4.《ネタバレ》 お気に入りのエロ本のモデルの実物に接することができれば・・・などというのは、世の男性にとってまさに夢のような話、それも決して実現などしない、してはいけない禁断の夢、なのであって、もしももしも万が一にも、そんなコトが実現しようものなら、もう刺激が強すぎて、男は死ぬしか無いでしょう。ははは・・・。自分のドッペルゲンガーに出会うより、致死性が高そうな気がする。
と言う訳で、そんな目にあってしまった男は、必然的にその罰を受けることになるのだけど、それにしたって、変質者と間違えられて人々の憎悪を一身に受けながら絶命する彼は、そこまで罪深い存在だったのか。
という男の哀れさが、この作品では物語の中心ではなく、片隅で描かれている、というのがまた、スゴくもあり、エゲツないところでもあります。物語の中心はあくまで、彼の崇拝の対象である女性の方。だけど、女神サマでも何でも無く、ひとりエッチにふけったり、会社の上司の不倫相手となった挙げ句に捨てられたり。彼女には彼女の孤独がある。
じゃあ、ますます哀れな男の孤独はコレ、どうしてくれるんだ、と。いや、どうにもなりなせん、ハイ。そういうもんです。所詮、コタツ以下の存在なのです。
で、そんなオレだけど、せめて傘だけは、返しておきたかったんだ、と。
いかん、この書き終わり方ではまるで、安部公房の「ユープケッチャ」ではないか。