1.《ネタバレ》 劇伴音楽ではなく、流しのバイオリン弾きや轟由起子のピアノ演奏によるミュージカル演出。
森雅之と轟がデートする川沿いの公園からクレーンアップし、東京の夜景を俯瞰するカメラワーク。
バーの前の歩道でクリーニング店の配達員や潮万太郎が繰り広げるサイレント風&スラップスティック演出。
さらには横文字の看板があふれる街路の風情と、全篇に溢れるルネ・クレール風の洒落た味わいが楽しい。
会いたくないときには鉢合わせ、会いたいときにはすれ違いの連続の二人。そんな二人を取り持つのが「座席に置かれたハンチング」と花束という粋。
劇場でのすれ違いのカッティングや、写真や手紙のエピソード等はもっと工夫が欲しいところだが、潮万太郎のコメディ・パートはそれを帳消しにするくらい笑わせてくれる。
そして、香川京子が何度か披露するバレエのお辞儀(レヴェランス)も爽やかで可愛らしい。
菅井一郎のバーテンが、彼女に作ってあげたのはレモンスカッシュだろうか。