1.《ネタバレ》 オーウェン・ウィルソンという人は、綺麗な金髪で二枚目なのに、こういう「負け犬男」を演じても妙にハマっているから不思議ですね。
どこか間の抜けた感じや、愛嬌があるからこそ出来る芸当なのだろうけど、それでいて元々のルックスは良いものだから「ダメ男でも、やれば出来る」を実践してみせるシーンで、しっかり説得力があったりする。
これは俳優さんとして、凄く強みになっているんじゃないかな、と思います。
そんな彼を主演に据えた本作は、お約束の「スクール下剋上映画」であり、特に目新しさは無い内容。
セス・ローゲンが原案と脚本を担当している為か、子供達三人のキャラクターも「スーパーバッド 童貞ウォーズ」と似通っており、既視感を覚えてしまうくらいでしたね。
でも、だからこそ安心して、しっかり楽しむ事が出来たように思えます。
子供側の主人公であるウェイドの義理の父が「私もイジメっ子だった」と誇らしげに語るような奴だったもので、彼と弟達が逞しくなったウェイドを見直すなり、幼少期にイジメていた相手に仕返しされるなりの顛末を迎えるかと思ったら、何にも無しで拍子抜けした事。
そしてヒロインの女教師が主人公を許し、刑務所に迎えに来るまでの心理描写が足りないように思えた事など、細かい不満点は色々あるんですが、面白い部分の方が多かったです。
物凄ぉ~くベタなんだけど、最初は金目当てでボディガードを引き受け、子供達を騙していた主人公が、徐々に優しさに目覚めていく流れが良いんですよね。
最初からそうなるって分かっていたし、見え見えのあざとい展開かも知れないけど、やっぱりグッと来ちゃう。
一緒に撮った写真を渡し「作戦が終わっても友達でいて」と訴えられて、何とも言えない表情を浮かべる辺りなんかは、特に好き。
一度は仲間を見捨てたかと思われたがエミットが、土壇場で「やっぱり仲間だった」と証明し、一緒に戦ってくれる展開も、これまたベタながら素敵でありました。
クライマックスの喧嘩に関しては、あくまで「リーチが長い」で通して、ウェイド達が自力でイジメっ子達を倒す方が良いんじゃないかなとも思いましたが、主人公が助けに来てくれる展開も熱かったし、判断が難しいところですね。
とはいえ、相手が十八歳で成人していると分かった途端、容赦無く殴り飛ばして「本当に強かったんだ!」と驚かせてくれる主人公の姿に関しては、実に痛快で、大満足。
日本刀を掴み、子供達の命を救った訳だけど、作中で過度にヒーロー扱いされる事は無いというバランス感覚も良かったです。
窃盗やら軍法違反やらの罪状で逮捕され、しっかり罪は償う事になる。
でも、たった三週間で出所して、ヒロインと子供達に再会するハッピーエンドを迎えてくれるから、後味は悪くないし、妙な罪悪感も残らないしで、とても爽やかな終わり方。
作中で描かれる「特別な時間」が過ぎ去った後も、彼らはずっと仲間のままなんだろうなと思える、良い映画でした。