7.《ネタバレ》 王妃とストルーエンセの二人に思い入れが持てないので、ストルーエンセが処刑され、王妃が追放されても心が動かない。
あの時代なら王の目を盗んで不義の子を宿すのは当然処刑される大罪だし、王妃が悲劇のヒロインのようになっているのにも自業自得の面を感じてしまう。
確かに王はエキセントリックで変人&愚人だけど、これだけコケにされてはかわいそうになってくる。
王妃が王太后を責めていたが、王太后としては二人の罪を見逃すわけはなく、逆ギレにしか見えない。
愛もなく結婚されられた相手があんな王なら、他の男に寄り添いたくもなるだろうが、バレればこうなるリスクはわかっていたはず。
ストルーエンセは腐った政治を改革しようとした素晴らしい人権思想家なんだろうけど、不倫を利用した手口が好きになれない。
強引で手段を選ばないやり手によく見られる嫌味が感じられるが、それでも映画では美化されていたほうで、実際はもっと傲慢で傍若無人な鼻持ちならない野心家だったようだ。
むしろ、その辺りを徹底して嫌味な部分を前面に出しながらリアルに映画化したほうが面白かったような気がする。
人に憎まれるアクの強い男を、汚れを削ぎ落として綺麗に描こうとしているようで、そこに違和感を感じてしまうようなところもあったので。
王妃寄りの視点で描かれると、どうしてもそうなってしまうのだろうけど。
全般的にちょっと地味な印象はあるが、細かい心理描写は巧みで見応えがある。
恩赦が出ると言い聞かされて処刑場へ向かう馬車の中で、ストールエンが自分の運命を悟るあたりはお見事。
セリフのやりとりがなくても、ちょっとした仕草や表情だけで十分に伝わってくる。
民衆を解放しようとしたストールエンが、民衆に罵倒される皮肉な最期。
正確な情報がない時代には、民衆を扇動するのは簡単なことだったろう。
誰がつけたのか邦題が重厚な内容に合わず、B級お色気映画のようでいかにも安っぽい。