1.《ネタバレ》 台北発メトロシリーズ(台北愛情捷運系列)全7作の一つである。駅名は忠孝復興駅だが、舞台になった街は解説によると「東区」とのことで、題名の駅の東側にあるデパート・オフィス・飲食関係などの集積する地域らしい。
原題の「奉子不成婚」とは、かつて皇帝の勅命による結婚を意味した「奉旨成婚」という慣用句から、現代において子ができちゃったために否応なく結婚するのを「奉子成婚」と表現するようになり、そこからさらにこの映画で、できちゃったから結婚するのではないという意味で作った言葉と思われる。英題の“The Thin Blue Lines”は昔の映画の題名に引っかけたのかも知れないが、実際はタイトルのところと劇中で全く別のそれらしいものを見せていた(青でなく赤?)。
映画の紹介文には「おとなのラブコメディ」と書いてあるが、特に前半は大人というよりアダルトなギャグで笑わせる。変に日本関係の事物が多出するのは煩わしい(壁ドンの解説などしなくていい)が、これは原案/監督が台湾で役者・監督をしている日本人だからということか。音楽としてはflumpoolの「証」という曲が使われていた。
物語面では父親の存在が中心テーマになっていたらしい。「奉子成婚」との関係でいえば、世間体はどうでもいいとしても、子どものためには父親が必要だと母親としても思わされ、またその父親も自分なりの覚悟で父親になろうとしているのが見えた段階で成婚に至ったという話かと思った。男の性格付けがカクテル・コーヒーと映画撮影では盛り込み過ぎで整理がついていない印象もなくはなかったが、最後はラブコメにふさわしく幸せ感満載の終幕だったので、結果的に悪くない映画だと思わされた。
個別の場面では終盤の「帰るな」に少し泣かされた。また字幕の「マジですか」を原語でどう書くのか知りたいと思った。
演者としては、主演の蔡淑臻 Janel Tsaiという人は顔や体型からしてヒロインにふさわしい姿を見せていたが、その友人の静香ちゃん(演・范時軒 Amanda Fan)が極端に可愛いので、個人的にはこの人が重要人物だった。ブライズメイド姿がキレイでかわいい。
ほか他のエピソードにも出ていた莫允雯 Christina Mokという人が「明星孕婦」役で、過剰メイクの沢尻エリカのような顔を見せていたのが面白かった。
[2022.4.2追記] 本文には「カクテル・コーヒーと映画撮影では盛り込み過ぎ」と書いたが、これは監督の北村豊晴という人物が、実際に台北で飲食店の経営をしながら映像関係の仕事もしていることの反映と思われる。気づくのが遅れてすいませんでした。