1.《ネタバレ》 全国公開初日、本日映画館で観て来た。
舞台挨拶があったが、監督と出演者たちが皆、初々しく、新鮮な気持ちになれる舞台挨拶だった。
私が一番好きな映画祭「東京フィルメックス」で、去年グランプリを勝ち取った作品。
観る前からハズレは無いと、確信に近い気持ちで映画館に入った。
デジタルビデオで2時間長回し、それを監督が編集し、しかも出演者達は全てをアドリブで演じたという、非常に野心的な作品。
昨今の、有名なテレビタレントが出ているだけのメジャーな邦画とは、明らかに一線を画す作品。
序盤、決して観やすいとは言い難い手ぶれカメラの映像と、聞き取りにくい台詞に一抹の不安を感じた。
しかし、物語が進むにつれ、どんどん作品の中に引き込まれていく感覚をおぼえた。
この感覚が、傑作を予感させた。
そして更に話が進むにつれ、東京フィルメックスでグランプリを獲得した無名監督の実力を、まざまざと見せ付けられることと相成った。
どうしようもない男と女の恋愛観のズレを描いた内容なのだが、それをストレートにリアルに表現している。
無名俳優たちの渾身の演技にも圧倒される。
そして監督の編集も素晴らしい。
「全てを包み込む女性特有の大らかさ」
「若い女性に特有の恋愛観」
「モテナイ男とモテル男の描き分け」
などなどが実に的確、見事。
そしてリアル。
どんなに冷たい男でも、それに一度惚れた女性は、並大抵のことではその男を嫌いにはならない、いや、嫌いになれない。
そんな女性を翻弄し弄ぶ男と、そんな男に敵意を持つモテナイ男。
恋愛における男女の違いや、性格の違いなどを鋭く的確に描いた監督の手腕に、手放しで拍手を送りたい。