3.《ネタバレ》 10点を叩き出したお二方のレビューの後に心苦しいですが正直にコメントさせていただくと、決定的にダメなのが、偶然の出会いが面白くないという事。
ストーリーの中盤まで観れば王女と王子の二人がいずれ出会うというのは100人中100人が予測できているわけで、いつ、どんな出会い方をするのかというのが観る側の我々としての最大の楽しみとなっているにもかかわらず、ここで見事にスベってくれてしまいました。
王女がアル中患者を救済する会に入っていたというのは後付けのこじつけた感があり軽薄さすら覚えさせますし、更に、酒に酔った王子がその会がちょうど開催されている場所にフラッと現れるというのも二人の境遇差を考えるとちょっと難しいでしょうから、この二重の唐突な展開は、どう好意的に考えてもちょっと無理がある印象が拭えません。
話の中に新たなネタを追加して驚きを与えるのは誰にでも出来ますが、二人が出会う事が観る側に予感としてある以上そこからそれを上回る面白さを出すのが一流のストーリーテラーなわけで、この幹の部分でダメとなるとそれ以外の枝の部分で良い箇所があったとしてもちょっと苦しいという気がします。
良かったのは、ルビッチ映画でお馴染みのアヤシイ動きをするオーケストラの指揮者と、「こんな食事を食べるのは久しぶりです」の2箇所くらいなもので、度々出て来た「I'm not impressed.」をラストのオチに使うのもちょっと弱いなぁと思いました。