1.《ネタバレ》 誤解を全く恐れずに言えばやはり、非常に独特なある種の「居辛さ」とゆーのがまずまず全編に行き渡っている…という映画ではあります。ただ、それは今作がまた、ごくマジメな・真摯な映画であったコトのそのものと、そして主演の宮沢氷魚さんの役作りも相当にしっかりみっちり仕上がっていた…というコトの証左であるとも思うのですね。詳細は伏せますが私自身の非常に身近な経験からも、だいぶ特徴を捉えたという演技に仕上がっている…という実感はありました(⇒台詞自体のみならず、喋り方の抑揚や所作の感じなども)。
再度、比較的真摯にこのテーマを取り扱うという社会的=問題提起的な質感を全編で擁している中で、やはりその「避けて通れない」様なエピソード・シチュエーションを幾つか描き込んでゆくトコロなどには、オーソドックスさ(或いは多少の月並な感じ)も覚えられるのですよね。しかし、類似作品(⇒私が観たものだと『シンプル・シモン』とか『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』なんか)と比べても、今作は(映画としての)ストーリーのメイン部分が恋愛ものであるという、ソコには(それ自体に)まま意外性が在ったとも思われますし、加えてその「恋愛映画としての展開」自体にも思いがけず意外な・意表を突く様な部分が在ったとも思えていて、その辺に関してはシンプルに映画として少なからず面白みが多く在ったとも思われるのですよね。
冒頭に述べたとおり、やはり少し「居心地が悪い」様な箇所が在るのは確かにそうなのですケド、一方で(特に恋愛映画としては)その面においてちょっとキツい様なシーンは(却って)バランシングとしてマイルドに描かれていた様な気もして居ますし、全体としてもソコまでハッキリと諸々の「白黒」を付けずにまろやかに描き切っていた…という風にも思えるのですよね。その辺のバランス感覚や前述の「恋愛映画としての意外さ」も踏まえると、個人的には映画としては十二分に面白く+興味を沢山持って心地好く観終わるコトが出来たとも感じるのです。ただ、他方で、本来のその社会的なテーマの部分については、更にもう少し突っ込んで具体的な議論や(或いは)批判をしてゆくことも当たり前に可能だとは思われる(⇒逆にある意味、そういったコトが可能であるというレベルの質感&完成度だ、というコトでもある)のですケドも、いったんソコに係るアドバンスドな議論は脇に置いた上で、あくまで私としては、その面を含めても、凡そ全編を通してごく好ましい方の質感がつくり込まれていた…とは思っております⇒なので、一点プラスしておきます。