7.《ネタバレ》 豊川悦司の抑揚のない饒舌が、詐欺師の胡散臭さをうまく醸し出している。
息を吐くようにウソをつくキャラがピッタリ。
その友人に振りまわされる佐藤浩市も適役。
ペイシェンス・ワースの自動書記の再来とのデタラメ話で幽霊が書いた本として売り出そうとするが、鈴木保奈美扮する編集者には通用しない。
そこから編集者も詐欺に加担する展開になるのはいいが、大ヒットの結果となるまでに説得力のあるエピソードが欲しかった。
三人のキャラには惹かれるが、ストーリーにやられた感じがせず、少し盛り上がりに欠ける。
詐欺師の話なんだから観る人も気持ちよく騙してくれるのかなと思ったが、そういう物語ではなかった。
ラストはペイシェンス・ワースがおりてこなくなったという波多野が、自分の言葉をキーボードで打って美咲に愛の告白。
ちょっとオシャレなラブコメに仕上がっている。
原作は中島らもの小説、監督は中原俊というのは、なかなか意外性のある面白い組み合わせだった。