13.《ネタバレ》 「最後の人」とか「ファウスト」とか傑作揃いのムルナウだが、やはり1本選ぶとするとこの「サンライズ」。
田舎の幸せな夫婦の中を引き裂こうとする小悪魔的な女、その誘惑に男が打ち勝って夫婦の愛を取り戻すという話だ。
ストーリーは至極単純、中身は超ドラマティック。
天使のような嫁さんジャネット・ゲイナー、筋肉的な夫ジョージ・オブライエン、それを唆す都会女のマーガレット・リビングストン。
夫婦には既に赤ん坊がいる。
だが可愛い嫁がいるにも関わらず都会女に惹かれる夫。
どんな美人でも「見飽きた」存在になれば誘惑に惹かれてしまう。男の性という奴か。
何も無い田舎・・・全てが存在するような都会の魅力が男を虜にする。
女は「私の夫になってよ。あんな女殺しちゃってさ。」恐ろしきは女の換言よりも、その言葉に支配されてしまう夫の方だ。
「吸血鬼ノスフェラトゥ」や「ジキル博士とハイド氏」の頃から恐怖演出がズバ抜けたムルナウ。
愛する女性を「邪魔者」として殺そうとする夫の狂気。
魔が差した人間ほど恐ろしいものは無い。
強烈なモンタージュ、湖面の美しさが余計に怖い。
「ミズーリ横断」や「廃墟の群盗」で常軌を逸した映像の美しさを残したウィリアム・A・ウェルマンも、ムルナウの恐ろしさに勝てる気がしない。
湖面に浮かぶボート、二人きりの「密室」・・・犬の乱入や夫自身の葛藤・・・ただこの様子を見るだけなのにまったく飽きない、見入る、見入ってしまう。
うーむ、この先もガンガン書きたい。ただこの続きを書いてしまうと全部ネタバレになってしまう。
いや本当この後の展開が「常軌を逸した」感じになっちゃうんだもの。
取り敢えずリア充爆発しろ。
いろんな意味で夫婦愛に溺れまくりっす。すごく微笑ましい。爆ぜろ。
余りに空気が変わったので笑ってしまうほど別の映画になる。
なのに何の違和感も無かった。
更にラスト20分でまた「突然変異」だ。
何なんだよこの映画・・・ムルナウ万歳。
ラストの夕陽と髪をといた「天使」の寝顔が最高に美しかった。こんなにもキレイな映画があって良いのか・・・。
真相は是非とも本編で堪能してもらいたい。