31.《ネタバレ》 ピースおおさか 大阪国際平和センターに立ち寄った際に内部のシアターでタイミング良く上映していたので鑑賞した。 イワン少年は第二次世界大戦さなかナチスに家族を殺され復讐のためソ連軍の偵察として働いている。 成果を収めるイワンだが上官はイワンに幼年学校へ行くよう説得する。 イワンはそれを頑なに拒否し上官もついに諦めて再びイワンは敵陣へ送られる。 やがてそのまま終戦となり上官はナチスの捕虜収容所の処刑者ファイルにイワンの写真を見つける。 写真のイワンはカメラをにらみつけているのだった。 タルコフスキー監督作品とのことだが前に見たのはSF映画だったのでだいぶ毛色の違う作品だなーと思いながら見ていた。 どうも俺にはいまいちピンとこなかった。 今の戦争映画ってもっと刺激が強い感じだ。 それに対してこの作品はちょっと退屈すぎる。 【Dry-man】さん [映画館(字幕)] 5点(2022-11-13 16:18:10) |
30.《ネタバレ》 齢50を越し、レビュー数1300本も越して今回生まれて初めてロシア(ソ連)映画を鑑賞しました。みんなのシネマレビューは、自分が鑑賞した映画の、制作国の本数まで確認できるのが便利ですねー。難解と言われるタルコフスキー監督作品という事で、恐る恐る鑑賞しはじめたところ・・・あれれ?予想反して、すごくわかりやすい・・・。わかりやす過ぎて逆に拍子抜け。オハナシそのものよりも、視覚的に記憶に残る場面がかなりありました。本筋とはあんまり関係ない、白樺の森の中で軍人さんとその恋人が延々と語り合うシ―ンや、クライマックス、敵地に小舟で乗り込む水辺の沼地での美しくも恐ろしい白日夢みたいなシーンが特に。ただ、決して手放しで感動したりとか面白いというタイプの作品ではないので、点数はこの辺りで留めておきます。 【放浪紳士チャーリー】さん [DVD(字幕)] 7点(2022-07-02 22:40:04) |
29.《ネタバレ》 水を多用した幻想的な映像美と戦争の残酷さが鮮烈なコントラストを生み出す。戦争で家族を奪われたイワンには失うものは何もなく、ナチスへの憎悪は知り合いの指揮官たちに邪険に扱われる。戦争は大人のものであり、将来を担う子供にそれをさせたくない裏返しであり、優しさだろう。医療に従事する娘のエピソードはイワンと繋がりがないため蛇足で、息抜き的な部分があるかもしれないが。戦争が終結し、映像には至るところに子供の死体、死体、死体・・・そしてイワンも。物質文明による大人の戦争に巻き込まれた子供の悲劇が、それとは無縁の黄泉の世界で遊ぶ笑顔のイワンたちを更に引き立てる。 |
28.《ネタバレ》 きれいな映画。物語よりも映像美を楽しむタイプの映画だろう。主人公が見る夢はことごとく美しく、現在との痛烈な対比が心を打つ。母親と戯れる無邪気な少年が戦争によって冷たい表情へと変わってしまう。夢と現実の落差が大きすぎて受け入れられないと思う瞬間もあるほどだ。この感情を主人公も持っていたのではないかと思う。だからこそ敵国ドイツへの憎しみは兵士たちよりも深いのかもしれない。 ラストシーンは本当に胸が痛い。美しい水辺のショットが突然暗転してしまう恐怖。彼の人生は何だったのだろう。 【カニばさみ】さん [DVD(字幕)] 7点(2016-02-22 10:11:31) |
27.《ネタバレ》 映像表現に秀でた傑作。画に象徴性をもたせ、映像で語る。芸術の領域だ。主題は、戦争の犠牲となる弱い子供。無理心中を強いられたゲッペルスの子供達の実写映像を出すことでそれを補強している。少年の思い出で始まり、思い出で終る循環構造。冒頭、どこまでの健やかに延びる若杉を俯瞰でとらえ、疾走する少年を遮断する黒く歪んた老木を仰視でとらえて終る。少年の顔をすっぽり囲む若杉の蜘蛛の巣が少年の未来を暗示する。戦争という蜘蛛の巣に捕まった少年。戦争は彼から家族を奪い、子供らしい心を剥ぎ取った。憎悪に燃え、復讐の鬼と化す。最後に登場する老木は、奇形化した少年の心の投影でもあるだろう。