1.《ネタバレ》 別にこれ島津の代表作というほどのものではない教育映画なのだが、小桜葉子の少女時代が見られたということだけで忘れ難い作品。拾った二匹の子犬を二つの家庭の子どもが競って育てる話。一方は飯田蝶子が母親の庶民派。職人肌のオヤジが「うまそうな犬だなあ」などと子どもをからかう、そんな雰囲気。それと中流家庭で育てたのとで、体格やら知能やらをツケヒゲの審判官が、丘の上で風に吹かれながら判定していく。それは引き分けとなり後日最終試験として競争させたときに、犬が上流階級の親犬と出会ってめでたしめでたし。上流階級の家でご馳走になる、という結末。この結末の付け方に時代を感じた以外は、素直に流れを楽しめるよい映画であった。丘のある風景が児童映画に似合う。で上流階級の女の子が小桜葉子なのだ。子犬を捨てられて寂しくブランコに揺られてるところなんかすごくかわいいの、あの時代にしては現代風のかわいさ。私なんかは、テレビで美容体操してたオバサンといううっすらとした記憶しかなかったので驚いた。当時の少女役の一番人気は高尾光子なんだけど、これが現代から見ると、ちょっと古めの日本調少女、やがて人気は高峰秀子に移るが、この小桜の、時代に早すぎたモダンな美少女ぶりも記憶にとどめてやりたいと思った。ただこのあと十年もしないうちに加山雄三の母になってるわけで、上原謙許すまじ、という思いもフツフツとよぎった(上原葉子としての彼女は小津の『お茶漬の味』でちょっと見られます)。