1.《ネタバレ》 オゾン監督のタクトが冴えわたる繊細で美しい思春期。初恋の喜びと、その喪失による心の痛み。十代のキラキラを見事に体現した新鋭二人バンジャマンとフェリックスが素晴らしいです。
アレックスは純粋で一途。ダヴィドは奔放で小悪魔的で、男女間の恋愛に置き換えてもよく見かけるこの構図。
ダヴィドみたいのは人を惹きつけるんですよねえ、かっこ良いもん。だけど彼の魅力である明るい軽やかさは時に誠実さとは距離が遠いものであるんですよね。
ちょいちょいそんな彼の性格は顔を出してたのだけど(ヨットを片付けてくれてなかったとか)、恋は盲目。アレックスはダヴィドを慕い続けて破滅へ向かってしまう。わたしが好きなのはここで飛び出す英国女子ケイトの恋愛金言。「あなたが愛していたのは彼ではなかったのだと思う」
そうなんだよね 結局人は自分の理想に恋い焦がれるもの。無理に理想のカタチをはめられても相手は「重い」と負担に感じるのです。
フランスの海辺の風景も美しいし音楽も80年代ぽくて(ロッド・スチュワートだ!)素敵です。しみじみと心に沁みました。