自らの歪んで怪物化した心に殺されたともいえる。少年を変貌させたのは戦争で、戦争の邪悪さ、悲惨さが浮き彫りになる。思い出の場面は、半裸の少年、夕立を浴びる兄妹、微笑む母、収穫の林檎とそれを食む馬と、あくまで甘美でまさにエデンの園。兄妹はアダムとイブだ。生命の象徴としての水の映像が鮮烈だ。母が運ぶバケツの水、少年が屈んで飲む水、眠る少年の指に滴る雨漏り、昼でも星を映す井戸水、林檎を運ぶトラックに降る夕立、浜辺の陽光の綺羅を放つ水面、地下壕の中でもしばしば水滴の音が響く。戦争場面では雨は降らず、渡川後の大尉は雨さえ降れば少年の足跡が消えるのにと悔しがる。代わりに初雪が降り、最後の捕虜収容所では焼却灰が降る。蓄音機を修理した古参兵はレコードを聴けずに死に、マーシャ軍医をめぐる大尉と中尉の恋の鞘当ても虚しく終り、少年も落命する。戦争は何も生まず、物質だけでなく、心も破壊する。傾いた十字架、燃える木、剥げた聖画像、壁の落書き等がそれを象徴する。カッコー、キツツキの声、銃弾、照明弾の音が効果的に使われる。特筆すべきは、偶然を装って人物を活写する演出法。少年の尋問中にランプが爆ぜて中尉がそちらを向く、女軍医が机に触るとメモが落ちる、白樺林で大尉と会話中の女軍医が突然蜘蛛を振り払う、中尉が塹壕でよろめき大尉に笑われる、大尉が小舟に乗ろうとして尻餅をつく、少年ら三人が渡川中に木が倒れる、レコードをかけた大尉が振り向くと顔にコードが当りよける、捕虜収容所で置いた少年のファイルが階下に落ちる。観る者に、あたかもその場にいる居るようなリアリティを与える効果がある。女軍医が浮いているのが残念だが、宙ぶらりでキスされる場面は印象的。 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 9点(2013-09-18 21:10:03) |
26.タルコフスキー作品にしては珍しく、ストレートに楽しめる作品。 【にじばぶ】さん [ビデオ(字幕)] 5点(2007-09-04 09:52:25) |
25.《ネタバレ》 水面、雨水、しずく、音、無音、あらゆる形でのあらゆる場面での水がとことん美しいのがやはり印象深いです。〝戦争に巻き込まれる少年〟というのはどうしたって悲劇を連想させますが、物語らなくともゲッベルスの焼死体や子供たちの死体が映る場面だけで無惨さは十分に伝わってきます。また少年が楽しそうに海辺を走るラストシーンの素晴らしさが逆説的に戦争の悲惨さを訴えています。で、そのラストシーンも良いのですが…個人的に気に入っているのは、本筋とは少し脱線している軍女医との恋愛模様?を描いた森のシーンです。あの森のイメージからしてもう凄いと思うのですが、女医が倒れた木の上を歩くところや穴の上で抱き上げられるところなど妙にドキドキさせてくれます。何と言いますか幻想的であり危うい感じがして胸騒ぎを起こさずにはいられないのです。 【ミスター・グレイ】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-08-29 18:26:35) (良:1票) |
24.《ネタバレ》 美しいけれども、非常に残酷な物語です。多くの言葉は無くても、イワン少年の存在感だけで戦争というものの悲惨さを描いていますね。 ちょっと、途中のマーシャをめぐるシーンなんかは意図が良くわからなかったりしましたが・・・・ 【TM】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2007-07-15 15:58:37) |
23.《ネタバレ》 現実のシーンと思い出の回想シーン(もしくは夢想)におけるイワンの表情のあまりのギャップにグッと来る。戦争がなければ、回想シーンのようなもう一つの未来もあったはず。戦争が少年の人生を捻じ曲げてしまったことが、多くを語らずとも痛いほど伝わってくる。イワン役の少年の演技の素晴らしさ、タルコフスキー監督の映像の素晴らしさ、全編の切なく物悲しい雰囲気がとても印象的です。 【こまごま】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2007-04-22 18:50:39) |
