館(字幕)] 6点(2017-05-03 13:48:21) |