8.《ネタバレ》 原作は別冊宝島の「ザ・中学教師」シリーズ。
そのシリーズは幾つか読んだことがあるが、リアルな現場の声が聞けてなかなか面白い。
映画も、よくある学園ものではなく、リアルな分、地味な感じ。
長塚京三演じる中学教師は、生徒がこんな先生がいたらいいなと願うような熱血先生でも面白い先生でもない。
金八先生やGTOの鬼塚先生とは、まったく異なる教師像。
生徒とは距離を保ち、真面目に淡々とした姿勢で向き合う。
それが教師としてのプロ意識。
教師という役に徹し、生徒に対しても生徒という役を要求する。
あくまで、役の上での関係性だ。
だから、マラソン大会が成功しても、この教師と生徒に人としての交流は生まれない。
教師が笑顔もなく拍手でたたえても、生徒はシラケて黙っている。
こんな面白みのない教師を軸に、ストーリーを展開されてもねぇ…。
映画に求めるのはリアリティではなく、エンターテイメントだから。
リアルなら、生徒にいい顔ばかりする安っぽい女教師(藤田朋子)より信頼できるけど。
でも、慕うことにはならないだろうな。
スケッチ的な描き方で、一本芯になるものがない。
いじめ、シンナー、家出、無関心、不登校、ナイフによる教師への傷害…。
さまざまな問題が提示されるが、エピソードがあまりリンクしておらず、散漫な印象を受ける。
映画である必要が感じられず、原作を読んだほうがよっぽどいい。