22.《ネタバレ》 夢から目覚めた少年は、小屋の2階に居て、起き上がって、梯子をつたって1階へ降りる、その時、カメラは俯角で捉えています。これが伏線になって、終盤のドイツ軍基地(?)の2階から1階へ落ちた処刑リスト・ファイルをカメラが俯角で捉えています。その後のラストシーンも含めて、一貫して画面が語っている映画ですね。 【氏木】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-12-27 12:23:31) |
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21.《ネタバレ》 水面に映る木々の映像がとても美しかったです。夢想の中で母を見る目と、絞首刑になったことがわかる写真に映る目のギャップが印象的でした。 【アンダルシア】さん [DVD(字幕)] 4点(2006-07-21 00:12:45) |
20.アンドレイ・タルコフスキー監督の作品を初めて観ましたが、戦争映画でありながら何という美しい映像美!水面を捉えた時の水の中の木、その他、映し出される映像の美しさはモノクロなのに色が付いているように見えます。そんな美しい映像とは裏腹に中身の方はかなり重苦しく感じました。しかし、監督の狙い、言いたいことはこの映画は戦争映画ではあるけど、一人の少年の眼を通して家族への思い、人間性、人はどうして戦争というあってはならない物を起こすのか?ということを映像だけで伝えたかったのであろあ!それも、アメリカ映画がよくやるようなリアルな戦争映画ではない形で表現したかったにすぎない。私はそう思いました。イワン少年の夢のシーンでの楽しそうな顔、あれは一度、観たらいつまでも心に残るぐらい本当に楽しそうでした。 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2006-03-04 18:11:56) |
19.そこらの青春ものでもかなわないくらい、繊細で美しい戦争映画。主演の少年の演技は素晴らしく、過去の場面と現在の場面での表情の違いは、ほとんど別人だ。あれほど無邪気で子供らしい顔つきだったのが、復讐に取り付かれてからは獣のように酷薄な表情になる。普段は弱みを見せないくせに、真っ暗な部屋で一人遊びをしているときに泣き伏す場面の痛ましさは真に迫っている。ほんとうにすごい役者だ。また、他の方がすでに言及されているが、水の描写の美しさが非常に印象的だ。光が水滴とともに弾け、みなもに落ちてゆらゆらとたゆたうのをはっきりと見ることができる。 ただしそれで感動できたかというと、そうでもなかった。あれほど上手な描写なのにいまひとつ引き込まれないのは脚本の弱さだろう。単純でひねりがなく、もう少し膨らませようがあっただろうに、短くまとめてしまった。それでいて意味の分からない余計なエピソードも残っている。きっと無駄を削ぎ落とすと一時間弱程度にしかならないだろう。伝えたい内容の重みに対して時間が短すぎたように思える。 【no one】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2006-01-11 13:01:00) |
18.《ネタバレ》 『惑星ソラリス』を観たとき水面の映像の美しさにやられた。タルコフスキーの映画の水の描写はどれも美しいが『惑星ソラリス』は格別に美しい。特別な撮影方法があるんだろうが、それは色に関連したものだと勝手に思っていました。しかしこの作品『僕の村は戦場だった』はモノクロなのにソラリスに匹敵するぐらい水の映像が美しい。神々しいと言ったらいいのか。そして作中に元気な水と死んだように動かない水が出てきます。戦争前と戦争中の対比をイワン少年の表情と水の描写で現す。壮絶な戦闘シーンを描かなくても、この対比がそれ以上の効果をもって戦争の恐怖と悲劇を描き出しています。戦争は終わります。映し出されるのはドイツ将校の幼い子供たちの死骸とイワン少年の写真。大人たちがしでかした戦争で亡くしたものの大きさを静かに、そして痛烈に描いています。 【R&A】さん 9点(2005-02-07 13:32:33) (良:3票) |
