2.《ネタバレ》 いやいや、この成瀬作品も面白かった!
成瀬らしからぬサスペンス作品。
高峰秀子が疲れ果てた未亡人を演じ、司葉子が若い燕に振り回される惨めな有閑マダムを演じている。
可憐な役回りを演じていた若き頃の司葉子しか知らなかったので、それだけでも新鮮味があった。
高峰秀子は、ひき逃げにより殺された我が子の無念を晴らす為、加害者の家に家政婦として忍び込み、復讐の機会をうかがう。
しかし、その家庭には殺された我が子と同い年の子供がいた。
そしてその子供が死んだ我が子に重なり、かわいくて仕方ない。
最初は殺してやろうと家に乗り込んだものの、どうしても殺せない。
しかし、ひき逃げをした罪悪感から、犯人の女性は我が子と無理心中してしまう。
とまあ、こんな感じで見事なサスペンス仕立てなのである。
成瀬監督が撮り慣れぬサスペンスを撮ったということで、不安な気持ちもあった。
しかし、観終えてみると、そこら辺のサスペンス映画(例えば野村芳太郎とか)なんかよりも、ずっと出来が良い。
成瀬監督の様な巨匠ともなると、作ろうと思えばどんなジャンルの映画でもちゃんと撮れてしまう。
やっぱり成瀬監督は凄かった。