17.な、なんと、わかりやすい! 理解できる! 眠くならない! タルコフスキーさんもこんな映画を撮っていたんですね。現実の風景はすごくじめじめしていて暗い感じなのに、夢のシーンはキラッキラキラッキラしてるでしょう。すごくよく撮ってるなぁと思う。それにしてもなぁ、あの少年がまさかああなるとは思わなかった。戦争の悲惨さを描くやり方としては単純だけど、でもすごく神髄をついてる。 【あろえりーな】さん 7点(2004-09-16 01:51:59) |
16.タルコフスキー監督による長編映画第一作。さっそくこの作品でも、物質文明とは対極にある自然界を構成する水、火、木、土などが重要な要素を占めており、これらの格調高い演出はさすがであり感心しきり。ただ、本筋に於いて必要なのかと思われるシーンがところどころ見られる。しかしそんなシーンでさえ後々まで記憶に残り、説得力を持たせるところがタルコフスキー作品の奥深さとも言えよう。この映画では、主人公イワンを演じた少年の存在がすべてであろう。少年イワンが海辺を楽しそうに走るシーンは哀し過ぎるほど美しく、いつまでも脳裡に焼き付く。ドイツ軍に対し憎悪の塊となった少年イワン。夢の合間に現われる幸せだった日々と、過酷な斥候となった現実との対比が戦争の悲劇性を浮き彫りにする。また、表面的には憎きドイツ軍という設定だが、子供というものは国家にしてみると光り輝く希望そのものであると、監督タルコフスキーは敵味方の壁を超え戦争指導者に訴えかけているようにも見受けられる。すると本作は、人間としての良心や罪の意識に問いかける痛烈な戦争批判映画とも言える。様々な解釈が出来る傑作です。 【光りやまねこ】さん 10点(2004-08-19 10:44:26) (良:3票) |
15.色彩に溢れ、光に溢れ、同時にそれを全て覆うほどの、絶対的な影と闇が支配していた。圧倒的に詩的でリリカル。その映像はとても饒舌多弁で、同時に黙然としている。降り注ぐ光を侵食する、絶対的な闇。これを30歳で撮ったタルコフスキーの才能には驚嘆。 【ひのと】さん 9点(2004-08-14 14:07:52) |
14.ごめん。幼稚な俺が観るべき映画ではなかったかも。ここの点数が高いので観てみたら、なんていうか淡々としてて非常に退屈で、いいたいこととか、映像美とか、わるんやけど、俺の心にはちーっとも届かんかったです。これくらいの痛ましい映画なら、それ以上のものが沢山あるし、途中で女兵をくどくのもよくわからんし、高尚すぎるのか、とにかく、ねむい、でも時間が短いので助かったけど。最後だけ、ちょこっとドキッとした、そんな映画やった。ほんま点数さげて申し訳ないけど。 【なにわ君】さん 0点(2004-04-25 20:15:50) |
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12.イワンの演技に震えがきました。特に、彼の眼は、暗く、冷たく、痛いほどの輝きを持っていますね。頬のコケ具合や痩せた体がその眼を際立たせていて、存在感が画面から直に伝わってきます。スクリーンいっぱいに顔アップを持ってきても、決して負けないだけの力がその表情にあります。映画の主役をこの年齢で完全にはっているということに、脱帽するよりほかありません。終始後方に光る信号弾。銃声。河という境界を目の前に置くことで、緊張感を最大までに高めているところなど、その設定の見事さにも驚かされます。戦争映画としては、どこに出しても文句のでないほどの秀作だと思われます。 【fero】さん 9点(2004-01-10 14:30:35) |